茨城県は2月18日、「不法就労」の外国人に関する情報を市民から募り、摘発などにつながった場合に報奨金を支払う「通報報奨金制度」を、2026年度に創設すると発表しました。
「不法就労」とは、在留資格が失効した非正規滞在者、および正規滞在であっても在留資格で許可された範囲外で働くことを指しています。出入国在留管理庁(入管庁)は、過去から通報制度を実施していますが、都道府県としては初めてのことです。
茨城県は、農業分野を中心に非正規滞在での就労が多く、入管庁によると、2024年に入管法違反で退去強制手続きが取られた外国人のうち、茨城県は3,452人で全国最多でした。2022年から3年連続で最多となっています。
茨城県は、「不法就労」を抑止する目的で、おもにインターネットを利用して広く市民から情報を受付け、情報を基に県の担当者が調査し、「不法就労」が確認された場合には県警に連絡することを計画しています。報奨金の想定額は1万円とされています。
茨城県はまた、「不法就労」の防止を目的に、「茨城県不法就労活動の防止に関する条例」(案)の制定をめざし、2月24日から3月25日まで意見募集を実施しています。条例案は、「不法就労活動の防止に関する総合的な施策を策定・実施」を県の責務とし、「事業者の責務」、「県民の責務」として県の施策への協力を盛り込んでいます。
茨城県は、3月4日掲載のホームページで「提供を受ける情報は、事業者に関するものに限定し、外国人個人に関する情報は一切受け付けない」とし、「匿名による通報も受け付けない」と説明しています。そして、「情報提供者への聴取や事業者への個別訪問などを通じて確認を行った上で県警に提供する」と説明しています。
一方、県の別のページでは、「不法就労等に関する情報をお寄せください!」として、すでに情報を求めており、「不法就労又は不法就労が疑われる事案に心当たりのある方は、当ホームページ最後のお問い合わせフォーム又はEメールで情報をお寄せください」と呼びかけています。そして、「匿名での情報提供も受け付けておりますので、よろしくお願いいたします」(3月11日現在)と矛盾した内容が掲載されています。
NGOによる強い反対
茨城県の方針に対して、3月6日の県議会では、「通報報奨金制度によって排外主義を助長しかねない。国籍や人種を理由とした差別につながるのではないか」、「制度の撤回を」といった質問や意見が出ています。
また、地元の茨城NPOセンター・コモンズをはじめ、移民の人権擁護に取り組む外国人人権法連絡会、移住者と連帯する全国ネットワークなど多くの市民社会組織は強く反対し、方針の撤回を求める声明を出しています。外国人人権法連絡会は声明で、「外国人は社会の一員でなく、何をしてもかまわないと、県が自ら差別を煽る公による排外主義というほかない」と述べ、「制度創設を直ちに撤回することを強く要請する」と訴えています。
<出典>
茨城県
https://www.pref.ibaraki.jp/soshiki/shokorodo/rosei/pubcom.html
茨城県不法就労活動の防止に関する条例(案)に関する意見を募集します
更新日:2026年2月24日
https://www.pref.ibaraki.jp/bugai/koho/kocho/data/sodan/kensei.html
県民の皆様から寄せられたご意見に対する現状・対応について
4.通報報奨金制度について(2026.3.4)
https://www.pref.ibaraki.jp/soshiki/shokorodo/rosei/johoteikyou.html
不法就労等に関する情報をお寄せください!
https://www.pref.ibaraki.jp/gikai/outline/r8/situmon1.htm#situmon9
茨城県議会3月6日(金曜日)一般質問・質疑
市民社会組織
https://www.npocommons.org/topics/3222/
「正規の就労ができない外国人」対策(茨城県「通報報奨金制度の創設」)に関する意見書 ~通報ではなく相談支援を~
(2026年2月27日、認定NPO法人 茨城NPOセンターコモンズ)
https://gjhr.net/
外国人への差別を助長し住民を分断する茨城県の「通報報奨金」制度創設撤回を求める声明 (2026年3月2日、外国人人権法連絡会)
https://migrants.jp/news/voice/20260304.html
【声明】茨城県「不法就労者」通報制度の創設に対する反対声明
(2026年3月4日、移住者と連帯する全国ネットワーク)
<参照>
https://migrants.jp/news/others/230601.html
在留資格のない移民・難民を不法と呼ばず非正規や無登録と呼ぼう!
(2023年6月9日、移住者と連帯する全国ネットワーク)
(2026年03月11日 掲載)