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国際人権ひろば No.33(2000年09月発行号)

現代国際人権考

ヒューライツ大阪の今後の課題と展望

~新所長就任にあたって~

川島 慶雄(かわしま よしお)
ヒューライツ大阪所長・大阪大学名誉教授

 一九九四年一二月に産声をあげたアジア・太平洋人権情報センターは、五年半にわたるその揺籃期において、金東勲前所長の強力なリーダーシップのもとに着実に歩を進めてきた。これからの成長が期待されるこの時期に、健康上の理由とはいえ金前所長を失うことは当センターにとって大きな損失であるといわざるを得ない。図らずも本年七月から後を継ぐことになった筆者としては、自らその能力に危惧を抱きながら、その責任の重大性を痛感し、その任を全うすべく全力を尽くしたいと思っている。

 「ヒューライツ大阪」という愛称がようやく多少なりとも世間に認知されるようになった今日、寄付行為に明示された目的の再確認とその実施に向けた事業の効率的な展開を目指すことが肝要であると思われる。周知のように、当センターの目的は、(一)アジア・太平洋地域における人権の伸長、(二)国際的な人権伸長・保障の過程にアジア・太平洋の視点を反映、(三)アジア・太平洋における日本の国際協調・貢献に人権の視点を反映、(四)国際化時代に相応しい人権意識の高揚、である。そして、これらの目的を達成するために、情報収集、調査・研究、研修・啓発、広報・出版、相談・情報サービスなどの事業を展開しているところである。しかしながら、予算と人員に限りのある現状にあっては、事業の重点化を図り、その効率的な実施を目指す必要がある。この点については、本年二月に当センターの発展懇話会より有益な提言をいただいているが、そこでは、調査・研究事業に重点を移すこと、事項的には「人権教育」の推進に重点を置くことが提案されている。

 調査・研究については、これによって得られた情報をそのままの形で提供するのではなく、一定の加工を行い専門的な視点や考え方を提起する価値ある情報として提供する機能が必要であると思われる。そのためには、人権についての専門的知識を持ってI・Tを駆使する体制の整備に向かわなければならない。

 「人権教育」については、「人権教育のための国連一〇年」の行動計画が、人権という普遍的文化を世界中に築くために行う研修や普及、広報活動が人権教育であるとしているように、当センターの活動自体が人権教育であるともいえるものであるが、これまでにも人権教育をテーマにしたワークショップなど国内外で様々な取組みを行ってきた。今後は「人権教育のための国連一〇年」の後半五年の事業を精力的に推進するために新たなワーキンググループを設置し、具体的な推進策を検討しているところである。

 当センターとしては、公益法人としての政治的中立性と公平性を維持しつつ、価値ある情報を的確に提供する人権情報センターとしての本来の機能を十分に果たすために、全職員が力を合わせて事業の推進に当たりたい。大阪府・大阪市、その他多くの関係団体、関係者の皆さんには、引き続き当センターに対する温かいご支援をお願いする次第である。


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