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国際人権ひろば No.47(2003年01月発行号)

人権の潮流

第7回年次会合で加盟が12カ国に増加した アジア・太平洋国内人権機関フォーラム

岡田 仁子 (おかだ きみこ) ヒューライツ大阪研究員

アジア・太平洋国内人権機関フォーラム(APF)とは


 アジア・太平洋地域では、1977年に設立されたニュージーランドを始め、各国で国内の人権を保障する独立機関である人権委員会が設置されている。アジア・太平洋国内人権機関フォーラム(APF)は、地域内の各国人権委員会の相互交流・支援を強化し、地域の人権に関する協力を促進するために96年、オーストラリア、ニュージーランド、インド、インドネシアの人権委員会が参加するワークショップで創設された。
 以来、年1度の年次会合がいずれかのメンバー国で開催され、今回の第7回年次会合で新規加盟が決まった人権委員会を含めて、オーストラリア、フィジー、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、モンゴル、ネパール、ニュージーランド、フィリピン、スリランカ、タイの12カ国の人権委員会をメンバーとする。

アジアで新設が相次ぐ人権委員会


 01年のコロンボ会合では、ネパールが次回合の開催を申し出たため、02年は同国開催になる予定であったが、ネパールが国内事情により9月に開催を辞退し、急きょインドのデリーでの開催となった。
 02年11月11日から13日の日程で開催された第7回年次会合の1日目は、メンバーのみの会合であり、政府代表、その他機関、NGOなどのオブザーバーが参加する公開会合の日程はその日の晩の開会式で始まった。
 翌日からの審議には前日に加盟が決定した韓国、マレーシア、タイの人権委員会を加えたフォーラム・メンバーと政府代表やNGOなどのオブザーバーが参加した。オブザーバーの中には03年中旬に人権委員会がつくられることを報告した東ティモールの政府代表や、フォーラム加盟申請手続き中のパレスチナの人権委員会、加盟申請予定を表明したイランやアフガニスタンの人権委員会の代表がいたが、前回に続き日本の政府代表は参加していなかった。日本からは「人権フォーラム21」と「ヒューライツ大阪」がオブザーバーとして参加した。
 議題は、各人権委員会の活動報告、前回フォーラムの諮問機関である法律家諮問評議会に付託した女性と子どもの人身売買の問題、現在国連で検討中の障害者の権利に関する条約、死刑および子どもポルノグラフィーの問題などであった。この問題は前回法律家諮問評議会からの暫定報告が出されていた問題であり、各人権委員会はこの問題について進捗状況を報告した。
 女性と子どもの人身売買の問題については、法律家諮問評議会が国際法上の権利義務を検討した上で勧告を提起した他、国連女性開発基金(UNIFEM)やインドのNGO代表も南アジアにおける取り組みを報告し、インドとネパールの人権委員会から、この分野における人権委員会同士の協力について説明した。
 障害者の権利条約については、ニュージーランドが提出した、各国の国家人権委員会が国連で行われている特別委員会での条約検討に関与することなどという提案に基づいて議論が行われ、バーデキン国連人権高等弁務官事務所特別顧問も、第1回の条約検討のための特別委員会では国内人権機関への案内が十分でなく、参加した機関が僅かであったことをあげ、今後各国の人権委員会が独自で、また地域として、フォーラムとして条約プロセスに関わっていくよう主張し、フォーラム・メンバーの委員会もこの事を検討する旨を表明していた。
 NGOは事前会合で、女性と子どもの人身売買と障害者の権利条約について提案文書をまとめ、それぞれの議題の審議の際に口頭で発表した。また、次回会合に向けて法律家諮問評議会に反テロリズム法と人権の問題を付託することも提案した。アジア各地で導入・強化されている反テロ法については開会式の際にも言及され、NGOだけでなく、他の委員会メンバーからも人権の保障に対する影響が懸念されていたが、フォーラムとしてテロリズムと闘う際の法治主義の重要性と人権の保障について評議会に付託することを決定した。

課題を残したNGOの関わり


 今回は開催地の決定が急きょ変更になり、日程が発表されたのが直前であったためかNGOなどの参加が少なかった。前回の「最終結論」ではオブザーバーの数を100、NGOの数を36と報告しているが、今回参加したNGOの数は15である。各議題についてNGOから提案を発表する場は認められていたが、フォーラムのメンバーである委員会とオブザーバーの発言時間が区別されたことに対してなど、NGOが抗議する場面もみられた。
 一方、女性と子どもの人身売買の問題などについて、とくにNGOの意見や経験を求められたときに応じることのできるNGOがいないということもあった。インド国内およびアジア・太平洋地域内で多数のNGOがこの問題に関わっていることを考えると、寂しい感がする。
 フォーラムの趣旨である、各国の委員会間の協力・支援については今会合で初めて事務局長クラスの会合がもたれ、人権委員会の運営について各国機関が意見を交換し、ワークショップを設置することが決められた。フォーラムとしても委員会の委員を対象としたワークショップや人的交流のプログラムを行っており、またニュージーランド人権委員会のように独自で多国の人権委員会の支援を行っているところもある。今回はオブザーバーの参加者が少ないということもあり、とくに委員会間の情報や意見交換というフォーラムの面が強調された会合だったといえるだろう。
 フォーラムは上記のような議論をまとめた最終結論を採択し、12カ月後にネパールで第8次年次会合を開催することを決め、日程を終了した。

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