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韓国国家人権委員会ヘイトスピーチ・プロジェクトチームと韓国女性民友会を訪問(10月4日)

三輪敦子所長が、韓国・光州市で開催された第6回世界人権都市フォーラムに招聘され参加し(『国際人権ひろば』148号(2019年11月号)「人として♥人とともに」参照)、その帰路、ソウルで、韓国の国内人権機関である国家人権委員会と、女性人権の代表的なNGOである韓国女性民友会の事務所を朴君愛職員と共に訪問しました。以下、インタビューの概要を報告します。

<国家人権委員会ヘイトスピーチ・プロジェクトチームが発足>

国家人権委員会では、2019年1月に新しく立ち上がったヘイトスピーチ・プロジェクトチーム(韓国語の直訳は「嫌悪差別対応企画団」)のキム・ジョンハク・チーム長をはじめとする担当者に現状と取り組みについて話を聞きました。

韓国では、この数年、社会でヘイトスピーチの問題が深刻になっています。特に、女性に対する嫌悪やイスラム教徒の難民、LGBTなど性的マイノリティに対するヘイトスピーチが際立っているという認識です。国家人権委員会は、こうした状況を座視できないということで、ヘイトスピーチ・プロジェクト・チームが発足しました。そして同アジア圏で、先立って対応を進めている日本の経験について詳しく検討しています。

2019年9月には、韓国で、APF(アジア・太平洋国内人権機関フォーラム、この地域の25カ国の国内人権機関が加盟)の会議が開催されましたが、テーマが「ヘイトスピーチ」でした。アジア各国で、特定のマイノリティ集団に対するヘイトスピーチがどこでも存在しており、会議ではこの問題に対処するための各国の国内人権機関や市民団体の様々な努力が共有されました。

そして、国家人権委員会では、まずは人々の意識を変えることが大事と考え、「マジュ(向き合うこと)キャンペーン」を展開しています。ヘイトスピーチに対する認識のギャップがあるので、キャンペーンを通じて、やってはいけない表現とは何かを考え、認識の改善とヘイトスピーチに対抗する文化を作っていくことをめざしています。また地方自治体でヘイトスピーチに関する条例制定が促進されるよう、国家人権委員会と自治体関係者が定期的に会議を持っています。

インタビューではこの他に、ヘイトスピーチに関する最近の日本の取り組みについて意見交換をしたり、国家人権委員会と人権NGOとのパートナーシップを強める努力についても話を聞きました。

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「嫌悪と差別を超えて、
   誰もが尊厳を持って」
国家人権委員会の廊下の壁に
掲げられていたおしゃれなスローガン。

国家人権委員会に対し、人権侵害の救済を求めて、ネットや電話で申立ができるが、直接事務所に行くこともできる。
開放感があり、明るいソウルの事務所。

<韓国女性民友会の2019年の重点活動から>

韓国女性民友会は、設立以来30年あまり、総合的に女性の人権向上にとりくんできた韓国を代表するNGOの一つです。2019年3月には、ヒューライツ大阪、大阪府立大学女性学研究センター、大阪市立大学人権問題研究センターが共催した日韓の#MeToo運動に関わるシンポジウムに、報告者の一人として民友会スタッフのチョン・イェウォンさんを招きました。アン・ヒジョン前忠清南道知事による性的暴行事件の裁判では、民友会が中心になって裁判支援活動を展開してきましたが、2019年9月に韓国の大法院(最高裁判所)で懲役3年6月の実刑判決が確定しました。

今回の訪問では、事務局長のチェ・ジンヒョプさんとスタッフのコッカム(愛称)さんが対応してくださいました。

まず民友会の活動を一言で説明すると、「日常生活で女性たちが受けてきた差別の経験、そうした声が民友会に集まって運動になるーこれが民友会の活動の目標」です。そして民友会は、課題ごとに他の様々な市民団体と積極的に連帯して活動をすすめています。350の団体とともにすすめている#MeToo運動もその一つです。また、会員がチームを作って、それぞれの関心で多様な活動をしています。最近、弘益大学の近くで起きた日本人女性に対する暴行事件をめぐり、これは国と国の問題ではなく、人権の問題であり女性の問題であるとして、日本語でみんなのエッセイを集めた本を出す企画を進めています。コッカムさんはそのメンバーの一人で、日本文化に興味があり、日本に旅行に行くのが趣味です。

 民友会が、今年度、特に力を注いでいる取り組みは「組織文化を変える」です。例えば、#MeToo運動で明らかになってきた性暴力事件は、組織の中で起きていますが、事件は単独で生じるのではなく、組織の文化から起きるものであると考えます。そこで組織文化を変えるために本を2冊作成しました。一つは企業の人事担当者などを想定した読み物、もう一つはコミュニティや市民団体を対象にした、「平等な組織文化を作るためのワークブック」です。内容の一部を紹介すると、組織の構成員のコミュニケ―ションの問題について、組織で「安全に話ができる空間とは何か」、「お互いが許容できることと、許容できないことは何か」などをワークブックを活用しながら議論を進めていきます。

インタビューではその他に、女性たちからの相談の多くをしめる職場内の問題に対して民友会はどのように支援するのか、あるいは日韓のセクハラに対する予防・救済のシステムとその実効性についてなどの話題が出ました。民友会が女性たちのエンパワメントを追求し、被害者女性の救済においても、当事者が勇気をもって声をあげられるよう支援をするということが印象的でした。(朴君愛)

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