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韓国の自治体の人権条例に関する論文(金仲燮・国立慶尚大学教授執筆、原文韓国語)を訳しました。

 韓国では2000年代以降に全国規模で地方自治体の人権条例制定運動が展開されています。本論文は、韓国・国立慶尚(キョンサン)大学の金仲燮(キム・ジュンソプ)教授が、「人権条例と地域社会の人権の発展」と題して、条例の内容、実施の現状、課題と展望を執筆し、学術誌『現象と認識』第39巻4号(通巻127号、2015年12月)に掲載されました。この度、金仲燮教授の協力を得て、ヒューライツ大阪で韓国語の原文を日本語に翻訳しました。
 
 韓国の人権条例制定運動は、人権条例の制定に取り組んできた日本の経験にも刺激を受けましたが、そうした情報や経験を伝える役割を果たした一人である友永健三さん(ヒューライツ大阪・評議員)が、ヒューライツ大阪のニュースレター『国際人権ひろば』130号(2016年11月発行)に「韓国地方自治体の人権条例制定の現状と課題」と題して、金教授の論文を紹介しました。
 
 韓国において地方議員と自治体の長の公選が実現して20年あまりであり、日本に比べ歴史は短いですが、この論文を通して民主主義と人権を地域社会に根づかせようとしている韓国社会の努力とともに課題が伝わってきます。
 
 さらに、韓国は、国の人権機関として「国家人権委員会」を2001年に設立し、人権促進・擁護の活動を続けています。日本は自治体レベルの人権促進・擁護の取り組みについては長い歴史と経験を持っていますが、国連からの繰り返しの勧告にも関わらず、まだ国家人権委員会のような人権機関の設立にいたっていません。韓国の場合は、地域社会における人権侵害、差別事象の被害者救済や人権政策の推進などは、国家人権委員会が担っている部分があります。論文でも、国家人権委員会が2012年に人権条例の標準条例の案を各自治体に示して人権条例の制定を勧告したことが言及されています。