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国際人権規約

概要

 1948年に第3回国連総会で採択された世界人権宣言に続き、その内容を法的拘束力を持つ条約として具体化したものが、1966年の第21回国連総会で採択され、1976年に発効した「国際人権規約」です。日本政府は1979年に批准しました。国際人権規約は、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」から構成されています。
 国際人権規約には、締約国の個人による権利侵害についての通報をこの規約による人権委員会が審議する制度についての「市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書(第一選択議定書)」、及びその後1987年に採択された死刑制度廃止を目的とする「市民的及び政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書」があります。また、社会権規約にも個人通報制度等に関する選択議定書があります。日本政府はこれらの選択議定書を批准していないほか、国内法との関係から規約の中のいくつかの点を留保しています。
 国際人権規約は、世界人権宣言とともに、「企業と人権」に関する基準やガイドラインの基礎になるものとして、大きな影響を及ぼしてきています。

関連リンク

  • (1) 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約〔社会権規約〕(外務省ウェブサイト)
  • (2) International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights(国際連合ウェブサイト)
  • (3) 市民的及び政治的権利に関する国際規約〔自由権規約〕(外務省ウェブサイト)
  • (4) International Covenant on Civil and Political Rights(国際連合ウェブサイト)
(1) (2) (3) (4)
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原文にみるキーワード

■「差別」
「この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する。」(社会権規約第2条第2項)
「この規約の各締約国は、その領域内にあり、かつ、その管轄の下にあるすべての個人に対し、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしにこの規約において認められる権利を尊重し及び確保することを約束する。」(自由権規約第2条第1項)

■「労働の権利」
「この規約の締約国は、労働の権利を認めるものとし、この権利を保障するため適当な措置をとる。この権利には、すべての者が自由に選択し又は承諾する労働によって生計を立てる機会を得る権利を含む。」(社会権規約第6条第1項)

■「労働条件」
「この規約の締約国は、すべての者が公正かつ良好な労働条件を享受する権利を有することを認める。この労働条件は、特に次のものを確保する労働条件とする。
(a) すべての労働者に最小限度次のものを与える報酬
(i) 公正な賃金及びいかなる差別もない同一価値の労働についての同一報酬。特に、女子については、同一の労働についての同一報酬とともに男子が享受する労働条件に劣らない労働条件が保障されること。
(ii) 労働者及びその家族のこの規約に適合する相応な生活
(b) 安全かつ健康的な作業条件
(c) 先任及び能力以外のいかなる事由も考慮されることなく、すべての者がその雇用関係においてより高い適当な地位に昇進する均等な機会
(d) 休息、余暇、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇並びに公の休日についての報酬」(社会権規約第7条)

■「労働組合」
「この規約の締約国は、次の権利を確保することを約束する。
(a) すべての者がその経済的及び社会的利益を増進し及び保護するため、労働組合を結成し及び当該労働組合の規則にのみ従うことを条件として自ら選択する労働組合に加入する権利。この権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。
(b) 労働組合が国内の連合又は総連合を設立する権利及びこれらの連合又は総連合が国際的な労働組合団体を結成し又はこれに加入する権利
(c) 労働組合が、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も受けることなく、自由に活動する権利
(d) 同盟罷業をする権利。ただし、この権利は、各国の法律に従って行使されることを条件とする。」(社会権規約第8条第1項)

他の文書での言及

■「ビジネスと人権に関する指導原則」
「人権を尊重する企業の責任は、国際的に認められた人権に拠っているが、それは、最低限、国際人権章典で表明されたもの及び労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関宣言で挙げられた基本的権利に関する原則と理解される。」(原則12)

「国際的に認められた主要な人権の権威あるリストは、国際人権章典(世界人権宣言、及びこれを条約化した主要文書である市民的及び政治的権利に関する国際規約ならびに経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)とともに、労働における基本的原則及び権利に関する宣言に挙げられたILO 中核条約上の基本権に関する原則にある。これらは、企業の人権に対する影響を他の社会的アクターが評価する際の基準である。」(原則12 解説)

■「ISO26000(JISZ26000)」
「人権の優位性は、国際社会によって国際人権章典及び主要な人権関連文書において強調されてきた。」「国際人権章典は、世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約、並びにこれらの規約に対する選択議定書(このうちの一つは死刑廃止を目的としている。)で構成されている。」(6.3.1.1 組織と人権/ボックス6)
「労働者固有のぜい(脆)弱性及び労働者の基本的権利を保護する必要性は、世界人権宣言並びに経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約に反映されている。」(6.4.2.1 原則)
「国連消費者保護ガイドライン、並びに経済的・社会的及び文化的権利に関する国際規約は、生活に必須なものの充足、十分な食料、衣服及び住宅を含む相当な生活水準、並びに生活状態の継続的改善及び金融を含む必要不可欠な製品及びサービスの入手可能性に関して全ての人がもつ権利など、消費者の正当な権利に関する社会的に責任ある慣行を導くべき原則を示している。」(6.7.2.1 原則)

■「OECD多国籍企業行動指針」
「国又は企業の事業の個別の文脈にかかわらず全ての場合において、最低限、世界人権宣言及びそれが成文化された主要文書(市民的及び政治的権利に関する国際規約経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)で構成される国際人権章典で表明された国際的に認められた人権、並びに、1998 年に国際労働機関が定めた労働における基本的原則及び権利に関する宣言に規定された基本的権利に関する原則が参照されるべきである。」(人権に関する注釈4)

■「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGsが含まれる国連文書)
「新アジェンダは、国際法の尊重を含め、国連憲章の目的と原則によって導かれる。世界人権宣言、国際人権諸条約、ミレニアム宣言及び2005年サミット成果文書にも基礎を置く。また、「発展の権利に関する宣言」などの他の合意も参照される。」(パラグラフ10)

■GRIスタンダード
「組織は、国際的に認められている人権の領域全体に対して及ぼすインパクトについて責任を有している。この権利には最低でも、国際人権章典に定めるすべての権利、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に定めるすべての原則が含まれる。国際人権章典には次の3つの規約が含まれる。
• 国際連合(UN)宣言、「世界人権宣言」、1948年
• 国際連合(UN)条約、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」、1966年
• 国際連合(UN)条約、「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約」、1966年」
(GRIスタンダード412:人権アセスメント イントロダクション)


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