新着図書の紹介
ヒューライツ大阪では、国際人権基準や人権教育に関する資料、重点テーマに関する日本を中心にアジア・太平洋地域の人権情報の資料を収集しています。ヒューライツ大阪に所蔵している図書はどなたでも閲覧可能です。
会員を対象に貸出サービスも行っております。
新着図書よりおすすめを一部紹介します。
- 『産む自由/産まない自由 : 「リプロの権利」をひもとく』 (塚原久美 著 / 集英社, 2025.9)
妊娠・出産したいか、したくないか。いつ産むか、何人産むか――。そのほか、中絶、避妊、月経、更年期に伴う心身の負担など、生殖関連の出来事全般に関し、当事者がどのような選択をしても不利益なく生きることのできる権利を「リプロの権利」という。1990年代、女性にとって特に重要な権利として国際的に定義・周知されたこの人権について、日本でほぼ知られていないのはなぜなのか。中絶問題研究の第一人者が国内外での議論の軌跡をたどり解説する。
- 『沖縄軍事性暴力を生み出すものは何か : 基地の偏在を問う』 (高良沙哉 著 / 影書房, 2025.3 )
沖縄の人びとは現在も、戦時性暴力の延長線上に生きている。2016年以降は米軍だけでなく、与那国島、宮古島、石垣島に陸上自衛隊が配備・強化され、生活の場が戦場となる恐怖が広がっている。日常に軍事化が浸透している。軍事基地が偏在する沖縄では、人権、文化、歴史、自然が踏みにじられ続けてきた。
軍事による安全保障は、人びとの生活とは共存できない。沖縄から問う。
- 『誰も踏みにじらない未来のためのフェミニズム : ともに語り、ケア・共存・共生を考える韓国フェミニスト13人からの投げかけ』 (キム・ウンシル 編著 ; クォンキム・ヒョンヨン [ほか] 著 ; 秋元美穂, 佐藤香陽子 訳 / 梨の木舎, 2025.5)
コロナ禍があぶり出したのは、もともとそこにあった不公正だった。ケア労働、職業格差、デジタル性犯罪、性的マイノリティ差別――。
韓国のフェミニスト13人が、長年見過ごされてきた「誰かを搾取することで成り立つ社会」の歪みに切り込み、ケア・共存・共生を軸とした、「誰も踏みにじらない未来」を提言する。
- 『とびこえる教室 : フェミニズムと出会った僕が子どもたちと考えた「ふつう」』 (星野俊樹 著 / 時事通信出版, 2025.7)
男子が散らかし、女子が片づける。それを大人たちが教室の「自然な日常風景」と看過する。――ずっと「生きづらさ」を抱えてきた教師は、学校に潜む性別役割分担に疑問を持ち、子どもたちに「ふつうとは何か?」を問い続ける。
この国のごく片隅で、しかし確かに社会を変容させた、教師と子どもの実践の物語。
- 『苦情はいつも聴かれない』 (サラ・アーメッド 著 ; 竹内要江, 飯田麻結 訳 / 筑摩書房, 2024.11)
組織内のハラスメント、性差別、人種差別に対して声を上げた人々は何を経験するか。
本書では大学に苦情を訴えた学生や教授陣など60名以上への調査をもとに、組織・制度・権力が苦情を阻止し無力化するメカニズムを解き明かす。
進まない手続き、見かけだおしのポリシー、同僚からの警告、孤立、加害者とのお茶会、暴力のエスカレーション、「あなたの空想でしょう」、罪悪感、自分を信じられなくなること、そして連帯。膨大で痛みをともなう苦情の物語が伝えるのは、繰り返される歴史であり、組織や権力のはたらきについての学びであり、変革に向けての「すりきれた希望」だ。
- 『ルッキズムってなんだろう? : みんなで考える外見のこと』 (西倉実季 著/ 平凡社, 2025.8)
ここ数年、何かと話題になっている「ルッキズム」。しかし、そもそも「ルッキズム」とはどういう意味で、どんなことを指すのでしょうか。また、「ルッキズム」は何がどのように問題なのでしょうか。中高生だけではなく、大人にいたるまで、多くの人の心をモヤモヤさせる「ルッキズム」。
本書では、「ルッキズム」に関する論点を、社会学を専門とする著者が、学校の校則やミスコン、友だちとの会話など、身近な事例をもとにしながらわかりやすく解説します。
- 『国籍のゆらぎ、たしかなわたし : 線をひくのはだれか?』 (木下理仁 || 編著 / 太郎次郎社エディタス, 2025.6)
「わたし」にとって「国籍」ってなんだろう?「わたし」たちは「国籍」とどう向き合えばよいのだろう?
それを考えるためにはじまった手紙のやりとりは、硬直した線引きの制度としてだけではない、多様な視点を開放した。
在日コリアン、ハーフ、難民、無国籍⋯⋯。異なるルーツや生まれ育ちをたずさえて「ともに生きる」ための土台を模索する。「わたし」と「国籍」の関係を考え、探る6編のダイアローグ。
- 『カルチュラル・コンピテンス : 多文化共生ソーシャルワークにいま求められる視点』 (陳麗婷, 星野晴彦 || 著 / 明石書店, 2025.10)
多文化共生社会において、ソーシャルワーカーにとって必須となる「カルチュラル・コンピテンス」を理論と実践の両面から扱う。台湾やスウェーデンの先進事例の紹介に加えて、スピリチュアリティやポストコロニアル研究などの領域にまで視野を広げた一冊。
- 『問いとしてのウェルビーイング : 人・社会・自然のよい状態を考える』 (齊藤紀子 [ほか] || 編著 / 中央経済社, 2025.10)
不平等、差別、環境、地域社会の諸問題...現代社会に潜む「構造的暴力」を発見し、克服していくために、著者たちはウェルビーイングを「個人の」「健康や幸福、満足」にとどまらない、「人・社会・自然の」「よい状態」を指す概念であり、人・社会・自然がよい状態であるために考えておかねばならないものはなにかを問うてくるものと捉える。本書の目的は、この問いとしてのウェルビーイングを提示することにある。
- 『アクティブラーニング国際人権法 : 学び、考える日本の実践』 (小坂田裕子 [ほか] || 編 / 法律文化社, 2025.9)
国際人権条約の履行監視機関の所見や重要な判例・事例、国際文書などを素材として、読者が国際人権法の現状を考えるきっかけを得るとともに、さらなる問いを議論しながら深めていけるよう導くテキスト。
国際人権法の実現という観点から日本に関連する課題を取り上げ、司法、行政、立法のあり方について考える手がかりを提示する。
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