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国際人権ひろば No.53(2004年01月発行号)

「国際人権を考えるつどい」を開催

 2003年12月18日(木)、大阪府・大阪市・ヒューライツ大阪が主催し、外務省の後援を受けて、大阪市天王寺区のクレオ大阪中央で「国際人権を考えるつどい」 を開催しました。この「国際人権を考えるつどい」は、講演会をはじめ、文化イベントや国際人権に関わる世界会議の報告を通じて、市民に国際的な人権の基準を身近に考えていただく機会を提供することと共に、今後の身近な活動に生かしていただくことを目指したものです。約400名の市民の参加がありました。「つどい」の主な内容を以下報告します。

【文化イベント】フローレス デュオ(FLOREZ DUO)


 南米ペルーの古都クスコ出身のフローレス兄弟、フレディさんとヘススさんがペルーの伝統的な音楽「フォルクローレ」や乗りのいいラテン音楽など、息の合ったハーモニーを約30分間にわたり聴かせてくれました。
 南米の文化や歴史を交えながら曲や楽器についての説明もあり、フローレス兄弟の美しく絶妙なハーモニーが会場を包み込みました。

【2つの世界会議レポート】


 主催者を代表して川島慶雄・ヒューライツ大阪所長が挨拶を行った後、03年に国連および国連専門機関によって取り組まれた人権に関する2つの「世界会議」の報告が行われました。
 第1報告は、「国連障害者権利条約に関する特別委員会」に関して、外務省国際社会協力部人権人道課事務官の増子絵美さんに報告していただきました。
 01年12月に設立された「特別委員会」の設立経緯や、その後の障害者権利条約作成の是非についての議論、条約作成の合意を得た02年の第1回特別委員会についての説明が行われました。
 そして、03年6月16日?27日のニューヨーク国連本部での第2回特別委員会において、日本政府が、障害者権利条約の作成は絶対に必要であり、その内容は権利に基づいたアプローチに沿った人権条約となるべきであるという点を明確に表明したとの報告がありました。
 その第2回特別委員会では、「国連障害者権利条約特別委員会の今後の取り進め方に関する決議案」がコンセンサスで採択されたとともに、条約草案を作成するために地域ごとに指名される政府代表、NGO代表、国内人権機関代表の合計40名からなる作業部会の設立が決定されたことの説明が行われました。
 また、04年1月に開催される作業部会では、条約草案の作成が開始され、今後、障害者の権利条約についての議論がさらに進むなかで、日本の意見が反映されるように努力していくとの表明がありました。
 第2報告は、ユネスコ反人種主義教育国際会議と「反人種主義新総合戦略」に関して、ヒューライツ大阪研究員の藤本伸樹が報告しました。
 人種差別や今日世界で起きている人種差別に焦点をあてながら、01年に国連が主催した「反人種主義・差別撤廃世界会議」(ダーバン会議)の概要や、それを受けて03年6月に大阪で開催された「ユネスコ反人種主義教育国際会議」についての説明を行いました。さらに、03年の9月?10月にかけての第32回ユネスコ総会で採択された「人種主義、差別、外国人排斥および不寛容と闘う新総合戦略」に盛り込まれた、人種差別を撤廃するために施策を進める自治体のグローバルなネットワークの創設をはじめとする活動の具体的なテーマを紹介しました。
 日本の市民の課題として、異なったルーツや文化を持つ人々が協力して暮らす多文化社会は、日本社会をいろんな意味で豊かにするという認識を持つことの重要性を強調し、市民が力を合わせて人種差別のない世界をつくり上げていこうと呼びかけました。

【講演】吉永みち子さん(ノンフィクション作家)


「国際人権を考えるつどい」のメイン講演では、作家活動に加え、テレビのコメンテーターとしても活躍している吉永みち子さんが、『21世紀の女性たち、男性たちへ』というテーマでご自身の生い立ちや職場、家庭における様々な経験談を交えながら、軽快かつ鋭い視点で約90分間にわたり講演をしていただきました。
 吉永さんは、「共同参画ということは、女性と男性が本当にお互いの生き方を尊重しながら良い関係を築いていくことで、これはまさに男女の生き方に関わる問題」と指摘しました。さらに、「それぞれの尊厳をどれだけ重んじられるか、個々の尊厳をどれだけ重んじることができるかという人権の問題として、男性も女性も双方が共に考えていかなければならない」と強調し、男女共同参画の過渡期にある今をどのように過ごすかで、今後の男女の関係や社会が変わる大切な時期と話しました。
 最後に、「ひとが自由に生きる、自分の権利を主張するということは、他人の人権や生き方も尊重するということ」と多様性を認める社会をつくり上げることが大切であると強調しました。

(構成:村上好美・ヒューライツ大阪研究員)