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イギリス、企業にサプライチェーンの透明性を求める「現代奴隷制法」を施行

 2015年6月にドイツのエルマウで開催されたG7サミットの首脳宣言では、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」への強い支持が表明されるとともに、「持続可能なサプライチェーン」の促進や、ベスト・プラクティスの奨励、政府および企業の共同責任を認識することなどが述べられており、2016年5月の伊勢・志摩サミットにおいてさらに踏み込んだ議論が行われることが期待されています。
そうしたなか、イギリスは2015年3月、「現代奴隷制法(Modern Slavery Act 2015)」を制定し、10月から施行しています。62条と附則5からなるこの法律は、奴隷状態に置き強制労働をさせるといった現代的な奴隷制および性的・労働搾取をもくろむ人身取引の防止、加害者訴追、被害者保護を目的とした法律であると同時に、企業に対して、サプライチェーンにおける強制労働と人身取引の防止努力に関する年次報告書の公表を求める規定が盛り込まれています。
人身取引防止を目的とする包括的な法律は、多くの国々で制定されていますが(日本は未整備)、企業のサプライチェーンにおける透明性を求める条文(第54条)を設けた法律は、これが初めてのことです。
同法のもと、イギリスを拠点に活動する年間売上高が3,600万ポンド(約60億円)以上の企業は毎年度、「奴隷制・人身取引報告書(slavery and human trafficking statement)」を作成し、ホームページなどで公表しなければなりません。報告書は、企業がサプライチェーン、および自社のあらゆる事業の部分において、奴隷と人身取引を起こさないことを確保するために行った当該年度の取り組みについて記載すること、もしくは何の取り組みもしていない旨を記載することとしています。そして、以下の情報について記載することが求められています。
(a) 企業組織の構造、事業内容およびサプライチェーン
(b) 奴隷と人身売買に関する方針
(c) 事業とサプライチェーンにおける奴隷と人身取引に関するデュー・ディリジェンスのプロセス
(d) 奴隷と人身取引が発生するリスクのある事業とサプライチェーンの部門、およびそのリスクの評価と管理をするための取り組み
(e) 適切だと考えるパフォーマンス指標に照らして測定した、事業とサプライチェーンにおける奴隷と人身取引の発生防止のための取り組みの有効性
(f) 奴隷と人身取引に関するスタッフのトレーニング
 
2016年3月31日以降に会計年度が終了する企業から、4月1日以降報告書を発表することが義務付けられています。イギリス内に支店や工場を置いている日本企業をはじめとする外国企業も対象になります。この法律の施行によって、搾取的なビジネスを抑制するとともに、消費者や投資家の商品購入・投資に役立つ具体的な指標となることが期待されています。
 
<参考>
http://www.legislation.gov.uk/ukpga/2015/30/contents/enacted
Modern Slavery Act 2015 現代奴隷制法の条文 (英語)
http://www.sustainavisionltd.com/monthly-news-letter-vol-31-modern-slavery-act/

Sustainavision (サステナビジョン 日本語)


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