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原則2

国家は、その領域及び/または管轄内に住所を定めるすべての企業がその活動を通じて人権を尊重するという期待を、明確に表明すべきである。

解説

現在、国家は、国際人権法の下では、その領域及び/または管轄内にある企業の域外活動を規制することを一般的には求められていない。また、認知された管轄的根拠がある場合、そうすることを一般的に禁止されてもいない。これに沿って、人権条約機関のいくつかは、国家が管轄内にある企業による国外での侵害を防止する手段を講ずることを勧告している。

特に国家自体が企業に関わり、またはこれを支えている場合に、国家が企業に対して、国外で人権を尊重するという期待を明確に表明することには強い政策的理由がある。その理由は、一貫して矛盾のないメッセージを伝えることにより、企業に予測可能性を保証し、国家自体の評判を守るということである。

国家は、これに関してさまざまなアプローチを取ってきた。そのなかには、域外的な波及効果のある国内措置がある。例えば、「親」会社に対し、企業グループ全体でグローバルに展開する事業活動についての報告を要求すること、経済協力開発機構(9)多国籍企業行動指針のような多国間合意のソフト・ロー文書、そして国外投資を支援する機関が求めるパフォーマンス基準である。その他のアプローチとして、直接的な域外適用立法及びその執行がある。これは、犯罪行為地を問わず、犯罪行為者の国籍に基づく訴追が可能な刑事法制度を含む。例えば、そのような国家の行為が多国間合意に基づくものであるかどうかなど、様々な要素が国家の行為の主観的及び客観的妥当性を高めるのに役立つこともあろう。

 

(9) 訳者註)Organization for Economic Cooperation and Development (OECD)