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テキストブック「わたしたちと法 : 権威、プライバシー、責任、そして正義」

所蔵資料マーク ヒューライツ大阪所蔵資料

テキストブック「わたしたちと法 : 権威、プライバシー、責任、そして正義」

 文部科学省は、2009年10月、「人権教育の推進に関する取組状況の調査結果」を発表した。これは、都道府県の教育委員会及び学校における人権教育の取組状況について調査・分析したものである。この報告書は、学校の人権教育においては「価値的・態度的側面」の指導に力点が置かれ、「知識的側面」と「技能的側面」の指導が少ないと指摘し、後者についても前者と同様に比重を置くよう提言している。
「知識的側面」の指導とは、自由や正義といった概念について理解を深めるものであり、「技能的側面」とは、それらを知的道具として活用する力をつける指導のことである。自由や正義は、民主主義の基本理念であるから、すべての児童・生徒がそれらについて深く理解し、知的道具として活用できるようになる必要がある。

 なぜ、日本の学校において、そういった指導にあまり力点が置かれないのであろうか?私は、それは、私たちの多くが、そういった概念は、自明のことで、あまり深く考える必要がないものととらえているためではないかと思う。米国の公民教育センター(「公民教育」と「法教育」などの領域で活動しているNPOで、設立は1964年)が作成した『テキストブック わたしたちと法‐権威、プライバシー、責任、そして正義』は、私たちが、自由や正義について深く理解し、それらを知的道具として活用する力を向上させる上で役立つに違いない。「日本語版への序文」には、本書作成の目的が次のように簡潔明瞭に示されている。「市民として、私たちは、政府が私たちによって委託された権威をどのように使うかを支配する最終的な権利を保持している。...この市民としての権利には、権威、正義、責任、プライバシーについての紛争を知的に解決する義務を伴う。」

 私たちは、本書から、「知識的側面」と「技能的側面」の指導を充実させるための多くのヒントを得ることができるだろう。

(H)

Center for Civic Education
監訳 江口勇治
発行 現代人文社

237p 定価 2,200円(税別)
2001年発行

ISBN 9784877980559