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国際人権ひろば No.48(2003年03月発行号)

肌で感じたアジア・太平洋

内モンゴル自治区体験、日中子ども交流ツアー -言葉が通じなくとも、心は通う

中山 順次 (なかやま じゅんじ) 豊中市教職員組合副委員長

期待と不安の旅立ち


 02年8月18日、「日本・中国子ども交流ツアー」の総勢35名は空路、中国へ飛び立った。めざすは内モンゴル自治区、ゴゴンタラ草原。出会いと友情、そして新たな発見の旅が始まった。
 このツアーは、日中国交回復30周年を記念し、豊中市教職員組合が主催し、豊中市内の小中学生、高校生ら26名が参加、7名の教職員が引率した。旅行社添乗員の他に、同行取材の毎日新聞社記者が加わった。
 北京までは3時間。日本を離れ見知らぬ土地へ旅立つ不安と、これからの新たな出会いへの期待、それぞれが入り交じった子どもたちの表情が印象的だった。
 北京到着。人、人、人で溢れた北京。熱気が伝わる。右肩上がりの中国経済の一端を見る思いだ。子どもたちもただ唖然。
 北京からは、夜行寝台列車に乗って約11時間。19日早朝、自治区の区都フフホト駅に到着した。いよいよ現地の子どもたちと合流。中国人民対外友好協会の力添えで、フフホト市の同世代の子どもたち26名が私たちを迎えてくれた。

遠慮がちな子どもたちもいつの間にか


一緒のバスに乗り、145キロ先の草原へ向かう。そこは中国の夏場の避暑、観光の地で、モンゴル族のテント式住居「パオ」で宿泊できる施設がある。1泊2日の交流の始まりだ。
 バスの中では、日中の子どもたちは隣合わせの席に座り、まずは、はにかみながら互いに「ニイハオ」。フフホトの子どもたちは地元の歌や日本語での歌を披露し、日本からの友人を心から歓迎してくれる。
 少々引っ込み思案、遠慮がちな豊中の子どもたちとは対照的に、フフホトの子どもたちは積極的にコミュニケーションを求めてくる。その姿には正直、感心させられた。
 そんなフフホトの子たちの助けもあり、筆談に身振り手振りを加え、相手の表情を読みながら、時には英語を交え、互いの距離を少しずつ詰め合っていく子どもたち。言葉の壁を乗り越え、うち解け合うのに、それほど時間はかからなかった。途中のトイレ休憩の頃には、互いに手を取り合ってバスを降りていく姿も見られるほどになった。

広大な自然に包まれて


 バスに揺られること3時間。ゴゴンタラ草原に到着。ゴゴンタラとは、モンゴル語で「明るい草原」を意味する。360度どこまでも広がる大草原。思わず駆け出したくなる。
 草原に点在する民家を訪ねる。パオの中に入ってみると意外と広い。お茶やお菓子をいただく。電気は風力発電、燃料は羊のふんを乾燥させて使うなど、自然の中で生きる人たちの暮らしぶりに子どもたちも心を動かされる。
 途中、出会った羊の群れ。その群れをどこまでも走って追いかけていく日中の子どもたち。豊かな自然の中で子ども本来の姿が取り戻されていくようだ。
 その後、短い時間だったが、草原で乗馬やラクダ車を体験し、本場のモンゴル相撲を観戦。夕食は羊の太ももバーベキューにびっくり。シシカバブーもどっさり。これが草原風味だとしっかり味わった。

笑顔あふれる交流会


そして、夜の交流会「かがり火パーティ」。その直前まで、たき火を囲んでの一般的なキャンプファイヤーを想定していたが、始まってみれば立派な舞台が用意され、当地を訪れている大勢の観光客が取り巻いている。緊張感が走る。
 フフホトの子どもたちは、衣装をまとっての民族舞踊や歌など、「一人一芸」を演じる。大人顔負けの演技に大きな拍手がわく。
 豊中の子どもたちの出し物は、交流会参加者が一緒になって手遊びをしたり、紙飛行機を折ったりと参加型。また練習の甲斐があったのは花笠音頭。共に手拍子を打ち、そのユーモラスな動きは笑いを誘った。
 参加者全員で「幸福的拍手歌(幸せなら手をたたこう)」を中国語と日本語で大合唱し、最後はモンゴルの踊り「安代踊り」。日中の子どもたちが入り交じって踊りの輪ができる。心をつなぐ、笑顔の輪となった。
 言葉は通じなくとも心は通じ合える。そんな気持ちよさを感じた交流会となった。
 交流会が終わった後も、フフホトの子どもたちのパオに招かれ、言葉を教え合ったり、フフホトの子どもたちに贈った剣玉で一緒に遊んだりと、交流の時は夜が更けるまで続いていく。今日初めて出会った友人どうしとは思えないほど、互いにうち解け合った姿を見せてくれた。

植樹に思いを込めて


「草原の日の出を見るぞ」と意気込んでいた子どもたちも、フフホトの子どもたちとの夜更かしがたたり、なかなか布団から出られない。それでも、パオの外へ出るとまぶしい太陽の光と草原を渡るさわやかな風に、モンゴルにいることを再確認。
 少しは慣れてきた草原風味の朝食の後、草原に別れを告げ、フフホト市へ出発。マイクを回して歌やクイズ大会に興じている間に内モンゴル博物館へ到着した。
 巨大な恐竜の骨に圧倒され目を輝かしている子どもたち。日本の子どもと中国の子どもの間に隔てはない。
 次に向かったのは、大青山にある内モンゴル青少年生態園。そこで互いの友情を記念して苗木を植樹。一緒になって石を拾い、シャベルで穴を掘り、苗木を植え、周りを石で囲んで水をやる。豊中の子どもの代表が「この友情の樹を私たちの手で育てていきましょう」と、友情を育み、いつの日かの再会を約束して別れを告げた。
 固く握手し、見つめ合う目と目に浮かぶ涙に、わずか二日間ではあったが、互いに心を通わせた二日間であったことを改めて知らされた。
 その後、豊中の子どもたちは北京に向かい、日本語を学習している高校生たちと一日を過ごした。

平和友好の輪


 手をつなぎ羊の群れを追いかけた草原、笑顔あふれた交流会、時を惜しんで「語り合った」パオでのひととき。限られた時間の中での制約もあったが、子どもたちは広大な自然と豊かな文化に包まれ互いの友情を胸に刻み、そして新しい世界を広げたことだろう。
 日本の侵略という厳しい歴史をふまえながら今後の友好を築いていくことは、私たちの課題であるが、次代への希望は子どもたちに託すことができる。今回の企画を次へのステップとし、平和友好の輪を私たちの足もとから広げていきたい。

〇日本の子どもの感想から:
 最初は会話も弾まなかったけど、おやつをもらったりあげたりして、筆談で会話しているうちに仲良くなってきました。中国語のドラえもんの歌も聞かせてくれました。草原に着いてフフホトの女の子の赴さんと宋さんの二人と友だちになりました。その二人はずっと手をつないでいろいろ教えてくれました。すごく仲良くなって、寝るとき以外はいつも一緒にいました。言葉が通じなくてもこんなに仲良くなれるんだと、自分でもビックリです。植樹をして、いよいよみんなとお別れです。倩が泣き出したので、私も思わず泣いてしまいました。
 夕食の時、みんながいない夕食はとてもさみしいなと思いました。(13歳)

〇中国の子どもの感想から:
 待ちに待った日がやっと来ました。その朝、もうすぐ日本からの友だちに会えるので、私の心は羽が生えているように飛び出しそうになっています。大草原に行く途中で緊張して、せっかく前の日に覚えた日本語が全然出てきません。仕方がなくて、手で話しました。日本の友だちが賢いので、なんとか通じました。
 かがり火パーティーでみんなは音楽を聞きながら安代踊りを踊りました。中日両国の友情がこの美しい踊りと歌の中に入り込んでいるようです。これを見て、世界の友好と平和はもう私たちの夢じゃないかもしれないと思いました。(12歳)