三重県が、2025年末に外国籍の職員採用を取りやめる方向で検討する方針を示したことを受け、撤回を求める県内3団体は1月13日に三重県庁で記者会見し、方針撤回を求めて活動していくと表明しました。会見は関係者にオンライン配信されました。
三重県では職員の採用試験について、1999年度から職員採用における国籍要件を撤廃し、「公権力を行使」する一部の職種を除いて外国籍者も受験できるようにしてきました。
ところが、一見勝之知事は2025年12月25日の会見で、この要件を見直し、早ければ2026年度から、外国籍の職員の採用を取りやめる方向で検討する考えを明らかにしました。2026年1月26日~2月16日に県民1万人(選挙人名簿に基づくため対象は18歳以上の日本国籍者)へのアンケートを実施し、結果も踏まえて検討を進めると述べました。
一見知事は、見直しの理由として国際情勢の変化をあげ、情報漏洩を懸念して国籍要件を見直すべきという考えを示しています。知事は、会見で国名はあげていないものの、中国が2017年に制定した、中国企業や中国出身者に諜報活動への協力を義務づける「国家情報法」を念頭に、公務員の守秘義務の観点から国籍要件復活の必要性を主張しています。また、こうした法制度が、他国でも作られる可能性があると述べています。
知事の方針に対して、部落解放同盟三重県連合会、三重県在日外国人教育研究会、(公財)反差別・人権研究所みえ(ヒューリアみえ)は1月13日に記者会見を開き、12月30日に撤回を求める意見書を連名で三重県知事に送付したと報告しました。
意見書は、「行政の長が職員採用から外国籍住民の排除を検討していることを示すのは、国籍を理由に不当な取り扱いをしても良いという誤ったメッセージの発信」と指摘しています。そして、国連人種差別撤廃委員会が日本に外国籍者の公務就任権を認めるよう勧告していると言及したうえで、外国籍者の排除は三重県で制定されている「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」の理念に反するものだと批判しています。
意見書は、「排外主義が台頭し、外国籍の人々に対するネガティブな感情が高まる今、すべての人の人権が守られる社会の実現のため、三重県が率先して取り組むべき」として、国籍要件の復活の撤回を求めています。
上記3団体は、「三重県職員の国籍条項復活の撤回を求めるネットワーク」を組織し、同意見書への団体賛同を1月30日まで呼びかけており、1月13日時点で県内外の51団体が賛同しているといいます。「ネットワーク」は共同意見書として県に提出するとともに、知事への面会も求める方針です。
会見で、部落解放同盟三重県連合会の松岡克己委員長は「三重県では全国に誇る包括的差別解消条例が制定され、人権先進県だと思っていたが、排外主義的な方針によって多文化共生が消えてしまう」と述べました。
共同意見書.pdf
<参考>
https://www.pref.mie.lg.jp/MOVIE/l1025900134.htm
三重県知事 一見 勝之 定例記者会見:知事定例記者会見(2025年12月25日)
https://www.pref.mie.lg.jp/CHIJI/000179128_00346.htm
知事定例会見録
https://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0001900204.htm
第4回 みえ県民1万人アンケ-ト調査票 【県職員採用について】問16
<参照>
https://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section1/2025/11/1111.html
全国知事会、多文化共生社会を目指す「共同宣言」(案)採択へ-事実・データに基づかない情報による排他主義・排外主義を強く否定(11/11)
ヒューライツ大阪ニュース・イン・ブリーフ
(2026年01月15日 掲載)