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国際人権ひろば No.65(2006年01月発行号)

ニュースインブリーフ

国連平和構築委員会が設立される


  国連総会および安全保障理事会は05年12月20日、平和構築委員会の設立を決定する決議案を採択した。同委員会は、持続可能な平和を達成するために、紛争後の人道支援、復旧、復興などの実施について、一貫した統合戦略を助言・提案を目的としたメカニズム。
  05年9月の国連首脳会合において、国連改革案のひとつとして平和構築委員会設立が基本的に合意されて以降、具体的な活動やメンバー構成等を定める決議案について、05年内の交渉妥結を目指し、加盟国間の協議が行われてきたもの。
  採択された決議では、平和構築委員会のメンバー構成として、(1)安全保障理事会から7ヶ国、(2)経済社会理事会から7ヶ国、(3)国連への財政貢献上位10ヶ国より5ヶ国、(4)PKO等への要員派遣上位10ヶ国より5ヶ国、(5)その他地域バランス等を考慮した7ヶ国の計31ヶ国とされている。
  国連はこれまで、紛争の予防や解決に力を注ぎ、平和維持部隊などを派遣してきたが、部隊が去った後も平和づくりを担う系統的な組織はなかった。
  日本政府は、「平和構築委員会の活動に積極的に参加するとともに、自らの経験と持てる力を最大限利用して、引き続き紛争後の平和構築に建設的な役割を果たしていく考えである」(外務省報道官談話)という意見を表明している。
(外務省のホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/17/dga_1221.html)

ユニセフが『世界子供白書2006 存在しない子どもたち』を発表


  ユニセフは05年12月14日、『世界子供白書2006』を英国のロンドンにおいて発表した。今年のテーマは"Excluded and Invisible Children" (仮訳:存在しない子どもたち)。
  日本ユニセフ協会によると、「5年前、国際社会は、『国連ミレニアム開発目標』という形で、世界中の子どもたちを取り巻く様々な環境を改善し、子どもが生きるために必須な社会サービス(予防接種をはじめとする基礎的な保健・医療、安全な水、初等教育)を充実させてゆくことを約束しました。しかし、このままのペースでは、15年までに約束の殆どが達成できません。例えば『5歳未満児の死亡率を3分の2減少させる』という目標は、45年まで達成できないと白書は指摘します。
  白書は、こうした数値からも取り残される可能性がある子どもたちがいると警鐘を鳴らしています。数百万・数千万の子どもたちの『存在』が認知されず、こうした社会サービスの恩恵を享受できていないからです。ミレニアム開発目標は『平均値』をもとに設定されています。貧困、差別、紛争等により、多くの子どもたちが、社会的保護・支援・サービスを享受すべき存在として『カウント』されていません。例えば出生登録。中国を除く途上国の5歳未満の子ども55%が出生登録されず、結果、予防接種や初等教育の機会を奪われ、人身売買や児童買春をはじめとする様々な形態の搾取・虐待(の脅威)に晒されていていると白書は訴えています」と説明している。
  こうした出生登録がない子どもや、両親をエイズや災害で失った孤児、早くして結婚させられた子ども、少年兵となった子どもなどが、社会的に存在を認められていない「存在しない」状態になりがちで、児童労働や人身売買、性的虐待の被害者になりやすいとしている。
  同白書によると、1年間に性風俗産業に送り込まれる子どもは180万人、奴隷として売られる子どもは570万人、また120万人が人身売買の被害にあっているという。
  『世界子供白書2006』日本語版は、日本ユニセフ協会から06年2月末に発行予定。
(ユニセフ協会のホームページ http://www.unicef.or.jp/osirase/back2005/0512_03.htm)

ASEAN域内における地域的人権保障メカニズム設立に向けて前進


  05年12月12日にマレーシアのクアラルンプールで開催された加盟10カ国のASEAN首脳会議で、20年までに実現をめざすASEAN共同体の最高規範となる「ASEAN憲章」の起草を促す宣言が採択された。そのなかで、憲章の柱として、「メンバー国の発展格差の是正」、「社会経済的、政治的価値観の共有」、「民主主義、人権と義務、透明性、良き統治の促進および民主的システムの強化」、「紛争解決のための武力行使を放棄」などが盛り込まれた。
  憲章の起草は、ラモス元フィリピン大統領やアラタス元インドネシア外相など各国の元政府高官で構成されている「賢人グループ」に委ねられ、06年中に草案が作成される予定だ。憲章が完成すれば、地域的な人権保障を含むASEAN共同体にはずみがつくものとみられている。
  一方、域内の研究者やNGO、国家人権委員会、一部の政府関係者で構成されている「ASEAN人権保障メカニズムのためのワーキンググループ」は、首脳会議に先立つ05年11月にマレーシア外務省と懇談を行い、04年に採択された「ASEANビエンチャン宣言」のなかの人権保障に関するに項目について話し合いがもたれた。さらに、06年初頭にクアラルンプールにおいて、すでに設置されることが合意されている「女性と子どもの委員会」についてより具体的な議論が行われることが決まっている。
  同時に、この首脳会議において、民主化と人権保護が遅々として進まないミャンマー(ビルマ)に、議長国マレーシアのサイド・ハミド外相を人権状況の視察使節としてミャンマーに派遣することを決定した。これに対してミャンマー政府も受け入れの意思を表明している。訪問が実現すれば、アウン・サン・スー・チーさんとの面会を要請するものとみられる。
  ASEAN加盟国は、これまで相互に内政干渉をしないという方針を保持してきたが、欧米やNGOからの国際的プレッシャーなどを受けて、ミャンマーの人権状況に対して深い懸念を表明するという一歩踏み込んだ姿勢に転換したもようである。
(ASEANワーキンググループのホームページ)