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オンライン報告会「ウクライナ侵攻-現地取材したジャーナリストに聴く」を開催しました(5/12)

 ヒューライツ大阪は5月12日、ジャパンプレスに所属するジャーナリストの藤原亮司さんを講師に迎えてオンライン報告会「ウクライナ侵攻-現地取材したジャーナリストに聴く」を開催しました。藤原さんは、ロシアによるウクライナ侵攻の状況を取材するため、ポーランドから陸路でウクライナに入国し、3月5日から4月7日までリビウや首都のキーウ、そして虐殺や激しい戦闘が行われたブチャ、イルピンなどを取材してきました。
 藤原さんは、パレスチナやシリア、イラク、アフガニスタンなど紛争地帯の取材を20年以上にわたり続けています。藤原さんはこれまでの紛争取材の経験を踏まえつつ、今回現地で撮影した映像と写真を交えながら、被害を受けた人々や街の状況、国内の避難所で助け合っている市民のようすやインタビューなどを90分にわたり報告しました。参加者は60人でした。

 藤原さんは、ロシアの攻撃で深刻な被害を受けているウクライナにおいては、軍や地域防衛隊に志願しない人たちを許容しないとか、何らかのボランティアに参加しなければならないという「同調圧力」が存在するのではないかという疑問に関して、現場を歩く限りそれを感じたことはなかった、と以下のように振り返りました。
 戦闘や後方支援の活動を行う人たちのなかで、国外に避難したり、なにも関わらないことに対して悪く言っている人はいなかったです。各人はあくまでも個人の自由意志で関わっていることから、何もしない人に対して批判しないというスタンスをとっていました。キーウで会った50代後半の男性の話が印象的でした。「戦争が始まってから、仕事も何もできない。キーウにいることは危険だとわかっているけれども、何もしないでキーウに居続けている。それがロシアに対する抵抗なのです」。

 藤原さんは、キーウから北に120km離れたチェルニーヒウという街から逃れてきた50代前半の女性の話も印象的だったと述べました。
 「一軒家に住み、休日には、訪ねてくる友人とお茶を飲みながら、自分が植えた花を眺めたり、新しいマニキュアを試してみるというような生活は本当に幸せでした。プーチンは軍隊を投入してまで、私たちのそんなささやかな幸せを奪いたかったのでしょうか」。
 戦争を国際情勢や外交問題として語り始めると尽きない議論になるけれど、戦争によって失われていくもの、そしてもっと私たちが目を向けなければならないものは、奪われていった一人ひとりの時間であり生活であるということです。そこに目を向けることが重要ではないかと思います、と藤原さんは報告を結びました。

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