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国際人権ひろば No.94(2010年11月発行号)

号外版:「ジュネーヴ・スタディツアー2010」(9月12日~9月18日)の感想文

IOM(国際移住機関)を訪問して

嶋田 ミカ

 今回、龍谷大学の研究グループとして、中村尚司先生、田中宏先生とともに、このスタディツアーに参加した。研究グループでは、これまで、アラブ諸国におけるインドネシアやスリランカからの出稼ぎ女性の人権侵害について調査を行って来た。私はILOやIOM(国際移住機関、International Organization for Migration)がこの問題にどのように取り組んでいるのかを、現場で見聞したいと思っていた。とくに印象深かったIOM訪問について、簡単な感想を記してみたい。
私たちがIOMジュネーブ本部を訪れたのは、2010年9月16日のことであった。私たちを迎えてくれた中山氏が、IOMについて説明してくださった。IOMは、世界的な人の移動の問題を専門に扱う独立した国際機関(国連機関ではない)で、世界各地に約460の事務所、職員約7,000名、加盟国は127カ国(2010年8月現在)だという。
続いて労働移住部長のFederico Soda氏から、IOMは、安全で合法的な労働移住の促進という立場から活動しており、プラグマティック、プラクティカル、リアリスティックが特徴で、ILOのような国際条約の監視、勧告という役割は無いということを聞いた。このお話で、ILOとの役割の違いが、クリアになった。Federicoさんは、クウェートとバーレーンでインドネシア人労働者の研修を担当し、帰国支援にも関わっていたという。現場で実務に携わってきた方に多くの疑問に答えていただき、インドネシアの出稼ぎ女性の調査を行ってきた私にとって、大変有意義な出会いとなった。
今まで、国連や国際機関というと、形式的で実効性が伴っていないという印象があったのだが、今回のスタディツアーに参加して、現場で働いている方々の努力や苦労の一端に触れ、認識を改めることができた。貴重な機会を作ってくださったヒューライツ大阪の白石所長や、参加者の多様なニーズに応えてくださったスタッフの皆さんに、この場を借りてお礼を申しあげたい。