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新開発協力大綱は、「非軍事のODA原則」を貫くことができるのか?-「国益」が前面に出た新大綱

 政府は2月10日、政府開発援助(ODA)の基本方針を示したODA大綱に代わる「開発協力大綱」を閣議決定しました。新大綱の大きな特徴は、他国軍への支援を「非軍事の分野に限って解禁」し、経済発展してODAの対象ではなくなった「卒業国」への支援制限を撤廃したことです。日本の安全保障や経済・外交上の「国益」につながる支援を重視する方針を鮮明にし、日本のODA政策を大きく転換した内容となりました。
 他国軍への支援に関しては、「相手国の軍または軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」としています。支援の対象を「民生目的、災害救助など非軍事目的の開発協力」とも規定しており、軍に武器ではない物資を送ったり、軍人に民主制度の研修を実施したりすることはできるようになるものの、武器の提供やODAで造った施設の軍用化、軍事関連の技術支援は引き続き禁じるとしています。
 しかし、他国軍に提供した物資・技術は、その国の使い方次第で軍事転用されるおそれがあります。2014年に東京や京都などで開催された公聴会では、参加者から「他国軍への支援は軍事転用されたかどうかの追跡調査が難しい」という懸念が多く出されたが、新大綱には転用を防ぐ具体策は盛り込まれませんでした。
外務省によると、2014年3月に岸田外務大臣がODA大綱の見直しを発表後、大臣の下に有識者懇談会を設置し、NGOや経済界などとの意見交換、パブリックコメントなどを通じて決定したと経緯を説明しています。
 新大綱の決定を受けて、国際協力に関わるNGOネットワークなどが声明を発表しています。(特活)国際協力NGOセンター、および「動く→動かす」は1.非軍事の原則を徹底させること、2.「貧困解消」と「質の高い成長」の実現のために、日本および途上国の市民社会との連携をより一層強化すること、という要請を含む緊急声明を発表しています。
 また、関西地域の国際協力のネットワーク組織で、ヒューライツ大阪もメンバーである(特活)関西NGO協議会は、「日本のODA(政府開発援助)の本旨であるべき平和的・人道的原則から踏み出し、『日本の外交的・経済的利益を優先する援助』『軍事・安全保障と結びついた援助』へと道を開くおそれのある内容を含んでおり、このことに私たちは深い憂慮を表明」するなどの見解を発表しています。
新・開発協力大綱 関西NGO協議会見解.pdf
 
<出展>
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/taikou_201502.html
開発協力大綱(外務省)
http://www.janic.org/pressroom/pressrelease/kaihatsutaiko_kakugi.php
「開発協力大綱」閣議決定へ国際協力NGOが緊急声明(国際協力NGOセンター、15年2月10日)
 
<参考> ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ
http://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2014/11/post-117.html
「援助は何のため」「援助は誰のため」‐政府の「新開発協力大綱(案)」が投げかけるもの
http://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2014/06/oda626.html
ODA有識者懇、「非軍事目的」の他国軍支援を提言(6月26日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/kaikaku/taikou_minaoshi/files/i01_gijiyoushi.pdf
JICA関西国際センターにおいてODA大綱見直しに関する意見交換会(61日)

(2015年02月16日 掲載)