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国際人権ひろば No.115(2014年05月発行号)

ヒューライツ大阪のお知らせ

「CSRとCSVに関する原則」について

 2014年3月13日、「CSRとCSVに関する原則」が公表されました。ヒューライツ大阪は、一般財団法人CSOネットワークとともに、「原則」を策定した有志の研究会である「CSRとCSVを考える会」での議論で事務局的な役割を担ってきました。
 

 背景と経緯

 
 ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が2011年に提唱したCSV(Creating Shared Value 共有価値の創造)が日本で紹介されてから、「CSRからCSVへ」、「CSRはもう古い、これからはCSV だ」といった論調が見られるようになってきました。CSVそれ自体というよりも、そうした日本でのとり上げられ方と、本来のCSR(企業の社会的責任)への影響に懸念をいだいた企業、NPO/NGO、消費者団体、シンクタンクなど諸セクターの有志により、研究会として「CSRとCSVを考える会」が2013年夏から4回にわたって開催され、議論が積み重ねられました。
 そのアウトプットとして、「考える会」メンバーを中心に20名が発起人となり、ISO26000(社会的責任の手引き)や国連ビジネスと人権に関する指導原則の観点から、一定の基準となる考え方がまとめられたものが「CSRとCSVに関する原則」です。
 国連ビジネスと人権に関する指導原則で定式化された、人権への負の影響を特定・評価し、対処する人権デュー・ディリジェンスは、企業活動の社会への影響に対する責任という、本来のCSRの考え方に沿うものです。
 一方CSVは、ビジネス戦略として、社会的課題の解決に資するとされる製品・サービスや事業を開発し、経済的価値とともに社会的価値を創造しようとするもので、一定の意義を有しつつも、人権尊重責任を果たそうとする企業の取り組みとは、元来の位置づけも目的も異なるものです。
 何よりも人権尊重を旨とし、その立場からCSRにおける人権の普及にも尽力してきたヒューライツ大阪は、本来のCSRをしっかりと根づかせることをめざし、この取り組みにも積極的に関わってきました。
 

 CSRとCSVに関する原則

 
1. CSRは企業のあらゆる事業活動において不可欠です。
CSRは、持続可能な社会の実現のため、企業の意思決定や事業活動が社会や環境に及ぼす影響に配慮し、マイナスの影響があれば、それを予防ないし改善することで社会的責任を果たそうとするものです。ISO26000をはじめ世界的なイニシアチブで明記される「社会への影響(impacts)に対する責任」は、企業のあらゆる事業プロセスとプロダクトにおいて不可欠なものです。
2. CSVはCSRの代替とはなりません。
社会的課題の解決と企業競争力の強化を同時に実現しようとするCSVは、ビジネス上の競争戦略の一手法です。CSRとは元来位置づけの異なるCSVは、CSRに取って代わるものではなく、CSVに取り組んでいれば企業の社会的責任(CSR)が免れるわけでもありません。CSVに取り組んでいてもいなくても、CSRがあらゆる事業活動において不可欠であることに変わりはありません。
 
3. CSVはCSRを前提として進められるべきです。
「社会への影響(impacts)に対する責任」は、ビジネス戦略であるCSVにおいても求められ、その事業プロセスとプロダクトの社会的公正と社会にとっての持続可能性が検証・評価されるべきです。社会的責任の原則(説明責任、透明性、倫理的な行動、ステークホルダーの利害の尊重、法の支配の尊重、国際行動規範の尊重、人権の尊重)に従うことは、CSVにおいても同様です。
 
4. CSVが創り出そうとする「社会的価値」の検証と評価が必要です。
企業がCSVを通じて創り出そうとする「社会的価値」が、社会的課題を真に解決するものとなっているのか、CSRにおけると同様に、企業自身による不断の検証・評価とアカウンタビリティ(説明し責任をとること)が必要です。その際には、CSRの重要な要素であるステークホルダー・エンゲージメントと、CSVが実施される現場の実情への最大限の配慮が不可欠です。
 

 大阪でシンポジウムを開催

 
 「CSRとCSVに関する原則」は、3月13日に一般財団法人CSOネットワークと共催で開催したシンポジウム「広がる企業の人権・労働課題―CSVはCSR課題を解決できるか」で公表されました。
 大阪国際交流センターでのシンポジウムには、企業のCSR担当者、人権啓発担当者、NPO/NGO関係者など55名の参加があり、基調講演「バリューチェーンに広がる人権の課題―ビジネスと人権に関する指導原則から考える」、問題提起「CSRとCSVの位置関係」に続いて、「CSVはCSR課題を解決できるか―CSRの進むべき方向を考える」と題してパネルディスカッションが行われ、会場からも多くの質問が寄せられて活発な議論が行われました。
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