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韓国における国際結婚移住者の現状と政策への提言

ヤン・ヘウ (移住女性人権連帯 政策局長)

1.韓国における外国人の滞在の現状と展望
 韓国に滞在する外国人の数は毎年大きく延びている。3ヶ月以上韓国に長期滞在している外国人は1997年386,972人から2007年末には1,066,273人となり、韓国の総人口の2.2%を占め、2012年にはおよそ150万人に達すると見込まれている。外国労働者は製造業部門の労働力不足、国際結婚の増加、韓国系外国人に対する優遇政策などによって、今後も増え続けると予想される。2007年末、韓国内における外国人滞在現状は以下のとおりである。

2007年末の出入国統計資料参照
滞在
現状
単純
労働
結婚
移民者
訪問就業
同胞(注)
未登録
外国人
留学生投資
企業家
専門業
労働者
人数233,699110,362169,988223,46661,8368,10929,081
割合21.9%10.4%15.9%21%5.8%0.76%2.7%





(注)中国やロシアなどに居住する韓国系外国人が訪問就業ビザの対象となり、入国、在留期間、職場の移動などの面で条件が優遇される。

 一方、統計庁によると、韓国は2018年を境に生産労働人口が大きく減少し、2050年には2005年の総人口に対する生産労働人口71.7%に対し、約18%減の53%に達すると予測されている。これを受けて、韓国政府は高齢少子化社会に備えるための対策として、外国人労働力の受入政策を積極的に検討している。特に、韓国人の配偶者として韓国社会に同化しやすいと思われる国際結婚や、文化的に同質性を保持している韓国系外国人の就業条件を緩和し長期滞在を許可する政策などで、今後の労働力不足に備える必要があるという、いわゆる「活用論」が優勢である。しかし、韓国における外国人移住者が大きく増え、移民社会に向けて様々な政策が積極的に模索されているのにもかかわらず、韓国社会における移住者は、単一民族や国益優先というイデオロギーの影響で、依然として排他的な他者として存在している。

2.国際結婚移住者の現状
 多文化間の結婚は毎年少しずつ増えてきている。2005年、韓国内で国際結婚が占める割合は約13.6%だったが、2007年には11.1%で少し減少している。しかし、相変わらず国際結婚は韓国全体で一定の割合を占めており、特に農村地域では40%を上回るという「普通」の現象になっている。この要因であるが、韓国社会の内部要因として、男女比の不均衡や農村地域を始めとする社会的脆弱な階層の男性の結婚の難しさがあり、外部要因としては、グローバル資本によるアジアの共同体の崩壊、市場開放による文化や情報への容易なアクセス、未熟練労働者に対する厳しい制限政策などで、比較的入国が容易な私的領域である国際結婚を選択しているためである。
 国際結婚移住者の出身国を見ると、女性の場合、中国朝鮮族(37.6%)、中国(22.4%)、ベトナム(17.8%)、日本、フィリピン、モンゴル、タイの順であり、男性の場合、中国朝鮮人(42.1%)、中国(17.7%)、アメリカ、日本、バングラデシュ、パキスタンなどの順である。特に、中国朝鮮族の場合、円滑なコミュニケーションができることと同じ血統という民族的同質感などの理由で、他国出身の女性に比べて好まれてきたが、社会主義教育の影響で女性としての高いプライドを持ち、家庭内での家父長的韓国人男性との頻繁なトラブル、中国朝鮮族に対する就業機会の拡大で、国際結婚をしなくても韓国に入国することが出来るようになったため、中国朝鮮族との国際結婚は徐々に減りつつある。
 地域的分布を見ると、ソウル(23,314人)、京畿(22,340人)、仁川(4,927人)、釜山(4,927人)、慶尚南道(4,511人)など、およそ65%以上が大都市に居住している。なお、再婚が占める割合もおよそ45%で、離婚や妻の死別後に子どもの養育や経済的状況などで再婚が難しい男性にとって、移住女性は比較的選択しやすい配偶者として浮かび上がっている。また、以前は農村地域を中心とする国際結婚が大多数を占めていたが、最近は都市地域に住んでいる、社会・経済的地位の低い男性に至るまで、その対象は広まりつつある。
 韓国統計庁によると、国際結婚の離婚率は2003年に2,784件、2004年に3,315件、2005年に4,208件と、毎年大きく増えており、このうち15歳~19歳の女性が5.4%、20歳~24歳の女性が19.7%と、25%余りが24歳以下となっている。これは、韓国人男性と外国人女性の間の年齢差がトラブルの一つの要因となっているためである。韓国政府や家父長的保守主義者たちは、国際結婚における離婚率の増加について懸念を示し、在留資格および国籍取得をより厳しく制限すべきだと主張している。しかし、経済的困難や失業、アルコール問題など、周辺化した男性との結婚が危機にさらされるのはそれほど驚くことでもない。

3. 国際結婚の経路
 一般的に国際結婚が成立する通路は大きく4つに分けられる。(1)商業的な仲介業者を介した結婚 (2)宗教団体を介した結婚 (3)国際結婚をしている夫婦や韓国で働いている家族あるいは親戚の紹介による結婚 (4)外国人労働者の韓国滞在が長期化し、日常生活での恋愛で結婚する場合などである。初期費用や資本の投資をしなくても高所得が上げられる商業的結婚仲介業は、1998年に制度が簡素化して以来、2005年には約2,000ヶ所以上に増えている。
 その間、国際結婚の仲介業者は結婚を希望者の募集やお見合いでの人身売買的なプロセス、配偶者に対する虚偽・誇張情報の提供、高額の斡旋費用、反人権的な事後管理などの問題が深刻化することによって、2007年には国際結婚の仲介業者の管理に関する法律が制定された。国内結婚の仲介業者については申告制に、国際結婚については登録制に切り替わった。仲介業者が結婚の仲介業務を行う際に、虚偽・誇張の広告や個人情報の流出を禁じているが、商売に走る仲介業者は、結婚移住者の女性は、夫の家族のために犠牲にならなければならないと強調したり、貧困に耐える強い生活力を要求したり、夫に従順に従わなければならないというイメージを浮き彫りにして、平等であるべき家族観を歪曲させるだけでなく、結婚と女性を一つの商品として売買の対象として取り扱っており、今後より根本的な対策が必要である。

4. 結婚移民者家族の問題
1) 国際結婚の仲介業者の乱立と売買婚的な結婚の問題
2005年に行った 韓国保健福祉部の国際結婚移住女性の実態調査によると、結婚仲介業者を通して結婚した移住女性のうち、夫について事前に提供された情報が実際と異なっていると答えたのは44%に達している。このうち、夫の性格(66%)、財産(54%)、所得(49%)、職業(44%)のほか、結婚した経験や年齢、配偶者の健康状態、子女の有無についても事前に提供された情報と一致しないと答えている。どんな手段を使っても結婚の成功率を上げて経済的利益を得ようとする仲介業者が、女性に対し正確な情報を提供していないのが現実である。このような虚偽の情報は、慣れない異邦の地で経験するカルチャー・ショックやトラブルから、夫に対する失望や不信感にまで発展し、家族同士の親密感を阻害し、結婚を破綻させる要因にもなる。また、およそ1000万ウォン(日本約72万円)でもある仲介費用を支払った男性たちは、自分と結婚した女性を「大金を払って購入した」と認識し、結婚移住者の女性を妻としてではなく、「家政婦」あるいは世継ぎの道具として取り扱うのである。

2) 在留要件など、身分上の不安
結婚移住者は、韓国国籍を取得(2年間通常の結婚生活を維持した場合、簡易帰化を許可)する前までは外国人の身分であるため、国籍取得の前に離婚すると、滞在資格が不安定になってしまう。国籍法が改正され、配偶者の死亡や失踪、子育て、結婚破綻の理由が配偶者にあった場合、例外的に簡易帰化を許可しているが、夫婦間あるいは夫の実家との間でトラブルがあった場合や、夫婦の性格の違いなどで離婚した場合には、その責任を「我慢して努力しなかった」移住女性者に負わせ、離婚と同時に滞在資格を失うことになる。平等であるべき夫婦関係に滞在資格の維持というヒエラルキーが作られてしまい、結婚移住者の女性は韓国国籍を取得するまでは我慢をするしかない。なお、こうしたヒエラルキーのせいで、国際結婚移住者の女性が家庭内暴力にさらされている可能性は非常に高い。

3) 家庭内暴力
韓国保健福祉部の実態調査によると、農村地域に居住する結婚移住者の女性のうち、4人に1人が言葉による暴力や身体的暴力など、家庭内暴力を経験したと答えている。家庭内暴力の原因は、家父長的な男性観、年齢差のある若い妻、外国人、売買的な性格の結婚など重層的である。なお、暴力の内容は、言語による暴力31%、身体的暴力50%、性行為の強要40%など(国際結婚移住女性の実態調査、韓国保健福祉部、2005年)、深刻なレベルに達していることが分かる。女性家族部の調査からも、結婚移住者の女性のうち、17.5%が暴力的あるいは侮辱的行為を経験したと答えたが、警察に通報したと答えたのは9%以下で、通報の方法が分からなかった、結婚生活を維持するために通報しなかった、と答えた人が多かった。家庭内暴力のためのホットライン「1366」があるが、これを知っているのは17.1%で、非常に低く、相談サービスを利用した場合でもその満足度はさほど高くなかった。家庭内暴力に対する法的手続きや権利についても理解が不十分で、暴力に対し積極的に対処していないのが現状である。

4) 貧困と就職の問題
多くの移住女性は、経済的により豊かな韓国に対する憧れや、経済的に苦しんでいる国の家族の力になるという未来を夢見て韓国人との結婚を選択する。しかし、実際、国際結婚をする多くの韓国人男性も経済的に安定していない状況であり、韓国での結婚生活はそれまで夢見ていたバラ色の生活ではなく、自国での生活と同じく相変わらず経済的に苦しみながら暮らしている。京畿道の実態調査によると、国際結婚の家族のうち、およそ40%が月平均100万ウォン余りの所得で暮らしていると答えたほか、所得が一切ないか、100万ウォン以下であると答えた貧困層も5%あった。2006年の韓国の世帯当りの所得の月平均が360万ウォンであるが、国際結婚をした家族の50%が潜在的貧困層の「次上位」、あるいは「次次上位」階層に留まっている。しかし、現時点で基礎生活保障(日本の「生活保護」にあたる)の対象や「次上位」階層として登録されている結婚移住者の家族はおよそ4%に過ぎない。生計の助けとなるために80%を超える移住女性が就職を希望しているが、子育てのため(66%)、職探しが難しい (23.1%)、韓国語がうまくできない (23.1%)、などの理由で就職が難しかったと答え、就職の機会が多くなることを希望していることが分かった。

5) 外国人に対する韓国社会の外国人排除と偏見
 国際結婚移住者の女性は、出身国への思い、韓国社会での疎外感、経済的な苦しみ、家庭内暴力、文化の違いといったトラブルなどで、孤立した生活を余儀なくされている。2006年、女性家族部の実態調査によると、韓国で生活しながら最も辛かった点で、孤独感(23.2%)、文化の違い(15%)、言語の問題(11.8%)などをあげている。結婚移住者の女性たちは国籍を取得し住民登録証さえ受け取れば韓国人になれると思っているが、韓国社会に深く根付いている単一民族、血統主義のイデオロギーは、彼女ら自身を自ら他者化するよう強要している。また、 結婚移住者の女性に対する偏見(「いつ逃げるか分からない」、「お金のために結婚した」、「国の家族にお金を送金することだけを考えている」など)は、移住女性の人格そのものを否定しており、彼女らは生活の中でも日常的差別や白い目にさらされているのである。

6) コミュニケーションの問題
 家族関係の形成、慣れない食べ物や気候など、結婚移住者の女性にとっては生活そのものが一つのチャレンジである。その中でも最も難しいのは言語・コミュニケーションの問題である。京畿道の実態調査報告書によると、農村地域に居住する結婚移住者の女性(18.3%)は都市に居住する 結婚移住者の女性に比べて、韓国語教育を受ける機会が少なかった。なお、韓国語教育を受けた経験のある 結婚移住者のうち、70%が6ヶ月以下の短期間の教育を受けていた。韓国語教育を受けた機関のほとんどは、民間団体、女性会館、住民自治センター、社会福祉団体などであった。調査の結果、中国朝鮮族人を除いた72.4%が韓国語教育が必要であると答えており、韓国語教育を受けるためには保育施設の完備(23.7%)、教育に関する情報(22.8%)、自宅近くの教育機関(15.8%)、レベルに合わせた授業の提供(10.1%)などの条件を求めている。外国人政策本部では、最近、各自治体や保健家族部が多額の予算を費やし、韓国語教育や育児ヘルパーなどの各種サービスを提供しているが、その利用者が10%に過ぎないことを受けて、韓国語教育を国籍と連動させる、いわゆる「社会統合履修制度」を提案している。「社会統合履修制度」の主な内容は、結婚移住者が韓国国籍を取得するためには、およそ1年6ヶ月間にわたって週3時間ほどの教育課程を履修しなければならないというものである。しかし、このような義務的な履修が国籍取得に足かせになってしまい、かえって結婚移住者の女性を脅かす要因になる可能性があるという問題が提起され、現在暫定的に保留状態にある。

7) 子どもの教育の問題
 2007年、韓国行政自治部の報告によると、国際結婚家庭の子どもの総数は44,258人で、6歳以下26,445人(59.8%)、7~12歳14,392人(32.5%)、16~18歳1,241人(3%)で、就学中の子どもは総13,445人であった。結婚移住者の子どもが就学することにより、学校や周辺環境からの差別、イジメ、同年代の子どもからの暴力を受ける可能性が高い。2007年、韓国青少年政策研究院によると、結婚移住者の子どもが持っている悩みとして勉強(33.3%)が最も高く、職業や進路の問題(13.3%)、言語の問題(11.7%)、イジメ(10%)、経済的な苦しみ、家庭問題の順であった。結婚移住者家庭で生まれた子どもの場合、成長していく中で韓国や父親、あるいは母親の国へのアイデンティティなどの混乱で、心理的・情緒的不安を招く可能性が高い。また、家族の苦しい経済状況などで十分な塾や家庭教師の費用がなく、成績不振や学校生活への不適応を招く心配もある。現在、塾や家庭教師など私的教育が過熱している韓国社会で、経済的に苦しい結婚移住者家庭の子どもが競争力を持つというのは非常に難しいのが現状である。

5. 政策への提言
結婚移住者は、国際結婚の過程から実際の日常生活に至るまで、次々と現れる様々な問題に直面している。仲介業者を介した国際結婚の過程での被害、言語・コミュニケーションの障壁、文化の違いによる孤立、子育ての難しさ、貧困や社会保障からの排除、様々な形の家庭内暴力や差別経験など、あらゆる状況が結婚移住者の女性の安定的地位や人権を脅威している。
 これを受けて、韓国政府は2006年4月から結婚移住者の女性を対象に、総合的な社会統合対策を設けているが、統合的政策の実施や伝達システムが十分でなく、結婚移住者の女性を一方的に韓国社会に吸収・同化させるレベルに留まっているが、こうしたことが、女性たちを保護の対象として扱ってしまい、その自立性を侵害する可能性も高い。また、移住女性が直面している現実や条件などに柔軟に対応できる、いわゆる「ジェンダー的移住政策」の不在は、現在、多数の移住女性を人権の死角地帯に放置する結果を招いている。
 従って、韓国内に居住する移住女性の政策には根本的な方向転換が必要である。なお、これは多文化社会への移行に備える韓国社会の移住政策全般を再構成する中で、同時に行われなければならないだろう。
 その基本方向として、まず移住女性の人権保護や市民としての権利を拡大し、次に移住女性が社会に自分の声を出すことが出来るようにサポートすること、最後に多文化社会に向けての「ジェンダー的移住政策」を実施する必要があるといえよう。

6. 分野別課題
1) 人身売買的な国際結婚の被害者を保護しなければならない
現在のような性差別的・人権侵害的国際結婚の仲介行為をより徹底的に管理・処罰できるよう法律を改正して人身売買防止法を制定し、売買的な性格を持つ結婚については処罰したり、被害者の安定的な滞在資格が保障できるようにしなければならない。主な在外公館に女性人権担当官を配置し、相手の国の女性を対象に情報提供および教育活動を行うとともに、事前ビザ・面接制度を導入することによって人身売買的な結婚なのかどうかを把握するなど、ビザの発給を厳しく制限する必要がある。

2) 結婚移民者の安定的滞在を保障しなければならない
このためには、国際結婚とともに外国人配偶者に永住資格を与え、偽装結婚については事後介入によって処罰するのが望ましい。韓国での滞在期間が2年にならないと国籍取得が出来なくなっている現行制度および身元保証制度は、夫や韓国人家族の協力が無ければ不可能になっているため、平等であるべき夫婦関係にヒエラルキーを作っており、早急に改善が必要である。

3) 移住女性の基本権および生活保障を拡大しなければならない
次に、家庭における性暴力の被害を防ぐための予防教育を拡大し、家庭内暴力および性搾取、人身売買の被害者のためのシェルターを増やさなければならない。なお、結婚や離婚など、民事上の司法手続きの中に通訳者など、コミュニケーションをサポートするシステムを整える必要がある。そのほか、子どもがいる移住女性の子育て・教育へのサポートも充実させなければならない。更に、移住女性の就職など、経済活動への支援(就職のための教育および仕事の連携拡大)、多国語で表記された標準労働契約書の作成および配布、緊急支援および国民基礎生活保障の適用における特例を増やすことによって、結婚移住者の安定した生活を保障しなければならない。

4) 移住女性のエンパワメントおよび社会参加の機会を拡大しなければならない
韓国語教育を始めとする体系的で多様な教育の機会を提供し、地域社会のコミュニティーをベースにした移住女性のための自助グループを積極的にサポートすることによって、結婚移住者の女性が主体的な役割を果たすことが出来るように支援する。また、韓国政府や自治体での移住女性関連の政策決定時に、結婚移住者当事者が参加し、当事者の声を強く出すことができるように制度化することが必要である。

5) 現在支援している様々な政策およびコミュニケーションの体系を効果的に構築しなければならない
結婚移民者を始めとする移住者を支援するための法律や社会システムには、在韓外国人処遇基本法(法務部)、多文化家族支援法(保健福祉部)、地方自治団体条例(行政安全部)などがあり、主な事業としては、ハングル教育サービス、結婚移住者子女の学習指導および子育て支援、結婚移住者家庭の福祉支援、妻の母親との良き関係作り、子どもキャンプ、 結婚移住者の職業能力の開発のための外国語講師の養成と採用、文化フェスティバルなどを実施している。しかし、このような政策は多文化家族が社会的に注目を寄せられてから緊急に導入実施されたため、その方向性が関係機関によって異なっており、多文化政策の方向すら明確に設定されていない状況である。今後、結婚移住者をはじめとする多文化家族は継続的に増えると予想されている。したがって、より具体的で明確な多文化政策の設定とともに、各種移住政策・制度に対する性別影響評価を実施したり、ジェンダー統計を構築し、移住対策に関わる公務員および公共機関の関係者向けの人権教育・多文化理解教育を拡大しなければならない。現在、各省庁毎に重なって実施されているサービスの支援システムを一元化し、より効率的に支援できるシステムを構築する必要がある。

6) 「ダブル」の文化・バイリンガルの長所を生かせる教育的・文化的基盤を造らなければならない
国際結婚移住者家族の子どもは外見による差別や、「ダブル」の文化によるアイデンティティの混乱といった問題が生じる可能性があるが、実際バイリンガルや「ダブル」の文化は長点であると考えることができる。彼らが、学習能力が低く社会的偏見からの保護が必要な対象であり、これを放置した場合、韓国社会に潜在的に危険な要素になるかもしれないといった仮定の予防的政策からはなれ、韓国とアジアの他の国との両方の文化や言語を使いこなせる国際的人材として認識し、より積極的に支援の教育を実施する必要がある。さらに、一般的に定められた教育カリキュラムの中で、子どもたちが移住・多文化・人種問題などを正しく認識し、生活での差別を乗りこえる教育も要求されている。
(翻訳:オ・ヘギョン、パク・クネ)