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韓国のひとり親家族の支援機関を訪ねました。

 2017年8月28日と29日に、職員の朴君愛が「韓国ひとり親連合」の加盟団体である「安山女性労働者会」と「仁川ひとり親家族支援センター」の事務所を訪問する機会を得ました(注)。韓国も日本同様に離婚・死別・非婚などの事情で、ひとり親として子どもを育てる人が増えていますが、経済的困難、養育費の未払い問題、社会的偏見など、ひとり親家族をめぐる社会の課題はなかなか解決しません。「韓国ひとり親連合」は、ひとり親の当事者を組織している10の民間団体が加盟するネットワーク組織です。当事者のエンパワーと問題解決のための活動を活発に展開しています。2017年3月には「韓国ひとり親連合」が日本へのスタディツアーを企画し、中心メンバーが日本の状況を学ぶために、関西のひとり親家族を支援している団体や機関を訪問しました。「安山女性労働者会」と「仁川ひとり親家族支援センター」の各代表もそのツアーに参加しました。

 ソウル市近郊の安山市にある安山労働者会ではイ・ヒョンソン代表からこの会の設立経過や活動、課題、ビジョンなどの説明をいただきました。安山市は外国人労働者が多く住む町として有名ですが、その理由の一つが大きな工業団地が建てられたからです。韓国では1997年のIMF危機(アジア通貨危機)によって失業者が町にあふれました。安山でも女性労働者の失業問題が深刻になりますが、それが契機となって1998年に「安山女性労働者会」(「女性労働者会」は全国組織)が設立されました。安山の困難を抱えた労働者や失業者の中にシングルマザーが多くいたとのことでした。イ・ヒョンソン代表は当事者ではなく、活動家として参加しています。安山労働者会は、女性労働者の貧困問題や労働者の権利保障を求める活動とともに、ひとり親の女性の相談やひとり親家族に対する社会認識の改善に取り組み、さらにひとり親の女性の自助グループ活動を支援しています。

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 安山女性労働者会の事務所にて   仁川ひとり親家族支援センターの事務所にて


 同じくソウル市近郊の仁川市にある仁川ひとり親家族支援センターでは、チャン・ヒジョン同センター長にインタビューに応じていただきましたが、こちらの事務所訪問の際には、「韓国ひとり親連合」のチョン・ヨンスン代表もソウルから来られました。仁川ひとり親家族支援センターは、2001年に女性人権団体「仁川女性民友会」の付設施設の「ひとり親家族支援センター」としてスタートしました。2014年に独立して、新たに活動しているひとり親の当事者団体です。ひとり親当事者の自助グループを組織したり、心理的サポートを含めた各種相談事業を行なったり、ひとり親家族のための奨学を支援する事業を大学などの協力で実現したりしています。

 各地域の支援機関の事業は、各地域の課題やニーズを背景にして進めていますが、上記の説明の中には、「韓国ひとり親連合」として安山や仁川のみならず、全国的に展開している活動もあります。2つの団体を訪問し、限られた時間で話を聞いただけですが、公的な政策だけでは行き届かないきめ細かい支援、当事者同士のつながりによるエンパワメントを強める活動、さらに全国ネットワークによる政策提言など、人が育つプログラムの開発と活動の力強さが印象的でした。今後、神原文子教授を中心とする調査研究チームは、日韓のひとり親家族の支援機関の情報を積極的に発信していきたいと話しています。

(注)今回の記事は、科学研究費助成金事業「ひとり親家族を主体とする支援のあり方に関する日韓共同研究」(研究代表者:神原文子・神戸学院大学教授)の一環として、ヒューライツ大阪の朴君愛職員が、研究協力者として韓国に出張した報告です。

参考:「韓国でひとり親として生きていくということは」チョン・ヨンスン「韓国ひとり親連合」代表『国際人権ひろば』 No.125(2016年01月号)

(朴君愛)

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