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資料9:アジア・太平洋の地域的取決めに関する第5回ワークショップの結論

1997年1月・ヨルダン・アンマン(主催:国際連合) (翻訳:ヒューライツ大阪、翻訳協力:槙 和枝)

結 論

  1.  アンマン・ワークショップは、カトマンズワークショップ(1996年)において採択されたアジア・太平洋地域の地域的取決めの設立に関する共通原則を再確認し、そのような取決めがこの地域の政府によって定められた優先順位や必要性から生まれ、またそれらに向けられたものであり、その役割、機能、課題、結果、達成はこの地域の政府のコンセンサスにより決められるべきであるということを繰り返すものである。アンマン・ワークショップは、カトマンズ・ワークショップでも採択された「段階的(step by step)」で、少しずつ積みかさねていくというアプローチを採用する。

  2.  国際人権文書の批准は、この過程の初期の段階のなかで大きな意義をもつ。そして、その初期段階の間に、人権の保護および伸張を実施する各国の力量を高める努力を行うことは不可避である。このワークショップは、域内で国内人権機関の設置や国内行動計画の策定に向けて行われている数多くの動きに留意し、地域レベルでのこれらの経験、そして専門知識の交換の必要性とその価値を強調する。

  3.  このワークショップは、独立した国内人権機関の設置をアジア・太平洋地域の政府に奨励するものである。さらにカトマンズ・ワークショップ以来、アジア・太平洋地域国内人権機関フォーラムが創立されたことに留意し、さらにその発展を支持し、そしてこのフォーラムが地域全体の独立した国内機関に開かれたものであるよう勧告する。

  4.  国内人権機関とNGOなども含む市民社会が、地域的取決めを作成する過程でのさまざまな段階で果たす役割、そして国内の人権に関する力量を高める役割、および地域的協力を実施するうえでの役割をアンマン・ワークショップは認識し、さらに地域的取決めを発展させていく過程へのそれらの継続的な参加を歓迎する。

  5.  アンマン・ワークショップは、植民地や外国の支配および占領下にある人々のすべての権利、すなわち自決権および帰還する権利を含む市民的、政治的、経済的、社会的および文化的権利は普遍的で、相互依存をしており、不可分であること、さらにそれらは、同時に法的に認められた権利(stricto sensu)であるということをあらためて確認する。

  6.  アンマン・ワークショップは、発展の権利が普遍的かつ不可譲なものであり、そして基本的人権の必要な要素であると再確認する。このワークショップは、国際法や国連憲章に従わない一方的措置で、国家間の貿易関係の妨害をもたらし、世界人権宣言や国際的人権文書により規定されている人権、とりわけすべての人のもつ健康と幸福のために必要な生活水準(食糧、医療、住居および必要な社会サービスを含む)への権利を阻害するようなものを慎むよう要請する。ワークショップは、食糧が決して政治的な道具として使われてはならないことを確認する。さらにこのワークショップは、そのような措置が、弱い集団、子どもや女性に対して与える人権面での影響について、それらの集団の人権伸張と保護の視点から注目し続けるよう国連の人権機構に求める。

  7.  アンマン・ワークショップは、人権問題の考察において、普遍性、客観性、そして非選択性を確保することの重要性をあらためて確認する。

  8.  アンマン・ワークショップは、国連加盟国の要望や優先順位に従った人権分野における国連技術協力活動の重要性を認識し、そのような技術協力は国連人権監視活動と合併すべきでないことを繰り返し提言する。

  9.  アンマン・ワークショップは、地域的取決めを設立する過程は段階的なものでなくてはならず、情報交換、国家の能力の強化、および信頼醸成措置などをともなうべきであると認識する。

  10.  経験と知識、最良の事例について地域内で情報交換し国内および地域内の人権の能力をさらに強化するという目的で、地域技術協力計画を国連人権センターの技術協力計画との協力関係により策定・実施することを、ワークショップは強く勧告する。

  11.  ワークショップは、この地域の政府によって構成されるワーキング・グループを構成し、アンマン・ワークショップで合意を得た結論について、国連人権センター、国内人権機関、NGOとの協議を行いながらフォローアップを行い、とりわけ、経済的、社会的および文化的権利の漸進的な実現のための国内人権機関の役割の強化、発展の権利の実現、人権教育の有効な実施のための方法の開発、人権分野における国内行動計画のためのガイドライン作成、共通の課題に関する協力のための戦略の策定に焦点をあてた地域内の協力計画を策定することを決定した。

  12.  上記のプログラムは、地域内の専門的能力を最大限に活用することで実施されていかねばならない。

  13.  ワークショップは、地域の政府に対し、この地域技術協力計画を支持し、その実現に貢献することを求める。

  14.  このワークショップは、この重要な地域技術協力計画策定に向けての動きを支持し、その実施のための資源を提供するよう、国連事務総長と国連開発計画に要請する。