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アジア・太平洋国内人権機関フォーラム第6回年次会合最終結論 ~人権の保護と促進におけるアジア・太平洋フォーラムの役割~

スリランカ、コロンボ
2001年9月24日‐27日

・序章


  1. スリランカ、オーストラリア、フィジー、インド、インドネシア、モンゴル、ネパール、ニュージーランド、そしてフィリピンの国内人権機関から構成されるアジア・太平洋地域国内人権機関フォーラム(以下、略「フォーラム」)の第6回年次会合が、2001年9月24日から27日までスリランカのコロンボにおいて開催された。
  2. フォーラムは、スリランカ人権委員会に対し会合の主催について、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に対し共催について、そしてオーストラリア、ニュージーランド政府に対しその財政的支援について謝意を表明する。フォーラムは特にスリランカ人権委員会の委員と職員の方々、そしてフォーラム事務局に対して、会合を運営するための活動について感謝する。
  3. フォーラムは、域内の政府、他の関係する機関そして国際的、地域的、国内的NGOの100を越えるオブザーバーとしての参加を歓迎する。参加者はオーストラリア、中国、大韓民国、ラオス、ニュージーランド、パプアニューギニア、サモア、そしてスリランカ政府の代表、また36のNGOの代表を含む。
  4. スリランカ司法長官サラス・シルバ閣下(Sarath Silva)、国連人権高等弁務官アジア・太平洋地域アドバイザーそして国連規約人権委員会委員長であるP・N・バグワティ判事(Justice P. N. Bhagwati)、スリランカ人権委員会の委員長そしてアジア・太平洋地域国内人権機関フォーラム議長であるFaisz Musthapha氏が今会合を開会した。開会の声明において著名なスピーカーたちが人権の保護と促進のための独自の地域機構としての役割を歓迎し、国連、政府そして私的財団に対してフォーラムの活動に対し強力な財政的、物的支援を提供することを要求した。

・結論


  1. フォーラムメンバーは、フォーラムの法構造と統治構造に関する問題を審議するという第4回、5回の年次会合で任命された作業部会の報告書を検討した。フォーラムメンバーは新しい構造に合意した。フォーラムメンバーはまたフォーラムの戦略的方向について議論し、主要な戦略的優先事項と同時にその任務と将来像に関する声明を決定した。フォーラムメンバーはフォーラムの優先事項が達成されることを確保するために評価とフィードバック・メカニズムを発展させることに合意した。
  2. フォーラムは、国内人権機関の地位と責任は国連総会において採択された国内人権機関の地位に関する原則(決議48/134、「パリ原則」)を満たすべきであることを確認した。これを基礎として第9番目のメンバーとしてモンゴル国家人権委員会の参加を承認した。
  3. フォーラムメンバーは、全会一致でスリランカ人権委員会(現在の年次会合のホスト機関)をフォーラムの議長として選出した。ネパール国家人権委員会(次回の年次会合ホスト機関)、そしてニュージーランド人権委員会(前回の年次会合ホスト機関)も同様に全会一致で副議長に選出された。これらの役職の期間は次回の年次会合までとする。さらにフォーラムメンバーはオーストラリア人権及び機会均等委員会、フィジー人権委員会、インド連邦人権委員会、フィリピン人権委員会を国内人権機関に関する国際調整委員会の4つの地域代表として選出した。フォーラムメンバーは、これらの役職をフォーラムメンバー間の輪番で行うことに同意し、フォーラム事務局に対してフォーラムメンバーが検討するために輪番の方式に関しての指針を発展させることを要請した。
  4. フォーラムは、その加盟機関、特に新しく創設された機関に対しさらなる支援を提供する必要性について同意した。フォーラムは事務局に対し各機関がフォーラムから提供してほしい実効的な支援、そして逆に各機関がフォーラムに対して提供することができるノウハウ、技術についての情報を提供するようすべての加盟機関に対し書面を送付するように要請した。フォーラムは加盟機関の間で職員を交換する必要があるとして、事務局に対してこれを実行するために必要な基金を設立することを要請した。フォーラムはまた国内人権機関が効果的で能率的に機能するための相互の関心事項について議論するために加盟機関の主席行政官を招集する可能性を探求することに同意した。
  5. フォーラムは、人権の保護と促進のための活動においてNGOと国内人権機関の関係が重要であることに同意した。フォーラムメンバーと人権NGOは相互の利益と尊重そしてフォーラムの1999年キャンディー行動計画の詳細に基づいた緊密で協力的な関係を発展させ続けるという責任を再確認した。
  6. フォーラムメンバーは、HIV/AIDSはその重大な経済、社会そして文化との関係性から単に保健の問題ではなく人権問題としてみられるべきであることに同意した。それゆえ、フォーラムメンバーはHIV/AIDSに基づく差別と人権侵害と闘うことを約束した。そしてその任務を実行するために国連、政府そしてNGOの支援を求めた。フォーラムは、2001年10月7日と8日にオーストラリアのメルボルンで開催された「HIV/AIDSと人権」に関する地域的ワークショップを開催したイニシアチブを歓迎し、ワークショップの最終結論に期待した。フォーラムはまた、この分野における活動に取り掛かるためフォーラムメンバーを支援する実効的プロジェクトの履行のための基金を発展させ獲得することを事務局に要請した。
  7. フォーラムは、ジェンダーと女性の搾取に基づく差別に焦点を当てることによって女性の人権を保護し促進するフォーラムの特別なコミットメントを続けた。フォーラムは、2002年に人身売買に関する地域的ワークショップを開催するという提案を承認した。フォーラムメンバーはまた、実効的なプロジェクトを国境を越えた人身売買と闘うために発展させられるべきであるという意見を歓迎し、事務局に対しこの目的のために基金を設立することを要請した。
  8. フォーラムは、アジア・太平洋地域における国内人権機関の役割に関するドキュメンタリービデオの製作を歓迎した。フォーラムメンバーは、その教育的活動の一環として国内のメディアネットワークを通してこのドキュメンタリーを利用することを考慮することに同意した。フォーラムは、事務局と国連に対して政府とNGOに対し国内人権機関の活動について情報提供をするために共に活動することを要請した。
  9. 国連人権高等弁務官アジア・太平洋地域アドバイザーは、フォーラムの活動のための人権高等弁務官が示している、また示し続けようとしている強力なコミットメントを強調した。フォーラム事務局の事務局長は、地域的協力を促進するプロジェクトの履行において国連とフォーラムの緊密で協力的な関係を維持する必要性を強調した。フォーラムメンバーは、この協力的なパートナーシップとフォーラムの活動のために国連人権高等弁務官事務所と共に総合的な制度的強化プロジェクトを作成するという提案を承認した。フォーラムメンバーはまた国内人権機関と緊密に活動する国際条約機関と国連の特別メカニズムの必要性を強調し、事務局と国連人権高等弁務官事務所に対しこれが履行される方法について検討するように要請した。
  10. フォーラムは、国内・国際紛争下で活動する国内人権機関が直面している困難を検討し、人権侵害と人道に対する罪の犯罪者の訴追は法の支配に従うことが必要不可欠であることを強調した。フォーラムメンバーは犯罪人を逮捕し起訴するために必要なすべての措置は人権と人道法に合致する方法で行われるべきことを強調した。フォーラムメンバーはさらに紛争下においてはことさら国内人権機関の維持と尊重のためにその独立が重要であることを強調した。国内人権機関はまた人権擁護者を保護する役割を果すであろう。
  11. フォーラムは事務局に対しローマ規程(ICC規程)の批准とその発効に関しての地域的ワークショップを開催するための資金を集めることを要請した。
  12. フォーラムメンバーは、「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」(以下、略「世界会議」)とその行動計画において国内人権機関により承認された文書について議論した。フォーラムメンバーは、世界会議の成果を歓迎し国連人権高等弁務官の積極的な役割に対してお祝いの言葉を述べた。世界会議においては国内人権機関の果たしている重要な役割に対する評価が注目された。フォーラムは、国内人権機関についての文書(A/CONF.189/Misc.1)を支持し、その勧告のフォローアップを行うことに同意した。フォーラムメンバーは、世界会議の最終宣言と行動計画を含む成果を履行する実効的なイニシアチブに焦点を当てる重要性について強調した。
  13. フォーラムメンバーは、法律家諮問評議会による死刑およびインターネット上の子どもポルノグラフィーに関する暫定報告書の勧告について、各々の考察を報告した。フォーラムメンバーとNGO両者が法律家諮問評議会の結論を利用したことが言及された。フォーラムメンバーがこれらのトピックに関してとった活動とそれに関わるすべての進展について報告できるようにこのトピックを年次会合の議題に残しておくべきことが合意された。フォーラムメンバーはまた、原則として人身売買に関しての法律家諮問評議会に対する付託をまとめることを決定した。
  14. フォーラムメンバーは、国連の国内避難民に関する指針原則について議論した。国内避難民保護の最初のそして主要な責任は政府と地方自治体にある一方で、国家がその義務を果すことを確保する、そして国内避難民の人権が保護されることを確保するという国内人権機関の役割は注目された。フォーラムメンバーは、この問題に関する各々の経験を共有する機会を歓迎し、事務局に対してこの問題についての支援を要請している国内人権機関のための基金を作ることを要請した。
  15. フォーラムメンバーは、国連人権高等弁務官事務所、そしてオーストラリア、ニュージーランド政府により提供されたフォーラムの活動のための持続的な支援に対して謝意を表明した。フォーラムメンバーはまた、オーストラリア人権及び機会均等委員会に対してフォーラムの形成と設立にあたって提供された特別な支援について心から感謝した。
  16. フォーラムは約12ヶ月以内に開催される第7回アジア・太平洋国内人権機関フォーラム年次会合のホストを務めるというネパール国家人権委員会の申出を感謝して受け入れた。
(訳/山科真澄)