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看護師国家試験、平易な日本語と病名の英語併記へ-外国人看護師候補者への対応策

経済連携協定 (EPA)に基づいて来日している外国人看護師候補者への対応に関連して、厚生労働省の「看護師国家試験における用語に関する有識者検討チーム」(座長=中山洋子・福島県立医科大学看護学部教授)10824日、国家試験での日本語表現の見直しに関するとりまとめを発表しました。

 同チームは、難しい日本語表現のために、専門的技術を有する外国人の看護師候補が、日本で資格を取れないという事態を避けるため、6月から検討を重ねてきました。
 見直しの概要は、1)平易な用語に置き換えても現場に混乱をきたさないと考えられる用語については、難解な用語を平易な用語に置き換える、難解な漢字にふりがなを振る、主語・述語・目的語を明示するなどで、2)医学・看護専門用語への対応については、疾病名への英語の併記、国際的に認定されている略語などの英語の併記、などを提示しています。

 日本はEPAに基づき、08年からインドネシア、09年からフィリピンの看護師、介護福祉士の候補者を受け入れてきましたが、看護師候補は3年という短い期間で日本の国家試験に合格する必要があります。しかし、母国では資格・経験のある候補者でも、現行の日本語の国家試験の表現は難しく、09年は受験者82人で合格者がゼロ、10年は受験者254人で合格者が3人(合格率は1.2%)という結果に終わっていました。08年に来日したインドネシアの候補者にとって、112月の試験が滞日中に受験できる最後の機会となります。この見直しの結果は、試験委員会に報告され、11年の国家試験に反映される見通しです。
 
これまで、看護師と介護福祉士の候補者は、インドネシアから08年8月の第一陣以降、10年8月の第三陣まで合計686人、フィリピンから09年5月と10年5月の合計428人と合わせて1,114人が来日しています。インドネシアは現地で2カ月、日本で4カ月、フィリピンは日本で6カ月間の日本語の集団研修を受けた後、来日前のマッチングで雇用契約を結んだ病院や高齢者介護施設に赴任し、就労・研修しながら、日本語による国家試験の受験勉強をしています。看護師が3年以内に、介護福祉士が4年以内に合格することを求められています。合格すると有資格者として働き続けることができる一方、不合格だと帰国しなければなりません。
 
一方、中途で帰国する候補者もいます。ヒューライツ大阪が厚生労働省に問い合わせたところ、10年8月1日現在で、帰国者数はインドネシア17人、フィリピン22人にのぼっています。中途帰国者率はインドネシアが2.5%、フィリピンが5.1%です。厚生労働省によると、主な帰国理由は「家庭の事情」「本人あるいは家族の健康事情」とのことです。なかには、「国家試験のハードルの高さ」を帰国理由に挙げる人もいるそうです。
 
出所:厚生労働省 
看護師国家試験における用語に関する有識者検討チームのとりまとめについて(10年8月24日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000nr2a.html

(2010年09月01日 掲載)