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国際人権ひろば No.88(2009年11月発行号)

特集:「移住」の視点からみる韓国・済州島スタディツアー Part5

済州島スタディツアー感想文

号外版:「済州島スタディツアー2009」(8月25日~8月28日)の感想文

野呂 瞳
京都女子大学現代社会学部3回生

 関西国際空港から飛行機で1時間20分、あっという間に韓国・済州島に到着した。日本国内の沖縄でも飛行機で2時間弱かかる事を考えると、非常に日本と近距離に位置しているのだと実感した。現在はリゾート地として開発が進んでいるようで、空港から出ると沖縄のような南国ムードが漂う雰囲気であった。窓から見る風景は、標識や看板がハングル表記なのは当たり前であるが、民家の外観は沖縄に似ているものがあり、建物が平屋で塀や畑の周りに石が多いのも離島ゆえに台風などの自然災害に備えたものなのかな、と思った。
 済州では、海女博物館・済州4.3平和公園・済州平和博物館・済州移住民センターなど多くの場所を訪問した。
 2日目に訪れた済州平和博物館では、太平洋戦争時代の写真や映像、展示品を目にした。日本国内の戦争に関する施設では沖縄の平和記念公園(資料館)・ひめゆりの塔を訪れた事があったが、他国の戦争に関する施設を訪問するのは初めてだった。日本が他国に傷を負わされたように、他国には日本が傷を負わせていたという事を痛感した。これまでは日本に残る戦争の傷跡だけをみていたため、自国だけが被害を受けた様に感じてしまっていた。戦争のない世界をつくりあげていくためには自分の国からの一方的な見解で学習するのではなく、他国の立場にたって考える事も必要だと思う。
 平和博物館の館長さんは学生に対する思い入れがとても強い人だった。これからの世界を生きていく若い私たちが戦争の現場を訪ね、知ることは非常に大切なことであるという館長さんの言葉にはとても胸をうたれた。日本軍が駐屯していた地下要塞を見学させてもらい、ここで日本軍が済州島の人々に労働を強いていたのかと思うと鳥肌が立ち、とても苦しくなった。戦争とは誰に何も与えず大きな傷跡だけを残すものだと強く感じた。
 平和博物館では最後に館長さんがとても気さくに声をかけてきてくださり、日本語をたくさん用いて「日本と韓国の平和のために頑張ろう」と笑顔で話してくれた。私たちが戦争についてきちんと知り、それも一方通行な理解をするのではなく、相互の状況や歴史を知る事が大切なのではないだろうか。韓国の歴史を知ったこの次は、日本の歴史、現状を知るために日々努力していきたいと思う。

イ・ヨングンン館長(右)と「スーパーガイド」の趙栄林さん イ・ヨングンン館長(右)と「スーパーガイド」の趙栄林さん