MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 資料館
  3. 国際人権ひろば
  4. 国際人権ひろば No.30(2000年03月発行号)
  5. 1999年度ヒューライツ大阪「国際人権リーダーセミナー」実施報告

国際人権ひろば サイト内検索

 

Powered by Google


国際人権ひろば Archives


国際人権ひろば No.30(2000年03月発行号)

1999年度ヒューライツ大阪「国際人権リーダーセミナー」実施報告

事務局

 2月7日から9日の3日間にわたって1999年度ヒューライツ大阪「国際人権リーダーセミナー」を開催しました。 第5回目の今回は特に人権啓発・人権教育を担当する地方自治体職員を対象とし、大阪府内はもとより、九州、四国、関東など全国から17名の参加がありました。
 今回のリーダーセミナーは、これまでの地方自治体の人権啓発や人権教育の実践経験を振り返り、今後どのように発展させていけるかを見いだすことが目的でした。
 第一に地域社会を基盤とした人権啓発や人権教育のプログラムの実践経験を振り返る、第二に地域社会の人権問題、人権教育を理解する、第三に人権教育プログラムのモデルづくりを試みる、第四に全国規模の自治体職員間のネットワークをつくる、の4点でした。
 今回のリーダーセミナーは、ワークショップ形式で行いました。 ワークショップは、A・B・Cの3つのグループに分かれてのグループ討議を予定していましたが、1日目の開会の直前に、A・Bグループのファシリテーターから当初の予定とは異なる進行方針に則り、A・B合同で討議を行いたいとの変更の申し入れがありました。  これにより、A・B合同グループでは12人の参加者で「わたしたちのまち再発見!」という身近な街の風景を描いた地図を見ながら、地域にはどのような人々がいてどのような公共・民間の施設・設備があるのかを、人権の視点から考え、様々な人々と公共・民間の施設・設備が現状ではどのようにつながっているのか、将来どのようにつなげていきたいかを主に議論しました。 ところが、当初の予定とは大幅に異なる進行方針による討議となり、参加者からは討議についていけない、討議のポイントや方向性が判然としないという指摘がありました。
 またA・B合同グループ12人では多人数のため討議しにくい、参加者それぞれの地域の実態や実践についての意見が出にくい、そこでグループを分割し少人数で討議をして参加者の実践や経験をお互いに共有したいとの要望が多数ありました。 2日目以降、A・Bグループは当初の予定通り各6人の小グループに分かれ、参加者が意見を交換し共有し合える時間を設定しました。
 Cグループでは、当初の予定通り、5人の参加者で、予定通りの進行方針に則り、地域社会のかかえる問題について討議し、地域社会を基盤とした人権啓発・人権教育プログラムについてそれぞれの実践を出し合い、プログラムの妨げになる要素とプログラムを支えている要素、実行可能な方法を討議しました。
 Cグループでは特に「身近でない人権概念」が最も優先される問題として取り上げられ、その要因が分析されました。 実践の振り返りとしては、ユニークな実践例としてすべての市民を網羅する啓発事業が指摘されました。
 Cグループの参加者からは、素晴らしいファシリテートだった、少人数でお互いの意見が尊重され、参加者の実践を共有し、議論を深めることができたとの感想が出されました。
 2日目のプログラムでは、地域社会の人権問題について金東勲所長から報告し、参加者が報告について議論しました。 続いて、地域社会の人権教育について、大阪市立大学助教授の鍋島祥郎さんと大阪府箕面市立萱野中央人権文化センターの丸岡康一さんから、具体的な箕面市の実践例の報告がありました。
 その後A・B・Cグループに分かれて地域社会の人権教育プログラムの基本原則を討議しました。 2日目以降A・Bグループを当初の予定通り小グループに分けたことで、参加者からは、少人数で討議しやすかった、一人ひとりの意見を充分に聞くことができたとの感想が多数ありました。
 3日目のプログラムでは、これまでの議論を踏まえて、地域社会の人権教育プログラムのモデルづくりに取り組みました。
Aグループは、ニーズの把握から目的、企画運営、事業内容、広報、評価、事業後のフォローというプログラムの一連の流れを方法論的に議論しました。
 Bグループでは、プログラムを考える上での視点、原則、ニーズ、公共・民間施設などハードファクター、教授法などソフトファクターをブレーンストーミング的に討議しました。
 A・B各グループでは1日目に地域社会のかかえる問題、地域社会の人権教育プログラムの実践をふりかえる予定であったのが、討議されず、具体的なプログラムづくりの段階でも支障が生じました。 このことは、今後の教訓として活かしたいと考えます。
 Bグループの参加者からは、参加者の構成が多彩であり議論の共有が困難であったとの指摘がありました。 参加者の構成は、各グループとも、地域構成、女性の人数に配慮し、自治体の人権啓発担当者、教育関係者、地域のコミュニティーセンター職員など多彩な構成になるようグループ分けをしました。
 進行方法によっては多様な経験の共有が円滑に進められたグループと共有に困難のあったグループとがありました。 このこともまた今後の教訓です。
 1日目から人権問題をより身近なものにしたいという観点から議論を重ねてきたCグループでは、子どもに理解できる内容であれば大人にも理解できるという共通認識に基づき、"子ども再発見"というテーマで具体的な人権教育プログラムをつくりました。
 Cグループではセミナーの全日程を通じて、一貫した流れの中でプログラムづくりの過程を実際に学ぶことが出来たという感想が出されました。 全体会ではCグループのプログラムづくりの過程を参加者全員で共有しました。
 最後の全体会では、参加者の構成を超えて、地域社会での人権教育の柱となる原則が参加者相互で共通認識として確認されました。 それぞれの地域社会に戻ってからもセミナーでの議論を今後の人権啓発・人権教育プログラムに活かしたいという参加者の熱意にあふれたリーダーセミナーでした。 (文/藤本)

*「国際人権リーダーセミナー」の詳細は、報告書を作成する予定です。