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ララキア宣言 結論・勧告・決定

第1回アジア・太平洋地域国内人権機関ワークショップ・ダーウィン、オーストラリア
1996年7月8日~10日にて採択

背 景

 第1回アジア・太平洋地域人権の伸長と擁護のための国内人権機関ワークショップは、オーストラリア、ニュージーランド、インド、インドネシアの国内人権委員会の代表者によりオーストラリアのダーウィンで7月8日~10日に開催され、
 インドネシアの委員会の委員長であったアリ・サイド氏が逝去されたことに弔慰をもって留意し、
 すべての人間が尊厳のもとで自由かつ平等に生まれていること、そしてあらゆる形態の差別および権力の乱用からの平等な保護の権利をもつことを承認した世界人権宣言およびその他の人権条約のなかで宣言されている普遍的で不可分の権利に対する参加者の誓約をあらためて確認し、
 ウィーン宣言および行動計画、とりわけそれが国内人権機関を支持していること、および1991年にパリにて、1993年にチュニスにて、1995年にマニラにて開催された人権の伸長と擁護のための国内人権機関の一連のワークショップのもたらした進展を想起し、
 国際連合総会および国際連合人権委員会が採択した国内人権機関およびアジア・太平洋地域の地域的取決めの設立と発展を奨励する諸決議を想起し、
 パリ原則に準拠するかたちの国内人権機関をすでに設置しているか、現在、設置を検討している諸政府の代表がオブザーバーとして参加していることを歓迎し、他の政府も同様の方向に進むことを奨励し、
 いくつかの非政府組織がオブザーバーとしてワークショップに参加していることを歓迎し、
 国際連合人権高等弁務官、国際連合人権センター、およびオーストラリア政府がAusAIDを通じて財政的援助等を提供したことに対して感謝する。

結 論

 オーストラリアのダーウィンで7月8日~10日に開催された第1回アジア・太平洋地域人権の伸長と擁護のための国内人権機関ワークショップは次の結論に達した。
 人権の伸長と保護は社会を構成するすべてのものの責務であり、人権の防衛に関わる人々は一致してその進展をもたらすために活動するべきであること。
 国内機関が非政府機関との密接な協力のもとに活動し、可能なかぎり政府と協力しつつ人権の原則が十分に有効かつ実質的に実施されることを確保すること。
 国際レベルにおいては、地域的協力が人権の有効な伸長と保障を確保するために必要不可欠であること。
 国内機関の有効性と信頼性を確保するため、その地位と責務は国連総会で採択された国内機関の地位に関する原則――これは国内機関が独立、多元的で、「原則」に準拠したかたちで可能なかぎり憲法もしくはその他の法により設置されるべきであるとする――に準拠したものであるべきであること。

勧 告

 第1回アジア・太平洋地域国内人権機関ワークショップに参加した国内人権機関は以下の勧告を行う。
 国際連合が独立した国内人権機関の固有の地位と性格を公的に認識し、国際連合の人権に関わる場での活動にそれ自体の権利として参加できるよう適切な措置をとること。
 マニラ宣言で勧告がなされているように、国際連合がアジア・太平洋地域の国内人権機関の間の密接な協力と定期的な会合を推進し、そのために一定の予算措置を確保することも含めた手だてをとること。
 国際連合人権高等弁務官が国際基準の受容と遵守を促進する努力を継続し、アジア・太平洋地域において国内人権機関の地位に関連する原則に準拠した独立性のある国内人権委員会の設立と強化を支援することにとくに関心を払うこと。
 この地域のすべての国家と既存の機関が国内機関の地位と責務が総会で採択された国内機関の地位に関する原則と合致したものであることを確保するよう活動すること。
 域内の国内機関のそのような機関の設立と運営に関する経験と情報の交換を促進するよう、この地域のすべての国家が適切な措置をとること、なかでも既存の国内機関の地域レベルでの広範な相互協力をさらに奨励すること。

決 定

 第1回アジア・太平洋地域国内人権機関ワークショップに参加した国内人権機関は以下の点について合意した。
 国内機関の設置と発展のためになされる、域内政府からの協力要請に対して、可能な場合は人員その他の支援を提供すること。
 相互の支援、協力、共同活動を以下の方法で深めること。

・情報交換
・委員と事務局スタッフの研修と育成
・共通の課題に関する共同の見解の作成
・共同プロジェクトの実施
・経験交流
・定期的な地域的会合の開催
・共通の課題やニーズに関連する専門家による地域セミナーの開催
・他の人権機関からの、人権機関が存在する国における自国国民への人権侵害に関する調査の要請に対する速やか、かつ有効な対応

 このような目的のために非公式の国内人権機関のアジア・太平洋地域フォーラムを参加人権機関により設置する。
 パリ原則に準拠した他の独立した国内人権機関のフォーラムへの参加を歓迎する。
 政府と人権に関わる非政府機関に対してオブザーバーとしてフォーラムの会合に参加することを奨励する。
 感謝をもって以下の提案を受諾すること

・インド委員会による12カ月以内に第2回国内人権機関地域ワークショップを招請するという申出
・ニュージーランドの委員会がアジア・太平洋地域フォーラムのコーディネーターとして今後も機能すること
・オーストラリアの委員会が今後3年間についてフォーラムの事務局を引き受け、そしてその後のアジア・太平洋地域での事務局の移転を考慮すること

翻訳:川村暁雄