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第11回じんけんカタリバ 「性的マイノリティが自分を大切にできる社会をつくる~当事者の尼僧として~」を開催しました(6/1)

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 大阪府守口市にある性善寺(せいぜんじ)の住職であり、当事者の立場で性的マイノリティへの支援活動をおこなっている柴谷宗叔(しばたにそうしゅく)さんを講師に、「性的マイノリティが自分を大切にできる社会をつくる~当事者の尼僧として~」をオンラインで開催しました。35名が参加しました。

 柴谷さんは、男性としての自分の性に対し小学生の頃から違和感を感じていたものの、その思いを誰にも伝えることなく大学を卒業後、男性として新聞社に就職しました。転機になったのは、1995年の阪神淡路大震災で、自宅が全壊する被害を経験したことをきっかけに「生かされた命であれば、自分を偽らず生きていこう」と決意し、仏教を学ぶために高野山大学に入学。その後、新聞社を退職し、性同一性障害の治療を受けながら勉強を続け、男性として僧侶の資格(僧籍)を得ました。
 のちに、性別適合手術を受け戸籍上の性別を女性に変更したことに伴い、僧籍の性別変更を申請し、認められます。その時のことを「僧籍の性別変更は前代未聞。性別変更の前例を作り、重い扉を開けることができた」と振り返りました。
 2018年に性善寺の住職に就き、性的マイノリティをはじめ、多様な少数者の人が集える「みんなのお寺」をめざし、性的マイノリティの立場に立った「終活」支援に取り組み、様々な相談に乗っています。これまでの活動を通して、いろいろな人がいることが当たり前の社会になるためには教育の役割が重要であることを強調しました。
 仏教の教義における性的マイノリティへの考え方については、古典の解釈は時代とともに変化するとしたうえで、「変成男子(へんじょうなんし)」を例にあげました。これは、法華経の中で、「女性が男性になって成仏した」と書かれた部分で、「女性が男性にならないと成仏できない 女性のままでは成仏できない」と解釈されて、女性蔑視であると批判されてきました。「私は解釈を新たにして、性転換しても成仏できる、つまり、仏教は性転換を認めており、同性愛を禁じていませんよということを広めたい」という言葉でセミナーを終えました。

 参加者からは、「理解されずに苦しんだ話と、理解に助けられた話がより合わさって一本の糸のような人生が紡ぎ出されるという印象をもった」「仏教における性別変更や同性愛についての考え方を知ることができた」「このような方の存在を知り、とても心強く感じた」などの感想が寄せられました。