文字サイズ

 
Powered by Google

MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 過去アーカイブ(これからの事業)
  3. 第3回国際人権わいわいゼミナール「韓国における教育改革の最前線-以友学校の挑戦-」報告 (1月19日開催)

第3回国際人権わいわいゼミナール「韓国における教育改革の最前線-以友学校の挑戦-」報告 (1月19日開催)

07年1月19日(金)午後、第3回国際人権わいわいゼミナール「韓国における教育 改革の最前線-以友学校の挑戦-」がヒューライツ大阪セミナー室で開催されました。今回は、韓国のフリースクール以友学校の教員キム・ジュヒョンさんが1 月16日から25日まで動向の高校1年生のフィールドワークで日本を訪問中の機会を利用して、わいわいゼミナールの講師をお願いしました。

当日の報告の要旨は、次のとおりです。


<当日のパワーポイントより>

「韓国における教育改革の 最前線-以友学校の挑戦-」
・新しい教育実践の場
以友学校は公教育の改革のモデルを夢見て設立された。3年が経った今、どこまで来ているか。

・以友学校の沿革
  1997. 11 各界各層が集まり学校設立方向を模索
  2001. 12 以友教育共同体」を結成
  2003. 09 以友中・高等学校開校(中・高 1年生)
  2004. 07 以友教育研究所」を設立
  2006. 02 以友中・高等学校1期生卒業式

・以友学校の性格

  1. 公教育の補完的機能ではない普遍的対案
  2. 特殊な条件ではなく、都市から通学する学校
  3. 小さすぎず、大きすぎない適当な規模の21クラス420名
  4. 個人の幸福を超えて幸せな世の中を作ろうとする人を養成
  5. 宗教財団や個人ではない多数の市民が共同して設立
  6. 孤立した島ではなく、地域に根付いた学校


・以友学校の教育課程

  1. 個人の特性を反映した教育課程編成・運営
      - 7~10年生 : 特性化選択教科の運営
      - 11~12年生 : 適正、および、進路を考慮した個人別教育課程の運営
  2. 自己主導的な学習能力の啓発
      - 自己学習啓発書を通した学習能力の伸張
      - 多様な自立学習サークル活動の活性化
      - 各教科でIR(Individual Research)課題を提示
      - 中3 「卒業作品」 、高3「論文研究」における完成度の高いIR 実施
  3. 学びの共同体に向かった授業
      - お互いに聞き入れる関係の形成
      - 小集団の協同学習を通した挑戦的な課題の解決
      - 生徒を一人も学びから疎外しないような配慮

  活動 1. 多様な体験学習

  • 多様な特性化教科編成の運営 : 農業、 生態、 木工、 陶芸、 調理実習、 映像制作、 器楽合奏、 野外活動など
  • 統合紀行 : 年2回、学年別統合紀行

  活動 2. 社会参加とボランティア活動

  • 農村ボランティア活動 : 全教員、および、全生徒が年1回、2泊3日で農村ボランティア活動
  • 「地域活動とNGO」教科編成、運営
  • 特別活動、および、創意的裁量活動の時間を活用した地域社会のボランティア活動
  • 社会教科(社会参加プロジェクト)

  活動 3. 進路探索

  • 定期的な進路の特別講座、および、職業懇談会開催
  • <職業と進路>(高1) : 職業世界の理解、職業探索
  • <インターンシップ研究>(高2) : 関心のある分野の職業体験
  • <論文研究>(高3) : 自分で選択した分野について集中探求

  自治 1. 自立と協同を学ぶ生徒自治活動

  • 生徒自らが定める規則
  • 生徒中心の行事進行 : 文化祭、体育大会
  • 生活活動組合の設立、および、運営


・新しい教師文化

  1. お互いの授業を通して共に学ぶ
      - 毎週水曜日に授業研究会を開催
      - 生徒の学習がどのように起きるかということに焦点
      - 授業の出来、不出来を指摘するのではなく、自分が学んだことを共有
  2. 自発的に研究する小さな会
      - 学習、 授業などに関するセミナー
      - 統合教科型の授業のための世界史統合勉強会
      - 特性化教科の教育課程の内実化のための研究会
  3. 多様なサークル活動
      - 「お姉さんたち」(女先輩の集まり)
      - 水曜画室
      - 歴史探訪旅行サークル


・学校運営の1つの軸保護者会

  1. 保護者会(PTA)の構成(略)
  2. 役割
    1) 学校運営の一つの主体として参加
      - 教科教育支援
      - 図書館、および、給食運営の支援
      - 学校施設と環境に親しめる学校風景づくりの支援
      - 生徒の多様なサークル・クラブ活動の支援
    2) 教師と緊密に意思疎通し、協力


・学校革新支援体制

  1. 教育主体間の多面的な評価を実施
      - 学期別に多面的な評価を実施 : 教師、 生徒、 保護者全員参加
      - 2年周期で専門家集団による学校評価を実施
  2. 学校長の選出制
      - 任期 : 4年、 再任のみ可能
      - 選出主体 : 学校法人、理事会、理事と同数の教師代表、保護者代表、地域の代表で構成された<学校長選出委員会>
  3. 社団法人「共に開く教育」の設立・運営
      - 予備教師養成と教師研修(職務研修)
      - 教育課程コンテンツ開発
      - フリースクール設立支援
      - 地域教育、 文化関連事業
      - 各種プロジェクト企画、 進行、および、出版事業


・3年を過ぎた今、生徒たちは

  1. 批判的な思考力、 創意的な思考力、 問題解決能力の伸長
  2. 意思疎通をする能力の涵養
  3. 進路探索と適性の啓発
  4. 社会的な関心と参加する意識の向上
  5. 自立性と自治能力の向上
  6. 精神的に成熟