文字サイズ

 
Powered by Google

MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

「エンド・レイシズム-映画を観て人権を考える」を開催しました

2016318日(金)と19日(土)にヒューライツ大阪が主催した標記の映画会はほぼ定員に達する参加者をえて、盛況のうちに終了しました。テーマとなったフランス映画「スカーフ論争~隠れたレイシズム」は、2004年の作品ですが、フランスのみならず、ヨーロッパや日本を含み、現代の世界が直面している問題に通じるものがありました。とりわけ、日本の視点から見た場合に、1990年代におきた朝鮮学校生徒に対するチマチョゴリ事件をはじめ、現在のヘイトスピーチに象徴されるレイシズムと排外主義の問題と重なるところがたくさんありました。

 

18日は上映後にこの映画の日本語字幕を作成された菊池恵介さん(同志社大学准教授、フランス地域研究)と藤永壮さん(大阪産業大学教授、朝鮮近現代史)の対談が行われ、映画の背景、現在との関連性、日本で起きていることの共通点などについて議論されました。さらに、フランスでも日本でも、最も弱い立場にあるマイノリティの未成年の女子学生がターゲットにされていることが指摘されました。映画のキーワードの一つであり、ストーリーのあちこちに織り込まれていた「政教分離(ライシテ)」の問題について、菊池さんのわかりやすい解説がありました。

 

19日は上映後に鵜飼哲さん(一橋大学教授、フランス文学・思想)の約1時間に及ぶ講演がありました。鵜飼さんはイスラームとキリスト教世界の成立および発展の過程、さらにそれを背景にしたフランスの植民地主義などの歴史をひもとき、次に、なぜフランスに北アフリカからの人びとが移住をしてきたのか、フランス社会はどう受け入れたのかについて説明をされました。また、昨年11月にパリ近郊で起きた事件が示しているように、フランスが旧植民地出身者やその子孫に対してとってきた同化政策についても読み解かれました。

 

両日とも、映画と対談のナビゲーターとして中村一成さん(フリージャーナリスト、この企画の立案者)が進行役を務めました。

 参加者から回収したアンケートには、映画および対談のいずれも興味深かった、新しい発見があったとする人が80パーセント以上いました。