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妊娠を理由に退職・帰国を余儀なくされた元技能実習生への賠償命じる―福岡地裁(8/4)

 妊娠を理由に、退職や帰国を迫ったのは違法だとして、フィリピン出身の元技能実習生の女性のイッサさん(仮名)が、福岡県の実習実施先の介護施設を運営する社会福祉法人や、大分県の監理団体、フィリピンの送出機関を相手に、2022年10月に約645万円の未払い賃金や損害賠償などの支払いを求めた訴訟の判決が2026年8月4日、福岡地裁小倉支部でありました。
 判決は、被告側が妊娠を理由とした不利益取り扱いによる不法行為の責任を負うとして約314万円の賠償を命じました。
 イッサさんは2019年9月に来日し、福岡県内の特別養護老人ホームで介護の仕事に就きました。2021年4月に妊娠がわかったことから、一時帰国し出産後に復職する意思を監理団体に伝えたところ、中絶を勧められたり、実習先の施設から帰国同意書への署名を強要されたりしました。イッサさんは同年8月末に退職し帰国を余儀なくされました。
 原告のイッサさんから相談を受け5年以上にわたり支援を担ってきた「コムスタカ-外国人と共に生きる会」は、送出機関を含む不法行為の共同責任が認められたことから、画期的な判決だとしています。
 この裁判は、提訴から3年余が経過した後、裁判官から二度の和解勧告があったものの、イッサさんは判決を求めました。イッサさんは、2026年2月3日と10日に福岡地裁小倉支部で行われた証人調べの際、フィリピンから来日して出廷しました。

 判決後、フィリピンからオンラインで会見に参加したイッサさんは、勝訴判決を受けて以下のコメント(概要)を英語で述べました。
 「この勝利は単なる法的な決定にとどまらず、妊娠の有無や出身地に関わらず、すべての女性が尊厳と公平、敬意をもって扱われるべきであるということを証明しました。この判決が、かつて私が直面したときと同じ暗闇を歩んでいる人々の光となることを願っています。
 妊娠したからといって、脅迫されたり、差別されたり、尊厳を奪われたりしてはなりません。人権と平等を信じる職場、組織、社会において、マタニティハラスメントは決して許されるものではありません 。
 私を信じ、共に立ち向かい、正義をあきらめなかったすべての方々に、心から感謝を申しあげます。皆さんの支えが、私の最も暗い日々を乗り越える力となりました」。

 8月6日現在、被告側は控訴の意思を明らかにしていません。


(2026年08月06日 掲載)