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セミナー「アフガニスタンの子どもたちはいま」を開催しました(1/14)

 アフガニスタンで2021年8月にタリバンが権力を掌握して以来約1年半が経過し、子どもや女性の教育、地位をめぐる問題が国際的な関心事項になっているなか、ヒューライツ大阪とおおさかこども多文化センターは1月14日、フリージャーナリストの西谷文和さんを講師に迎えて、セミナー「アフガニスタンの子どもたちはいま」を開催しました。
 西谷さんは、2001年からアフガニスタンへの取材を開始し、2009年以降はカブールやジャララバードなど通算13回にわたる現地取材を重ねています。
 セミナーでは、西谷さんは、タリバン政権下で生活苦にあえぐ人々の日常や、街の子どもたち、女子生徒の姿が全く消えた女子校のようすなどをまとめた2022年2月と8月の取材映像を中心に、現在のアフガニスタンが抱える問題について説明しました。
 また、干ばつで苦しむ人たちの支援のために用水路整備など農地の再生に長年取り組み、2019年に凶弾に倒れた中村哲医師の生前の活動や、灌漑事業により見事なまでに緑がよみがえった東部のナンガルハール州のいまについて報告しました。
 2022年8月のジャララバード取材では、郊外の貧困地区に住む11人の子どものいる家族を訪ねインタビューを行いました。子どもは10人目までは娘で、11番目が息子。タリバン政権になってまもなく、貧しさから、8番目の8歳の娘を近所の金持ちにわずか3万円で売った、と父親が語りました。西谷さんが、かたわらにいた子どもたちに何か言いたいことはないかと水を向けると、20歳の長女が「年老いた父親のもとで、どうやって生活すればよいの」と嘆き、19歳の次女が「前の政権では食べることができたけれど、いまは毎日の食事にこと欠いているの」と畳みかけました。この状態が続けば、父親はもう一人娘を売るしかないと語りました。
 西谷さんは、これまでのアフガニスタン取材のなかで、いまが最悪の危機を迎えているとの認識を示しつつ、日本は軍事力を背景としたアメリカの政策を追随することなく、頑なになっているタリバン政権を、締め付け、追い詰めようとするのではなく、溶かしていくような太陽作戦で臨むべきではないかと述べました。実際、アフガニスタンの人々のあいだでは、「日本は軍隊を直接送り込んでいない」と高く評価されているといいます。
 西谷さんは、厳しい監視と弾圧のなかにあっても、カブールでは顔を出して政権への抗議デモをする女性たちがいることが希望であること、そしてタリバンのなかでも穏健な考え方の人たちが改革していくことに期待したいと語りました。
 参加者は25人で、「マスメディアの報道では知ることのできなかったさまざまな現実を知ることができた」「アフガニスタンの現状に関心を持ち続けたい」など関心が喚起されたという感想が多く寄せられました。


IMG_0008 動画を映写しながら話す西谷さん.JPG     動画を映写しながら話す西谷さん

セミナーに関連した西谷さんの著作:
・『ウクライナとアフガニスタン-この戦争の裏に何があるのか』(日本機関紙出版センター、2022年)
・『平和村で働いた ドイツで出会った世界の子どもたち』(あけび書房、2021年)
・『西谷流 地球の歩き方(上)中東&アジアの片隅で』(かもがわ出版、2019年)