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国連人権理事会・第45会期でフィリピンの人権保護・促進をめざす決議採択(10月)

 2020年9月14日から10月7日まで開催された国連人権理事会・第45会期において、違法薬物取締キャンペーンのもとで多数の殺害事件が起きているフィリピンの人権保護・促進をめざす決議が採択されました。以下、訳文です。
 
フィリピンにおける人権の促進・保護のための技術協力と能力開発
 
人権理事会は国連憲章、世界人権宣言、国際人権規約およびその他の関連する国際的な人権文書に基づき、2006年3月15日の総会決議60/251と1993年12月20日の総会決議48/141において承認された国連人権高等弁務官の任務を想起し、フィリピンにおける人権の促進と保護に関する2019年7月11日の人権理事会決議41/2、および国連人権高等弁務官事務所と人権メカニズムによるものを含むフィリピンにおける人権状況に関する懸念表明を想起するとともに、それらに対するフィリピン政府の対応に注目する。
 
オンライン・オフラインを問わず、人権を促進し保護するために活動する個人やグループ、国連と協力しようとする者、または協力したことがある者、人権分野における国連の担当者と人権メカニズムに対する国家および非国家主体によるすべての脅迫および報復行為を非難する。
 
特に人権に関する複数年にわたる国連共同プログラムの議論を通じて、フィリピン政府と国連カントリーチームとの協力関係を認識し、常駐の国連調整官を通じた国連システムとの積極的な連携のさらなる拡大に向けた政府の取り組みに留意する。
そして、技術協力と能力開発の支援を行う際の、人権高等弁務官事務所の役割と国内の能力を強化することについての議論にも留意する。
 
フィリピン政府との人権分野での国際的、地域的、二国間におけるパートナーシップ、および同国政府の説明責任、法の支配を歓迎する。
 
人権理事会は、人権侵害事件の捜査能力と訴追能力の強化を目的としたデータ共有の合意について、フィリピン司法省とフィリピン人権委員会との共同の取り組みを認めている。
そして、司法制度の中での刑事裁判の効率化と透明性の向上、公判前に拘禁されている事件の法に基づく解決の迅速化を目的とした2020年1月の国による司法情報システムの開始と、警察、検察、裁判官、公的機関を含む地方司法機関との間での調整促進のための司法部門調整会議の強化と現地メカニズムの開発も認めている。
 
フィリピンの人権状況についての第44会期人権理事会との対話にフィリピン政府が参加していることもまた認識している。特に、政府は違法薬物取締キャンペーン下の作戦で起きている殺害事件を再調査する審議会を設置することを発表した。
 
人権理事会は、人権侵害の申立てに対する政策と対策、およびフィリピンにおける人権状況に関する政府の説明を盛り込んだフィリピンの人権報告に留意する。
 
1.国連人権高等弁務官が人権理事会第44会期で提出した包括的な報告書に留意する。
そして、報告書で提起された問題と国全体の人権状況に関連して、残された課題に対処することをフィリピン政府に奨励する。
 
2. フィリピン政府が人権侵害の説明責任を果たすことの重要性を強調し、国の裁判所とその国際的な人権義務のもとで適正な手続きに従って、人権侵害を含む重罪を犯したすべての者に対して独立した、完全な透明性のある捜査・起訴を行う。
 
3. フィリピンの人権状況をさらに改善するために、また国際人権義務の継続的な実現のための支援を、人権高等弁務官および人権高等弁務官事務所に支援を要請する。
特に国内の捜査と説明責任の措置、警察の違反疑惑に関するデータ収集、市民社会との関わり、報告とフォローアップのための国のメカニズム、テロ対策法、人権に基づく薬物管理のアプローチに向けて技術支援と能力開発を提供するために、人権に関する国連共同プログラムの提案を考慮に入れる。
 
4.政府の技術支援・能力開発の要請に応じて、国内の人権状況を改善するために、フィリピン政府と国連人権高等弁務官事務所の間の技術協力を奨励し支援することを、加盟国、関連する国連機関、その他の利害関係者に対し要請する。
 
5. この点において、国際的、地域的、二国間のパートナー、その他のパートナーと同様に、フィリピンへの常駐国連調整官、およびフィリピン、その他の場所で機能する国連システムのコミットメントを歓迎する。
これは、効果的な人権に関する技術支援と能力開発措置を通して、国連の現場での活動を増強し、フィリピン政府を支援するためである。
 
6. フィリピン政府が技術支援と能力開発プログラムに対して継続的にモニタリングと評価をすることの重要性と政府の責任を強調する。
常駐国連調整官との緊密な双方向の対話を行い、本決議の実施、フィリピンにおける人権の促進・保護のための技術協力と能力開発の進捗状況と結果について、第48会期人権理事会において口頭で報告し、第51会期人権理事会に報告書を提出することを高等弁務官に要請する。
(訳:坂本和歌子・ヒューライツ大阪インターン)
 
<出典>
https://digitallibrary.un.org/record/3884738
Human Rights Council Forty-fifth session
14 September–7 October 2020Agenda item 10
Technical cooperation and capacity-building for the promotion and protection of human rights in the Philippines
 
<参照> 人権理事会第44会期に提出されたフィリピンの人権報告書
https://undocs.org/en/A/HRC/44/22
Situation of human rights in the Philippines
Report of the United Nations High Commissioner for Human Rights

(2020年11月04日 掲載)