直接には、してくれません。なぜなら、第一の救済責任は、国家にあるからです。
私たちは憲法をつくって、国の政治を司る人たちが責任を持って人権を守るよう、義務付けました。つまり、日本国憲法第97条により、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、(…略…)現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたもの」であり、99条により、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」のです。
人権尊重は日本国内にとどまりません。憲法前文において、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認し」、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓」ったのです。つまり、私たちは国際人権実現の達成を誓ったのです。
一方、Q2「国連の活動に人権はどのように関わっているのですか?」をご覧いただければお分かりのように、国連の側も、人権尊重のための国際協力をその活動目的としています。その成果の一つに、さまざまな人権条約の作成があります。その多くは、個人通報制度を規定しています。国家がこの制度に同意すれば、その国内裁判所によって救済を得られなかった被害者が、条約機関に訴えることにより、具体的な救済を得られる可能性があります。
(窪誠)