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国際人権ひろば No.116(2014年07月発行号)

ニュース・イン・ブリーフ

法相懇談会、外国人技能実習制度の拡大方針を6月10日に提言

 受入れ期間を5年に延長し、介護や総菜製造、林業などの分野も

 
 法務大臣の私的懇談会である「第6次出入国管理政策懇談会・外国人受入れ制度検討分科会」は6月10日、報告書「技能実習生の見直しの方向性に関する検討結果」を発表しました。技能実習制度は日本の技術を途上国の人に学んでもらうという趣旨で、「外国人研修・技能実習制度」として1993年に導入された制度です。
 報告書では、受入れ期間を現行の最長3年から5年に延ばすこと、仕事の対象を現在の68職種に介護等のサービス業、自動車整備業、林業、惣菜製造業、店舗運営管理等の5分野の追加を検討するべきだとしています。
 分科会の議論の過程で、「いまだに残業代の未払いや保証金の徴収,旅券等の強制的な保管等が生じている」「報酬も最低賃金(場合によっては下回っているケースもあり)又はこれを若干上回るにすぎない額であるのに加えて、雇用主を自由に変更することもできず、さらに相談体制が十分ではなく、技能実習生が申告しにくい状況になっているのではないか」「送出し機関については、違約金や保証金の徴収など、送出し機関による不当な中間搾取に対しては国内の適正化だけでは不十分である」といった技能実習生に対する人権侵害が引き続き起きているという意見が分科会メンバーから指摘されたとしています。そして、本来の制度目的から乖離し、人権侵害や法令違反を惹起している実習実施機関については現行制度を廃止しこれに代わる新制度の導入を図るべきであるとの意見も出されています。
 しかし、結論的には「問題点を徹底的に改善した上で、 制度の活用を図る」ということを分科会としての基本的な考え方としたのです。
 報告書では、期間延長や対象職種の拡大のほか、企業の従業員数などに応じて定めている受け入れ人数の上限の緩和も提言しています。
 東日本大震災の復興事業の加速と、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催準備のために、建設関連の需要が一気に高まっているなか、深刻な人手不足の現状を受けて、安倍政権は4月4日、経済財政諮問会議と産業競争力合同会議において、「緊急措置」として建設分野における外国人労働者の受け入れを増やす方針を固めています。今回の報告はその意向を受けたものです。政府は6月中に策定する新たな成長戦略に報告書の内容を反映させる方針です。
 一方、内閣府に設置されている「国家戦略特別区域諮問会議」は、「女性の活躍推進、家事支援ニーズへの対応のための外国人家事支援人材の活用」という提言を行っています。
 

 日弁連や移住連、技能実習制度拡大に反対の提言

 
 そうしたなか、日本弁護士連合会は4月3日、「外国人の非熟練労働者受入れにおいて、外国人技能実習制度を利用することに反対する会長声明」を出し、「東京オリンピック開催の準備等を理由とした一時的な建設労働者の受入れを行うとしても、技能実習制度の存続を前提とした制度構築をするべきではない」と訴えています。また、「技能実習制度を維持・拡大し、受入れ期間の延長や再技能実習を認めることは、人権侵害の温床を拡大する結果となるものである」とし、「速やかな技能実習制度の廃止を改めて求める」と政府に対して提言しています。
 また、移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は3月に「建設分野における外国人材活用に係る緊急措置への提言」を発表したのに続き、4月24日に「建設分野における外国人材活用に係る緊急措置」に対する声明を出し、技能実習制度の廃止、および外国人労働者の権利を守るシステムを整備すべきであると提言しています。