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ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

9月3日・4日、piaNPOを会場に、ヒューライツ大阪主催「東北アジアのための人権教育・研修教材開発プロジェクト」会議が開催されました。

   ヒューライツ大阪では、2008年3月に、東北アジアの教育関係者を招き、学校における人権教育の現状と課題について話し合う「東北アジアの教育者による人権教育ワークショップ」を開催し、さらに東北アジアの人権教育の課題の明確化ための調査に着手し、その報告のとりまとめを2009年に行ない、英語で出版しました(タイトルThe State of Human Rights Education in Northeast Asian School Systems: Obstacles, Challenges, Opportunities--「東北アジアの学校制度における人権教育:障へき、挑戦、好機」)。今回の会議はそれを踏まえ、教材開発を目的に開かれたものです。

  参加者は、日本からは、肥下彰夫さん(大阪府立高校教員)、原田直美さん(大阪府立高校教員)、中国からはバイ・グイメイ(Bai Guimei)さん(北京大学教授 人権研究センター)、チェン・ユウウ(Chen Youwu)さん(広州大学人権研究センター副所長)、台湾からはタン・メイイン(Tang MeiYing)さん(台北市立教育大学教授)、香港からはラウ・ユカイ(Law Yu Kai)さん(NGO「香港人権モニター」総幹事)、モンゴルからはアルタンジェレル・チョイジュ(Altangerel Choijoo)さん(UNICEFモンゴル職員)、韓国からは、クォン・スンジョン(Kwon Soon Jung)さんの7名とヒューライツ大阪からは白石理所長、ジェファーソン・R.プランティリア主任研究員、朴君愛上席研究員、オブザーバーとして、阿久澤麻理子教授(大阪市立大学)が参加しました。
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  まずは、プランティリア主任研究員から、これまでの東北アジアの人権教育の関係者で議論されてきた内容と課題を報告しました。二日間の議論を通じて、各国の学校における人権教育の現状や課題を話し合い、北東アジアの文脈の中で、共同で人権教育・研修のための教材を開発することに合意しました。それは教員養成大学や教員研修で使ってもらえることを想定しています。
教材は、国際人権基準を、単に授業や研修プログラムのコンテンツとしてだけではなく、学習プロセスや校則、学校の指導方針、PTAや学校と地域との関係づくりの中にも根付かせていくことをめざすものです。各国のグッド・プラクティスをもとに、これに各国で共通に利用できるように検討を加え、2012年3月に出版される予定です。

   90年代よりアジア太平洋地域では、学校教育において人権教育の制度化が進み、東北アジアも例外ではありません。一方、この数年のグローバル化の進展の中で、各 国の直面する新たな課題も、また明らかになりました。グローバルな市場の競争が激化する中で、各国の教育もまた、競争志向を強めています。それゆえ、学校で人権教育を教える時間を作り出すことが難しいこと(香港、台湾)、保守政権への交代によって人権政策に対する市民の信頼が低下しつつあること(韓国)、 格差社会の進行により困難な生活を強いられる生徒の急増と、そのエンパワメント必要性(日本)などが指摘され、東北アジアにおける人権教育が今後、「挑戦」すべき課題として認識されました。
                                                                                                                                    (阿久澤麻理子)