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アジア・太平洋国内人権機関フォーラム第6回年次会合

1.国内人権機関1

  1948年から経済社会理事会においては国内人権機関に関わる問題について議論されていた。その後1980年代を通して、国連は、国内人権機関に関心を示し、また相当数の国内人権機関が、国連人権センターの支援のもと設立された。その後、国内及び地域的な人権の伸長と保護に関わる機関の参加を得て、1991年10月7日から9日にかけて、第1回人権の伸長と保護のための国内機関に関する国際ワークショップが開催された。この結論は、人権委員会の決議1992/54により、「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」として承認され、続いて国連総会でも決議48/134により承認された。
  「パリ原則」によると、国内人権機関とは、(1)人権保障のため機能する既存の国家機関とは別個の公的機関で、(2)憲法または法律を設置根拠とし、(3)人権保障に関する法定された独自の権限を持ち、(4)いかなる外部勢力からも干渉されない独立性を持つ機関をいう。

2.アジア・太平洋国内人権機関フォーラム

  1977年にアジア・太平洋地域で初の国内人権機関であるニュージーランド人権委員会が設立された。その後、80年代後半から各国で国内人権機関設立の動きが見られた。1996年にはオーストラリア、ニュージーランド、インド、インドネシアの国内人権機関の代表がオーストラリアのダーウィンで第1回アジア・太平洋国内人権機関ワークショップを開催し、この地域の国内人権機関の相互協力と情報交換などのため、アジア・太平洋国内人権機関フォーラム(以下、略「フォーラム」)を創設した。(『アジア・太平洋人権レビュー(以下、略「レビュー」)1997』173、174頁参照)。なお第2回フォーラム会合は1997年にニューデリーで(『レビュー1998』249頁参照)、第3回は1998年にジャカルタで(『レビュー1999』232頁参照)、第4回は1999年にマニラで(『レビュー2000』151~153頁参照)、そして第5回はロトルアで(『レビュー2001』137~139頁参照)それぞれ開催された。

3.第6回年次会合の概要

  2001年9月24日から27日にかけてスリランカのコロンボにおいて「人権の保護と促進におけるアジア・太平洋国内人権機関フォーラムの役割」をメインテーマに掲げ、第6回の年次会合が開催された。フォーラムは今会合から正式メンバーとなったモンゴルを加え、ニュージーランド、オーストラリア、フィジー、インド、インドネシア、フィリピン、スリランカ、ネパールの9つの国内人権機関によって構成されている。このフォーラムのメンバー以外には、地域内の政府、関係機関、国際的NGO、地域的NGOそして国内NGO,国連の専門機関から100を超える代表がオブザーバーとして参加した。しかし今回は残念ながら日本からはNGOも政府からも代表が参加していない。
  また、今会合は会期4日のうち2日間をフォーラムメンバーのみの非公開の会合とし、フォーラムの戦略計画と方向性について議論を行った。それ以外の公開会合において議論された議題は「地域的協力:人権の保護と促進におけるアジア・太平洋国内人権機関フォーラムの役割」、「新しく創設された国内人権機関のニーズ」、「NGOと国内人権機関:アジア・太平洋人権ネットワークからの報告」、「HIV/AIDSと人身売買―国内人権機関に対する課題」、「アジア・太平洋地域の協力」、「人種主義、人種差別、外国人排斥と関連のある不寛容:反人種主義・差別撤廃世界会議の成果に関する報告」、「国内避難民と国内人権機関」である。前回、女性の人権を議題として取り上げるようNGOより要請があったが、残念ながら今会合ではそれは議題に上らなかったようである。

4.まとめ

  フォーラムのホームページ2や関連資料をみると、今回の会合はフォーラム自体の制度強化に重点が置かれていたようだ。その成果として最大のものは、フォーラムの憲章を制定したことであるとフォーラム自身も総括している3。そのような制度強化が単にフォーラムの規模を大きくするという意味だけではなく、各加盟機関が本当に各国内で人権の保護と促進に貢献できるようフォーラムが発展していくという意味も持たなければならない。そのためにはもう一度ここで、フォーラムにおいて各国政府、NGOそして国際機関との連携を強化しなければならないだろう。特にNGOとの関係については今回の最終結論で宣言してある通り再考しその関係を強化する必要性があろう。
  日本も現在人権委員会の設置を検討しているが、それはフォーラムに参加することができるような「パリ原則」を満たすものでなければならない。そしてフォーラムに参加し、その発展、およびアジア・太平洋地域の人権の保護と促進のために貢献してほしい。
(山科真澄/神戸大学大学院国際協力研究科博士前期課程)

1. この章については、山崎公士監修『国内人権機関―人権の伸長と保護のための国内機関づくりの手引書』解放出版社、1997年を参照した。
2. See http://www.apf.hreoc.gov.au
3. see http://www.apf.hreoc.gov.au/news_info/bulletin_6.html#colombo