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スイスなど4か国が「ビジネスと人権に関する国別行動計画」を策定(2016年12月)

 企業の活動と人権の関わりをめぐり、国連は2011年、「ビジネスと人権に関する指導原則」をつくり、各国にその実施に向けた行動計画を策定するよう呼びかけてきました。また、2015年のG7サミット首脳宣言でも、その策定努力が歓迎されていました。こうした中、2016年12月に、スイス、イタリア、米国、ドイツがそれぞれ自国の行動計画を策定しました。

 スイスの行動計画は、「指導原則」を実施するにあたり、人権の「保護・尊重・救済」の枠組みを取り入れた、企業の新しい社会、生態系に対する責任を定義し、人権侵害の被害者の司法へのアクセスを改善するなど「指導原則」に沿った措置などを要素として戦略に取り入れることをあげています。また、人権の保護は第一義的に国家の責任であって企業ではないとし、政府の役割は企業の「指導原則」の実施を支援することであり、現行法に加えて法的拘束力のない規定によって実施すると述べています。

 イタリアの行動計画は、「指導原則」を実施するにあたり、自国独自の優先事項として、(1)特に中小企業に焦点を当てたデュー・ディリジェンス手続きの促進、(2)環境保護と持続可能性の促進、(3)特に移住者や人身売買の被害者に焦点を当てた、農業における低賃金労働や他の搾取、強制労働の撤廃、(4)特にグローバル・サプライ・チェーンについて、企業の国際化における労働基本権の促進、(5)差別、不平等への取り組み、機会の平等の促進などをあげ、「指導原則」の各項目について、政府のとる措置の計画をあげています。

 ドイツの行動計画は、企業にそれぞれの規模、業務内容などに沿った人権尊重のデュー・ディリジェンスを期待するとして、人権尊重に関する基本方針の公表、人権に否定的な影響の回避、緩和などの手続きや措置の導入、苦情申し立てのメカニズムの設置などをデュー・ディリジェンスに含まれる要素としてあげています。政府は2020年までにドイツ国内の500人以上を雇用する企業の50%がこれらの要素を導入することを目標として掲げています。また、導入していない企業については、その理由の説明を求め、2020年までに50%に達しなければ、法的措置も含めた他の措置を検討するとしています。

 米国の「責任ある企業行動に関する行動計画」は、「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って策定されたものではなく、「指導原則」およびOECD多国籍企業行動指針に基づく企業の責任ある行動を、政府間協力や調整、政策策定によって促進する計画です。計画では主に米国外で活動する米国企業の行動を念頭におき、とられる行動を(1)模範となって示す、(2)ステークホルダーと協力する、(3)企業の責任ある行動を促進する、(4)肯定的な行動を評価する、(5)救済へのアクセスを提供する、に分類しています。

(構成:岡田仁子)

(参照)


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