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国家機関(国内人権機関)の地位に関する原則(パリ原則)

(1993年12月20日に国際連合総会決議48/134によって採択)
(全面改訳版)

権限および責任

  1. 国内人権機関は人権を促進および保護する権限を付与されるものとする。
  2. 国内人権機関はできる限り広範な職務(mandate)を与えられるものとする。その職務は、機関の構成および権限の範囲を定める憲法または法律において明確に規定されるものとする。
  3. 国内人権機関は、特に、次の責任(responsibility)をもつものとする。 
    1. 政府、議会その他権限のある機関に対し、人権の促進および保護に関するあらゆる事柄(any matters)について、関係当局の要請によりまたは上級機関に付託することなく問題につき聴聞する(to hear a matter)自らの権限の行使によって、助言的な基盤で、意見、勧告、提案および報告を提出すること。国内人権機関はそれらを公表すると決定することができる。これらの意見、勧告、提案および報告、ならびに国内人権機関の特権は、以下の分野に関連するものとする。
      1. 人権の保護を維持し展開することを目的とする立法上または行政上の規定、ならびに司法機関に関する規定。これに関連して、国内人権機関は、現行の立法上または行政上の規定、ならびに法律案(bills)および法律提案(proposals)を検討するものとし、これらの規定が人権の基本原則に合致するよう確保するため、適切と考える勧告を行うものとする。国内人権機関は、必要であれば、新たな立法の採択、現行法の改正、ならびに行政施策の策定または変更を勧告するものとする。
      2. 国内人権機関が取り上げると決定した人権侵害の状況。
      3. 人権一般に関する国内状況、およびより具体的な問題に関する報告書の準備。
      4. 国内の地域で人権が侵害されている状況につき政府の注意を喚起し、そのような状況を終了させるための方策を政府に提案し、必要な場合には、政府の姿勢と対応について意見を表明すること。
    2. 法律、規則および慣行と国家が締約国となっている国際人権条約との調和、ならびに国際人権条約の実効的な履行を促進し確保すること。
    3. 国際人権条約の批准またはこれへの加入を奨励し、その履行を確保すること。
    4. 国際連合の機関および委員会ならびに地域的国際組織に対し、条約上の義務にもとづき国家が提出を求められる報告につき貢献し、必要な場合には、自らの独立性を十分に考慮し、報告に関し意見を表明すること。
    5. 人権の促進と保護の分野で権限をもつ国際連合および国際連合システムの他の機関、地域的国際組織ならびに他国の国内人権機関と協力すること。
    6. 人権に関する教育および研究プログラムの作成を支援し、学校、大学および専門家団体におけるそのプログラムの実施に参画すること。
    7. 特に情報伝達および教育を通じて、またあらゆる報道機関を活用して、民衆の関心を高め、人権およびあらゆる形態の差別、特に人種差別と闘う努力に関し宣伝すること。

構成ならびに独立性および多元性の保障

  1. 国内人権機関の構成およびその構成員の任命は、選挙によるか否かを問わず、人権の促進と保護に関わる(市民社会の)社会勢力から多元的な代表を確保するため必要なあらゆる保障を備えた手続に従って行われるものとする。特に、これ〔国内人権機関の構成およびその構成員の任命(訳者注)〕は、下記の代表との実効的協力の確立を可能とする勢力によって、または下記の代表の参加を通じて、行われるものとする。
    1. 人権に取り組み人種差別と闘うため努力するNGO、労働組合、ならびに弁護士会、医師会、ジャーナリスト協会および学術会議のような、関連する社会組織および専門家組織
    2. 哲学思潮または宗教思潮(Trends in philosophical or religious thought)
    3. 大学および高度の専門家
    4. 議会
    5. 政府部門(これが含まれる場合、その代表者は助言的資格でのみ議論に参加すべきである。)
  2. 国内人権機関はその活動を円滑に行えるような基盤、特に十分な財源をもつものとする。この財源の目的は、政府から独立で、その独立性に影響しかねない財政統制の下に置かれるとのないよう、国内人権機関が自らの職員と土地家屋を持つことを可能とするものでなければならない。
  3. 機関の真の独立にとって不可欠である構成員の安定した権限を確保するため、構成員は一定の任期を定めた公的決定(an official act)によって任命されるものとする。この任期は、構成員の多元性が確保される限り、更新可能である。

活動の方法

国内人権機関はその活動の枠組みにおいて、次のことを行うものとする。

  1. 政府によって付託されたものであれ、上位の当局に付託せず自らが取り上げたものであれ、構成員または申立者の提起によって、その権限に属する問題につき自由に検討すること。
  2. その権限に属する状況を評価するため、いかなる者の意見も聞き、情報およびその他の文書を取得すること。
  3. 特にその意見や勧告を公表するため、直接にまたは報道機関を通じて、世論に呼びかけること。
  4. 定期的に会合すること。必要な場合には、正式な招集手続を経て、全構成員の出席で会合すること。
  5. 必要に応じて、構成員からなる作業グループを設置し、また機関の機能を補佐するため、地方や地域に支部(local or regional sections)を置くこと。
  6. 管轄権の有無にかかわらず、人権の促進と保護に責任をもつ団体(特に、オンブズマン、仲裁者類似の機関)との協議を維持すること。
  7. 国内人権機関の活動を拡大するうえでのNGOの基本的な役割を考慮し、人権の促進と保護、経済的および社会的発展、人種主義との闘い、特定の弱者集団(特に、子ども、移住労働者、難民、身体および精神障害者)の保護、または専門領域に取り組んでいるNGOとの関係を発展させること。

準司法的権限をもつ委員会の地位に関する追加的原則

国内人権機関に、個人の状況に関する苦情や申立を聴聞し、検討する権限を認めることが出来る。個人、その代理人、第三者、NGO、労働組合の連合体またはその他の代表組織は事案を国内人権機関に提起できる。この場合には、委員会の他の権限に関する上記の原則にかかわらず、国内人権機関に委ねられる機能は以下の原則に基づくものとすることができる。

  1. 調停により、または法が規定する制約の範囲内で、拘束力のある決定によって、また必要な場合には非公開で、友好的な解決を追求すること。
  2. 申立を行なった当事者にその者の権利、特に可能な救済につき情報提供し、救済の利用を促すこと。
  3. 法が規定する制約の範囲内で、苦情や申立を聴聞し、またはこれらを他の管轄当局に移送すること。
  4. 特に法律、規則および行政慣行が、自らの権利を主張するため申立を行う者が直面する困難の要因となっている場合には、特にそれらの改正または改革を提案することによって、権限ある当局に勧告を行うこと。

翻訳:山崎公士(新潟大学法科大学院教授)

出所:Commission on Human Rights resolution 1992/54 of 3 March 1992,annex(Official Records of the Economic and Social Council, 1992,Supplement No. 2(E/1992/22), chap. II, sect. A); General Assembly resolution 48/134 of 20 December 1993, annex.

注:
 1. ()は英語テキストにあるもので、〔〕は訳者が補ったものである。
 2. 一部のキーワードについて、参考までに(英語)を表記した。

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