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人権教育セミナー「マイクロアグレッションって何? 「ささい」で「見えにくい」差別に気づく」を開催しました(2/26)

 ヒューライツ大阪は2月26日、米国の研究者、デラルド・ウィン・スーがまとめた『日常生活に埋められたマイクロアグレッション:人種、ジェンダー、性的指向:マイノリティに向けられる無意識の差別』の共同翻訳者の一人である朴利明(ぱく りみょん)さんを講師に招いて、マイクロアグレッションについて少し知っているがより深く学びたいという人たちを意識したセミナーを対面とオンラインのハイブリッドで開催しました。
報告用(変更).jpg 英語の原典が出版されて10年後の2020年にデラルド・ウィン・スーとリサ・ベス・スパニエマンの共著で『Microaggressions in Everyday Life』第2版が出版されましたが、朴利明さんは、マイクロアグレッションの定義について、その改訂版での言葉を強調しました。つまり「マイクロ」は「小さな」「見えにくい」という理解でとらえるのではなく、マクロなもの(法制度、慣習、文化、イデオロギーなど)に埋め込まれた差別構造が、個々人の関係(マイクロなもの)に抑圧の形態として反映されるものであるということです。マイクロアグレッションは、差別論であり、社会のマジョリティからマイノリティに一方向的に行使されるもので、その逆は存在しないのです。
 そしてマイクロアグレッションの3つの類型(マイクロアサルト<攻撃>、マイクロインサルト<ステレオタイプや無礼さ、無神経さを伝えるもの>、マイクロインバリデーション<マイノリティの感情や経験の無視、無価値化>)について具体例を通して説明しました。そうしたマイクロアグレッションが積み重なり、マイノリティにいかに深刻なダメージを与えるかということ、それが加害者の無自覚や被害の軽視などと相まって解決が難しいことを、自らの体験を含め在日コリアンが直面している現状を交えて語りました。
 最後の「マイクロアグレッションにどう対抗するのか」については時間の関係で少しふれる程度になりましたが、例として挙げたのは、マイノリティが置かれているマクロレベルの背景を学ぶこと、マイノリティとの対話から逃げないこと、そして、マイクロアグレッションを可視化(言語化)することなどです。

 会場の参加者からは、「日常のもやもやにどう対処していけばいいかヒントをもらった」「ある場所での自分の発言がマイクロアグレッションだと気づいた」「マイクロアグレッションの解決のためにマクロな問題を学ぶ重要性がよくわかった」など、実際に日常生活マイクロアグレッションを経験する中での声が多く出されました。

 「マイクロアグレッションにどう対抗するのか」については、セミナーの続編を企画したいと考えています。