国際連合(国連)は、世界人権宣言を採択したのち、自由権規約、社会権規約をはじめ、9つの主要な人権条約をつくりました。それぞれの条約に加盟した国は、その条約にあげられた権利をまもることを約束します。一方で、条約にも加盟国が条約をまもるようにする仕組みがあります。
まず、加盟国はそれぞれの条約にあげられた権利をまもるために行なったことや、人権の保障にあたっての課題について報告を提出し、条約に基づいてつくられた条約委員会がその報告を審査します。審査後、その国の条約の実施について、課題や改善に向けた勧告が公表されます。
もう一つは、条約にあげられた権利を侵害された人、またはその代理人が直接、条約委員会に権利を侵害された、といって通報できる個人通報制度です。権利侵害の被害者が声を上げることが、条約をまもるために最も効果的である、としてつくられた制度ですが、条約とは別にこの制度を受け入れる、と国が表明しなければなりません。そのために、この制度を別の条約(選択議定書)として規定している場合(自由権規約、社会権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、障害者権利条約)と、条約のなかに、別途受け入れる表明を必要とする条項(選択条項)として規定している場合(人種差別撤廃条約、拷問等禁止条約、移住労働者権利条約(個人通報制度未発効)、強制失踪防止条約)があります。
権利が侵害された人から通報を受けた条約委員会は、通報者と侵害したと訴えられた国双方から言い分を聞き、条約の違反にあたる権利侵害があったかどうかについての見解と、被害を受けた人に対する補償、改善措置などを公表します。
日本は移住労働者権利条約を除く8つの人権条約を批准していますが、個人通報制度はどの条約についても受け入れていません。
[2026.9.25]
(岡田 仁子)