文字サイズ

 
Powered by Google

MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

学習会「外国にルーツを持つ子どもたちの教育課題を考える~子どもの抱える課題と支援のあり方」を開催しました。(11月30日)

 ヒューライツ大阪、NPOおおさかこども多文化センター、関西大学外国語教育学会の共催で、学習会「外国にルーツを持つ子どもたちの教育課題を考える~子どもの抱える課題と支援のあり方」を11月30日に開催しました。参加者は71人でした。以下、概要を報告します。

 第1部は山野上麻衣さん(一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程、日本学術振興会特別研究員)の講演でした。山野上さんは「外国にルーツを持つ子ども」には外国籍、日本国籍の両方の子どもが含まれていると説明し、2017年に大阪府で生まれた子どものうち約4.2%(24人に1人)が「外国ルーツ」であるという統計を紹介しました。
 日本全国を対象とした統計(学校基本調査)から、3年前の中学校在籍者数に対する高校在籍者数の比率を出したところ、外国人・日本人を合わせた全体では93.4%に対して、外国人のみでは68.3%とかなり低い結果となります。これは、高校進学において外国にルーツを持つ子どもが困難を抱えていることを示しており、この困難の背景には、これらの子どもたちに不利な条件が集中しやすい社会がある、と説明しました。
 山野上さんは支援にあたって気を付けたいこととして、支援者が相手の背景を理解せずに自分の価値観を押し付けていないかという点をあげました。そして、支援者が相手とわかりあえないと感じた時にまずは相手の話を聞くことが大切であり、日本語で難しければ通訳をつけることも必要で、その手間を惜しんではならないと強調しました。
 また、外国にルーツを持つ子どもたちへの支援は学力向上を目指す方向になりがちで、様々な背景からがんばれない子どもは支援から外れてしまう傾向があるけれども、「学力が低い」からといって、苦しい働き方・生き方を強いる社会であっていいのか、と問いかけ、不公正な社会を変えていくことも重要であると訴えました。
 第2部はグループワークで、11のグループに分かれて参加者同士で経験を出し合い、意見交流をしました。
 第3部は質疑応答で、多数の質問が出されました。最後に山野上さんは自身が外国にルーツを持つ子どもたちの支援をするにあたって「困ったときに『助けて』と言える人になってほしい」と思っていることを紹介し、子どもたちとともによりよい社会を作っていきたいと締めくくりました。
 アンケートでは「非常にわかりやすく、考えさせられる内容だった」「グループワークでは日ごろの問題意識を共有でき、大変充実していました」といった声が寄せられました。

山野上さん.jpg

会場全体.JPG