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国際人権ひろば No.81(2008年09月発行号)

ヒューライツ大阪の活動報告

アイヌ文化活動家の貝澤耕一さんを迎えて ESD&多文化教育セミナーを開催

8月8日:「先住民族としてのアイヌ民族をどう教えるか
-国連先住民族権利宣言をふまえて」

8月9日:「アイヌ文化から学ぶ持続可能な社会づくり
-沙流(さる)川と近木(こぎ)川をつなぐ」セミナー

 ヒューライツ大阪では、アイヌ文化振興・研究推進機構の協力を得て、アイヌ文化活動家の貝澤耕一さんをお招きして8月8日と9日の2日間にわたりESD&多文化教育セミナーを開催しました。今回のセミナーは、府立人研(大阪府立学校人権教育研究会)、貝塚市地域人権協会、ESDかいづか、近木川流域自然大学研究会などとの共催で実現したものです。
 第1日目の8月8日は、ヒューライツ大阪セミナー室にて、「先住民族としてのアイヌ民族をどう教えるか?国連先住民族権利宣言をふまえて」をテーマにセミナーを開催しました(本誌の16.17ページを参照)。
  第2日目の8月9日は、ESD&多文化教育共同セミナーin 貝塚「アイヌ文化から学ぶ持続可能な社会づくり-沙流(さる)川と近木(こぎ)川をつなぐ」をテーマに、会場を貝塚市中央公民館と市青少年センターに移して、午前11時から午後4時まで開催しました(参加者は26名)。
 まず11時からは「アイヌ料理教室」を開催しました。貝澤耕一さんの指導のもと、貝澤美和子さん作成のレシピを参考にして、北海道から直送してもらったシカ肉や野菜などを使って、ユクオルル(鹿汁)、コンプシト(昆布だれの団子)、イナキビご飯などのアイヌ料理を全員で作り、おいしく頂きました。
 午後2時からは、近木川流域自然大学代表の橋本夏次さんと貝澤耕一さんの2つの報告をもとにセミナーを開催しました。近木川流域自然大学代表の橋本夏次さんは、パワーポイントを使って貝塚市を流れる近木川が1994年に水質悪化全国ワースト1になったことをきっかけに、アイヌ民族の萱野茂さん(元参議院議員)を訪ねて水質の良さ全国ベスト1の沙流(さる)川を守るアイヌの人たちの取り組みを知り、この沙流川を目標にして近木川を守る市民運動を進めてきた経過を報告。続いて貝澤耕一さんからは、NPO法人ナショナルトラスト・チコロナイの活動、二風谷の現状、二風谷ダム裁判の判決の意義、国連先住民族権利宣言の内容と国会でのアイヌを先住民族と認める決議の舞台裏、アイヌ民族の今後(自決権行使の要求)などについて、パワーポイントを駆使して報告いただきました。
 質疑応答では、アイヌ民族の歴史と現在の生活実態、北海道「開拓」(アイヌ侵略)の捉え直しと日本の歴史教育(単一民族単一文化説)の洗い直しの必要性、先住民族としての今後の権利要求(民族自決権など)、沙流川の歴史と現状、二風谷ダムの問題点と平取ダム建設計画、1997年に二風谷ダム裁判判決で先住民族としてのアイヌが認定されたのに、2008年まで政府はそれを認めてこなかった犯罪性、8月からスタートした政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」のあり方、などについて意見交換と交流がなされました。今後、次世代を担う子どもたちを交えた相互交流を強化することが話し合われました。
(前川 実・ヒューライツ大阪上席研究員)