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セミナー「共謀罪とは? NGO・NPO活動への影響を考える」を開催しました(8月4日)

テロなどの犯罪を計画段階で処罰することを可能にする「共謀罪」の趣旨が盛り込まれた改定組織的犯罪処罰法が2017711日に施行されました。この法律がNGONPOなど市民セクターにおける活動の妨げとなるのではと懸念されています。(社福)大阪ボランティア協会、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ、(一財)アジア・太平洋人権情報センター、(特活)関西NGO協議会、大阪市立大学大学院創造都市研究科都市共生社会研究分野84日、弁護士の弘川欣絵さんを講師に迎え、セミナー「 NGONPO で働く人のための法律勉強会~共謀罪とは? NGONPO活動への影響を考える」を開催しました。NGONPOで活動する人たち35人が参加しました。

弘川さんは、共謀罪の対象となる行為の幅広さを例示したうえで、個人のプライバシーへの監視強化に懸念を示し、市民運動によって運用をとめていく必要があると呼びかけました。講演の骨子は以下のとおりです。

市民こそが国家権力を監視しよう

日本政府は、2000年に採択された国際組織犯罪防止条約の批准を名目に、これまで3回にわたり共謀罪の成立を図り廃案となってきたが、2017615日、ついに強行に成立させた。今回の法律は、277もの犯罪を対象に、テロ集団その他の組織的犯罪集団の活動として、共謀した者に対して、準備行為が行われた際、10年を超える懲役・禁固が定められている罪は5年以下、その他は2年以下の懲役か禁固の罰則が設けられた。犯罪行為について、大まかに方法や日時を決めて意気投合したとみなされると共謀罪が成立するのである。

これまでも、盗聴や会話傍受、防犯カメラ、GPSなどによる監視そして逮捕が行われてきた。共謀罪の導入によって、会話や電話、メールのやりとりの監視がさらに多く行われることになろう。監視によって、政府にとって不都合な人物を見つけだし、逮捕や脅しに使われる危険性が増してくるのである。

市民活動に関わっている人のなかには、監視が強まることによって、どんなことで犯罪とみなされ捕まるかわからないという不安をもつかもしれない。会話などのコミュニケーションが犯罪になりうることから、会合に出るのも危険だと委縮する人もいるだろう。しかし、もし自分で口をつぐんでしまえば、共謀罪で逮捕されるのと同様の沈黙効果をもたらしてしまうのである。

NGONPOは、表現の自由という権利を最大限行使して活動している。共謀罪は、これとぶつかるのだ。共謀罪を受け入れるわけにはいかない。NGONPOこそが委縮せずに反対の意思を表明して運用を止めていく必要がある。市民生活への監視強化やプライバシーが失われるような社会へと変容させないために、私たちこそが国家権力を監視していかなればならないのではないか。

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