ジュネーブ:人権高等弁務官事務所が2026年9月-10月の国連人権理事会に提出した新たな報告書によると、ミャンマーにおける人権状況、とりわけ少数民族の人権状況に関して、ロヒンギャへのさらに悪化する残虐な虐待行為から、違法経済活動、特にレアアースの違法採掘がもたらす壊滅的な影響に至るまで、過去最低水準にまで悪化しています。
この報告書は、絶え間のない暴力と紛争時における経済が相まって、民間人をはかり知れないほど悲惨な状況にさらしていることを詳述しています。報告書の対象期間は、2025年6月1日から2026年5月31日までの期間です。
「軍が支配とその正当性を執拗に追求することで、民間人が直面する苦しみや、生命を脅かす数々の保護および人道上の懸念がさらに深刻化している」と報告書は述べています。「恐怖と服従を強いることを目的とした軍事戦術は、監視強化のための新技術の活用によって助長され、生活のあらゆる側面に浸透している」
この報告書は、民間人に対する軍の暴力行為に焦点を当て、空爆、放火、強制移住、そして外部からの支援の拒否といった行為が継続的に行われていると指摘しています。また、数十万人のロヒンギャが避難を余儀なくされた2017年の凄惨な暴力から9年が経った現在も、ミャンマー軍と「アラカン軍」の両者によって、ロヒンギャに対する広範かつ系統的な権利侵害や虐待が行われているという実態を詳述しています。
また、報告書は、「ラカイン州北部全域で、アラカン軍が、恣意的逮捕、拷問、性的・ジェンダーに基づく暴力、強制失踪、強制労働・徴用、土地や住宅の不法没収、そして村落や宗教・文化遺産の破壊を行っており、ロヒンギャの人々が再び避難を余儀なくされる状況が生じている」と述べています。
「子どもたちは系統的に労働力に利用されており、目撃者によると、わずか6歳ほどの労働者が、ジャングルの開墾や建物の建設、ラカイン州の家庭での雑用に従事していると述べる。子どもが虐殺犠牲者の頭蓋骨など骨を片付けることを強制されているケースもある」
インタビューに応じた人々は、強制徴用から逃げようと試みたロヒンギャが逮捕や拘禁されたり、結婚した少女は強制徴用される可能性が低くなるという期待から、ロヒンギャの少女たちが早婚を選ぶケースがあると報告しています。「元拘禁者たちは、拘束されると、日常的に虐待を受け、竹やゴムパイプ、ベルトによる殴打、マッチやタバコによる火傷、逆さ吊りにされ体を回転させられて意識を失うまでになった、性器に唐辛子を塗られた、爪を剥がされたなどと証言している」と報告書に記されています。
報告書によると、ミャンマー全土における法の支配の欠如が、国の違法経済を助長し、紛争への資金提供や危機の悪化をもたらし、さらに広範な地域にも影響を及ぼしていると指摘しています。違法採掘、麻薬製造、人身売買、詐欺拠点の増加に伴い、人権危機は拡大し続けています。
報告書は、経済崩壊や紛争による避難民の発生が、経済的アクターや犯罪組織にとって搾取しやすい労働市場を生み出していると指摘し、民間人は、絶え間ない人権侵害や虐待が横行するシステムへと誘い込まれているという事態を明らかにしています。
天然資源の無節操な搾取により、国内さらに多くの地域、特に少数民族が暮らす地域において、環境や生計手段、そして地域社会に根差した伝統的なシステムが破壊されてきました。
カチン州とシャン州における違法経済活動やレアアースの採掘は、国境を超えた犯罪ネットワークの拡大、無責任なビジネス慣行、そして越境する深刻な環境汚染を助長しています。衛星画像により、カチン州が依然として主要な採掘地域であり、2021年以降に302ヶ所の新たな採掘場が確認され、これは149%増加したことになります。シャン州では、採掘場がクーデター以前の12ヶ所から、クーデター後は85ヶ所に増えています。
公式データは限られているものの、2023年に貿易額が14億米ドルに達し、ピークを記録したことが報告書で明らかになっています。
報告書はさらに、金融調査により、複数の関係者や組織間の複雑な関係が浮き彫りになり、それが不処罰のまま不法な利益を生み出していたことが明らかになったと付記しています。
大量の有害な化学浸出物質や有毒な鉱山排水が、地元の水路に直接流れ込み、深刻な化学汚染や国境を越えた汚染を引き起こしています。「環境汚染は妊産婦の健康や生殖機能に影響を及ぼしており、現地の調査報告によれば、流産や妊娠中・分娩中・分娩後の重度の出血、および重金属や化学物質への曝露に起因する妊娠合併症が急増していることが確認されている」
経済的機会の欠如、避難、強制徴用もまた女性の鉱山への流入を招いています。「これにより、処罰が全くされないまま活動する監督者、警備員、民兵による性的暴力やハラスメントのリスクが高まった」と報告書は述べています。
報告書はまた、労働安全衛生基準の欠如を強調しています。「聞き取った人たちは、知識も設備もない状況下で、労働者は急性呼吸困難、激しい頭痛、化学火傷、胃腸疾患などの症状を発症したと述べる」。「長期にわたる曝露により、有毒物質が蓄積され、慢性的な肺疾患、腎臓疾患、肝臓疾患を引き起こした」と報告書は記しています。
有毒廃水が浸出池から下流の農地へ直接排出され、土壌が不毛になったり、収穫量や品質に深刻な影響を及ぼしたりして、農家の収入が減少した、と報告書は付記しています。
「この報告書は、ミャンマー全土で、様々なレベルで起きている苦しみ、悲惨さ、そして残虐行為の実態を描き出し、胸が張り裂けそうな内容である」と、フォルカー・テュルク国連人権高等弁務官は述べます。
「私はすべての国、企業、投資家に対して、自らの行動、あるいは不作為について真摯に自省するよう呼びかける。そして、自問してほしい。『これはミャンマーの人々にとって公平かつ公正なことなのか』『自らの活動がもたらした社会的・環境的被害は、果たして元に戻せるものなのか』と。自らの評判と信頼性がいま問われている」
訳:戴睿(だい るい)ヒューライツ大阪インターン
<出典>
https://www.ohchr.org/en/press-releases/2026/08/human-rights-situation-myanmar-plummets-new-low-amid-unrelenting-violations
Human rights situation in Myanmar plummets to new low amid unrelenting violations and unregulated exploitation of natural resources - UN report (25 August 2026)
(2026年09月10日 掲載)