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女性差別撤廃委員会、婚姻、家族関係とその解消の経済的影響に関する一般的勧告を採択

 女性差別撤廃条約の実施を監督する女性差別撤廃委員会の第54会期が2月11日から3月1日まで開催されました。ソロモン諸島、パキスタンなどの条約の実施について審議がされたほか、婚姻、家族関係とその解消に関する一般的勧告29が採択されました。
 女性差別撤廃条約の16条は、締約国に婚姻と家族関係における差別の撤廃を義務づけていますが、多くの国がこの条文に留保を付しています。一般的勧告は委員会がそれら留保の多くが条約の趣旨目的と適合しないため、無効であることを懸念し、撤回を求めていると述べています。
 委員会は既にこの条文について一般的勧告21を採択していますが、先進国、開発途上国を問わず多くの女性が離婚、別居や死別などによる婚姻や家族関係の解消により経済的損失を被ることが見られ、この一般的勧告が、家族関係における経済的な利益やコスト、さらには関係解消による経済的結果を男性も女性も平等に担うよう形式的な平等だけでなく、実際に女性が被る不利益や排除を考慮した実質的平等を達成するためのガイドラインとなるとしています。
 勧告には次のような点が含まれています。婚姻、離婚や相続など家族関係に関する法的な枠組みについて、憲法の差別禁止が適用されなかったり、特定の民族または宗教の規律に服したり、民族や宗教によって異なる家族法の規定がある国がありますが、憲法に男女の平等を規定し、それが家族関係について、差別的な法律や慣行を温存するような例外は廃止しすべきであるとしています。
 家族関係について、特定の婚姻の手続をとるもの、事実上の関係など多様な形態がありますが、登録の有無や事実上の関係であるに関わらず、女性の経済的権利を保障する措置をとるよう締約国に求めています。
 また、婚姻することについて、金銭や物品または何らかの優遇を対価とすることは女性の配偶者を自由に選択する権利に反すると指摘されています。また、夫婦の財産について、それが共有とされていても女性にそれを管理、運用する権利がない場合もあり、夫婦の財産に対して平等のアクセスと、それを管理、運用する平等の法的能力を保障するよう求めています。
 婚姻や家族関係の解消について、離婚の有責主義をとる国において、男性と女性で不貞などの責任の基準が異なったり、有責者が経済的な負担を負う制度などがありますが、責任の異なる基準を廃止し、婚姻の解消の手続と経済的な側面に関する手続を分けるよう勧告しています。また財産の分割にあたり、ステレオタイプ的役割分業や女性に財産を管理・運用する法的能力が認められていないことなどにより、女性に不利になる場合がありますが、婚姻、家族関係およびその解消にあたっての経済的な利益・不利益は両方の当事者によって負われるという原則のもとに、婚姻中に得られた財産について、間接的または非金銭的な貢献も考慮するなど、財産の分割において平等が確保されなければなりません。また配偶者と死別した女性が財産を奪われたり、土地などの相続に子どもの有無や配偶者の兄弟との婚姻などの条件が付けられたりするなどないよう確保し、遺族年金などの社会保険についても男女の平等を確保するよう求めています。(3月13日)

出所:
一般的勧告、女性差別撤廃委員会(OHCHR)http://www2.ohchr.org/english/bodies/cedaw/comments.htm

(2013年03月18日 掲載)