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世界人権宣言

概要

「われらの一生のうち二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念」(国際連合憲章前文)に基づいて1945年に設立された国際連合では、その後、「人種、性、言語又は宗教による差別のないすべての者のための人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守」(国際連合憲章)を促進するために、1948年12月10日に第3回総会で「世界人権宣言」を採択しました。当時の56の国連加盟国のうち46の国が賛成し、棄権と欠席はありましたが、反対はありませんでした。
 すべての人が生まれながらにして平等に持っているさまざまな具体的な権利と自由が30条にわたって規定されている世界人権宣言は、英語ではUniversal Declaration of Human Rightsであり、「人の権利の普遍的宣言」という意味を持ちます。国が変わっても、時代が変わっても、政治体制、文化や宗教が変わっても、「普遍的」に認められるべきものという含意があります。
 世界人権宣言は、法的拘束力を持つ条約として具体化された国際人権規約とともに(両者を「国際人権章典」といいます)、「企業と人権」に関する基準やガイドラインの基礎になるものとして、大きな影響を及ぼしてきています。

関連リンク

  • (1) 世界人権宣言(外務省仮訳)
  • (2) Universal Declaration of Human Rights(国際連合ウェブサイト)
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原文にみるキーワード

■「尊厳と権利」
「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、...」(前文)

■「自由と平等」
「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」(第1条)

■「差別」
「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。」(第2条)
「すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。」(第7条)

■「奴隷と苦役」
「何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。」(第4条)

■「勤労と勤労条件」
「すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。」(第23条)

■「同等の報酬」
「すべて人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する。」(第23条)

■「労働組合」
「すべて人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに参加する権利を有する。」(第23条)

■「労働時間と休息」
「すべて人は、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇をもつ権利を有する。」(第24条)

他の文書での言及

■「ビジネスと人権に関する指導原則」
「人権を尊重する企業の責任は、国際的に認められた人権に拠っているが、それは、最低限、国際人権章典で表明されたもの及び労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関宣言で挙げられた基本的権利に関する原則と理解される。」(原則12)

「国際的に認められた主要な人権の権威あるリストは、国際人権章典(世界人権宣言、及びこれを条約化した主要文書である市民的及び政治的権利に関する国際規約ならびに経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)とともに、労働における基本的原則及び権利に関する宣言に挙げられたILO 中核条約上の基本権に関する原則にある。これらは、企業の人権に対する影響を他の社会的アクターが評価する際の基準である。」(原則12 解説)

■「ISO26000(JISZ26000)」
「社会的責任は、社会の幅広い期待の理解を必要とする。社会的責任の根本原則は、法の支配の尊重及び法的拘束力をもつ義務の順守である。しかし、社会的責任は、法令順守を超えた行動及び法的拘束力のない他者に対する義務の認識も必要とする。これらの義務は、広く共有される倫理、その他の価値観から発生する。社会的に責任ある行動として何が期待されるかは国及び文化によって異なるであろうが、組織は、世界人権宣言、持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言、その他の文書に規定された国際行動規範を尊重すべきである。」(3.3.2 社会の期待)

■「OECD多国籍企業行動指針」
「国又は企業の事業の個別の文脈にかかわらず全ての場合において、最低限、世界人権宣言及びそれが成文化された主要文書(市民的及び政治的権利に関する国際規約、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)で構成される国際人権章典で表明された国際的に認められた人権、並びに、1998 年に国際労働機関が定めた労働における基本的原則及び権利に関する宣言に規定された基本的権利に関する原則が参照されるべきである。」(人権に関する注釈4)

■「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGsが含まれる国連文書)
「新アジェンダは、国際法の尊重を含め、国連憲章の目的と原則によって導かれる。世界人権宣言、国際人権諸条約、ミレニアム宣言及び2005年サミット成果文書にも基礎を置く。また、「発展の権利に関する宣言」などの他の合意も参照される。」(パラグラフ10)

「我々は、世界人権宣言及びその他の人権に関する国際文書並びに国際法の重要性を確認する。我々は、すべての国が、国連憲章に則り、人種、皮膚の色、性別、言語、宗教、政治上その他の意見、国籍もしくは社会的出自、財産、出生、障害その他の状況等に区別なく、すべての人の人権と基本的な自由を尊重、保護及び促進する責任を有することを強調する。」(パラグラフ19)

■GRIスタンダード
「組織は、国際的に認められている人権の領域全体に対して及ぼすインパクトについて責任を有している。この権利には最低でも、国際人権章典に定めるすべての権利、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に定めるすべての原則が含まれる。国際人権章典には次の3つの規約が含まれる。
• 国際連合(UN)宣言、「世界人権宣言」、1948年
• 国際連合(UN)条約、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」、1966年
• 国際連合(UN)条約、「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約」、1966年」
(GRIスタンダード412:人権アセスメント イントロダクション)


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