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ヒューライツ大阪は
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ワン・ワールド・フェスティバルfor Youth 2023に出展参加しました 12/17

 20231217日、ヒューライツ大阪は、関西NGO協議会が主催となって大阪YMCAで開催されたワン・ワールド・フェスティバルfor Youth 2023に出展参加しました。
 ワン・ワールド・フェスティバルfor Youthは「高校生実行委員会」や「ボランティアリーダー」として、関西地域の様々な高校から高校生たちが集まり企画や運営に関わる、高校生を中心とした国際協力・SDGs・多文化共生フェスティバルです。

 ヒューライツ大阪は、ブース展示と企画プログラムを通して参加しました。ブース展示では、採択から75周年を迎える世界人権宣言や子どもの権利条約について学ぶことができる「人権クイズ」に挑戦してもらったり、「SDGsと人権」をテーマにポスターを展示しました。

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 企画プログラム(13301430)では、女性や性的マイノリティ、障害者や在日外国人といった社会的マイノリティが、日常的に経験する偏見や差別的言動(マイクロアグレッション)について学ぶ場を持ちました。ヒューライツ大阪の朴利明(ぱくりみょん)がファシリテーターをつとめました。
 前半は、マイクロアグレッションについて理解するために、実際に使われたことがある広告やポスターを通して、私たちが意識しないうちに社会的マイノリティに対して「劣った存在」であったり「危険な存在」であると暗に伝えるようなイメージを受け取っている例を示しました。

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 マイクロアグレッションとは、法律や制度、教育、メディア、文化などを通して刷り込まれた社会的マイノリティに対する偏見や差別意識が、個々人の言動や態度に現れることですが、その多くは必ずしも悪意が込められているわけではありません。
 たとえば、「女子力高いね」というフレーズは言葉だけみると誉め言葉のように聞こえますが、「女性とはこうあるべき」という女性に関するステレオタイプ(固定観念)を押し付ける効果があります。
 あるいはゲイであることをカムアウトしている友人に対して、「全然ゲイに見えない、普通っぽいね」とまるで誉め言葉のように言うことはどうでしょう?これは「同性愛は異常である(普通ではない)、同性愛者に見えないことは良いことである」というメッセージが隠れており、相手のアイデンティティを貶(おとし)める言葉となります。
 こうした言動に対してマイノリティ当事者が抗議しても「悪気はないんだから」や「あなたが気にしすぎなだけだ」と軽く流されてしまうことの方が圧倒的です。その結果、マイクロアグレッションは友達同士で、家庭で、学校で、職場で...様々な人から様々な場所で何度も繰り返され、積もり積もったストレスは心身に深刻な悪影響を与えかねません。
 そこで後半は、マイクロアグレッションに遭遇したときの対処力を高めるためのロールプレイを行いました。用意したシナリオには、①マイクロアグレッションをしてしまった人、②された人、③その場に居合わせた人の3つの役があり、それぞれをローテーションで演じてもらいました。このうち①と②の役はあらかじめセリフが決まっていますが、③のその場に居合わせた人には決まったセリフがなく、演じる人がその場で考えます。つまり、今回のロールプレイのポイントはマイクロアグレッションを受けたマイノリティ当事者というよりも、その場に居合わせた第三者という立場からどんな介入ができるかを考える点にあります。

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 ロールプレイを経験して、③の介入する役については「その場でふさわしい言葉がさっと思いつかない」、「難しかった」という感想が多くみられました。また、①のマイクロアグレッションをした人はそのことを指摘されることで「ハッとした」、「自分の素朴な疑問にも偏見が入っていたことに気づいた」という声があった一方で、②のされた立場からは第三者からの介入が「嬉しかった」という声もあれば、「その場が気まずくなる感じがした」という率直な声もありました。
 マイクロアグレッションに対して常にその場でストレートに注意することが正解とは限らないかもしれません。相手との関係によっては、注意を真摯に受けとめてくれる期待が持てないどころか、機嫌を損ねられてマイノリティ当事者にとってかえってより居づらくならないか...そんな心配が勝つときもあるかもしれません。どのような介入の仕方が良いのかについては、唯一の正解はないからこそ、介入の「引き出し」をたくさん増やすことは役に立つことだと思います。
 また、たとえその場ではうまく介入できなかったとしても、後からそっと「大丈夫?」と気遣いを示すことにも意味はあります。大切なのはマイノリティ当事者の気持ちや経験に向き合おうとする姿勢を示すこと、そのために自分は何ができるのかという視点で考えることを提起しました。

企画プログラムには17名が参加しました。