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国際人権ひろば No.88(2009年11月発行号)

特集:「移住」の視点からみる韓国・済州島スタディツアー Part5

済洲島スタディツアー

号外版:「済州島スタディツアー2009」(8月25日~8月28日)の感想文

瀬良香織
関西NGO協議会

 2009年8月25日から28日まで、済洲島スタディツアーに参加した。私にとっては初めての韓国訪問となる。これまで、もっとも身近な外国でありながら、私は韓国についてあまり知らなかった。戦争や在日韓国・朝鮮の方々の問題などに対する罪悪感、親世代の韓国・朝鮮に対する差別意識への反発を感じながら、スポーツの日韓戦で目にする激しい日本への対抗心に対して身のすくむような気持ちも感じていた。そうした気持ちがないまぜになって、物価が安く手軽にショッピングやエステを楽しめる国として韓国に行くことには抵抗があった。でも、そういう気持ちの一方で、最も身近な国への関心も常に心の中にあった。
 飛行時間は、1時間あまり。あっけなく済洲島に到着した。日本と韓国の物理的な距離の近さを実感しながら空港に降り立った。車窓から見る済洲島の景色は石垣などの特徴はあるものの、どこか日本にも似て親近感を覚えた。
 ツアーの中で心に残ったのは、「4.3平和記念公園」と日本軍が残した戦跡の数々である。「4.3事件」については、ガイドの趙さんが「チェジュでこの事件と無関係な人間は一人もいない」と言われていた。いかに多くの方が犠牲になったかを痛烈に表す言葉だが、私にとっては、そのこと以上に、それほど大きな事件を日本に住む私たちはほとんど知らない(学校でも教えられなかった)ことがショックだった。アメリカやヨーロッパの歴史はみっちりと教わるのに、隣の国の歴史をほとんど知らないことに、である。同様に、日本の戦跡が、今や日本人にとって韓国における観光地の代名詞、チェジュ島にあることも、私たちの多くは知らない。もっと自分の身近なところに関心を持たなければと強く思った。また、ツアーで在日の方と知り合い、友人となった。彼女を通じて、在日の方の置かれている状況や問題をいろいろと教えていただいた。知らなければならないことは、日本の中にもたくさんある。
 旅の醍醐味は、人との出会いにあると思う。その国の人と知り合い、言葉を交わすと、それまで外国だった国が急激に身近に感じられるようになる。今回、スタディツアーに参加して、韓国は私にとって以前よりずっと身近な国となった。これからは、韓国のニュースや歴史や文化に今までよりも関心を持って接したいと思う。それから、両親や友人に「韓国に行ってきた」と告げると、「観光?どこに行った?」と訊かれるだろう。そしたら私は、「チェジュ島で平和記念公園と日本軍の戦跡を見てきた」と答えようと思う。そこから、今回私が学んだ韓国の歴史について少しでも話ができればと思う。