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「ビジネスと人権に関する指導原則」は以前にもまして重要になっている(2026年6月16日)

 「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下「指導原則」)が人権理事会で全会一致で承認されてから15年となる2026年6月16日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)とビジネスと人権作業部会は連名で、「ビジネスと人権に関する指導原則は以前にもまして重要になっている」とのメッセージを出しました。以下はその概要です。

 武力紛争、気候変動、デジタル・トランスフォーメーション、深まる不平等、そして市民社会スペースの縮小といった現在の状況は、企業活動による人権侵害のリスクを高めており、指導原則の効果的な実施はこれまで以上に緊急性を帯びています。
 指導原則はこの15年間に絶え間ない変革をもたらし、責任ある企業行動に対する世界の期待を大きく変えてきました。そして、国家、企業、投資家、市民社会、国際機関に、共通言語と基準を提供してきました。しかしながら、こうした進展の一方で、人権の保護と救済には大きな課題が残されたままです。こうした課題についての共通認識を反映して、法的拘束力のある文書の策定に向けた国際的な議論なども続けられています。
 15周年となるこの日を、単なる振り返りではなく、行動に向けた呼びかけの機会にしたいと思います。

 2011年6月16日以降、指導原則は世界的な普及に次のような目覚ましい成功を収めてきました。

(国家)
 多くの国々が指導原則の主要な要素を公共政策や立法の中に埋め込み、企業の人権尊重責任を法的要件とすることに道を切り開いてきました。また世界で30を超える政府が国別行動計画を策定しています。

(企業)
 あらゆる地域であらゆる規模の企業が事業活動に指導原則を組み込み、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施して人権への負の影響を特定、防止、軽減することで、負の影響に対する責任を果たしてきました。多国籍企業など大企業を中心に、世界中で今や数万社もの企業が人権方針を策定していると言われます。

(国際的な枠組み)
 指導原則は関連する国際基準も形成し、さまざまな枠組みやイニシアティブの収れんを進める原動力となってきました。例えば、多国間及び地域開発銀行などの国際金融機関では、環境・社会セーフガードやリスク評価などに指導原則の要素を取り入れてきました。また、武力紛争などの高リスク地域、環境保護や気候変動対策、社会的に周縁化された人々の保護など、さまざまな文脈において指導原則が適用されてきました。

(投資家)
 指導原則は、機関投資家の企業への期待や慣行を形成する上でも重要な役割を果たしてきました。指導原則は、機関投資家自身も企業として人権尊重責任を負い、投資全般において人権デュー・ディリジェンスを実施し、また投資先企業に影響力を行使する責任を有することを明らかにしてきました。

(市民社会、労働組合、先住民族、アカデミアなど)
 市民社会、労働組合、先住民族やアカデミアは、アドボカシーや研究活動、また責任を追及する取り組みや国及び企業との対話において指導原則を活用し、その発展に極めて重要な役割を果たしてきました。

(法律)
 指導原則は、法律の領域でも、その発展に貢献してきました。国や地域の裁判所や準司法機関では、企業活動に関連する人権侵害の事案において、国家の義務や企業の責任を解釈するための権威ある枠組みとして、指導原則をますます参照するようになっています。指導原則は、影響を受けた個人や地域の効果的な救済が中心的な課題であることも強調してきました。この点、重要な進展はみられるものの、責任の履行をめぐる課題や救済への壁はなお存在しており、指導原則実施の強化が引き続き求められています。

背景:
 2011年6月16日、人権理事会は「ビジネスと人権に関する指導原則」を全会一致で承認しました。指導原則は、故ジョン・ラギー教授(国連事務総長ビジネスと人権特別代表)が、人権専門家やボランティアからなるチームとともに策定したものです。その策定過程では、世界各地域の国家、企業、影響を受けるステークホルダーとの間での50回近くに及ぶ協議や広範な調査研究が行われ、「保護・尊重・救済」枠組みの概念が繰り返し検討し直されました。
 人権理事会は、指導原則の効果的で包括的な普及と実施を任務とする「ビジネスと人権に関する作業部会」を設置することも決議しました。
 指導原則は、責任ある企業行動に対する世界の期待を大きく変え、国家、企業、投資家、市民社会、国際機関に共通言語と基準を提供してきました。

<出典>

<参考>


(2026年07月16日 掲載)