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国際人権ひろば No.85(2009年05月発行号)

ヒューライツ大阪からのお知らせ

ヒューライツ大阪の活動報告 第 4 回国際人権わいわいゼミナール 「企業活動における人権の実現」(3月3日)

 弁護士で、社団法人自由人権協会(JCLU)理事として市民活動にかかわっている羽柴駿さんを東京から招き、piaNPOを会場に、企業活動と人権について、羽柴さんが中心となって取り組んできたJCLUの「企業と人権プロジェクト・チーム」(2004年~)の実践の報告をいただいた。企業関係者や人権啓発担当の行政職員、CSR(企業の社会的責任)に関心のある人たちが参加した。
 羽柴さんは、米国で日本企業が雇用差別として訴えられた事件に関心をもち、JCLU で「人権コンサルティング小委員会」を組織して 『ニッポン企業人権宣言』を1991年に出版するが、当時はCSRに関して日本の企業や社会の反応が鈍かった。グローバル時代の現在、CSRへの関心は高まってきたが、派遣切りなど深刻な雇用問題が指摘されており、「環境にやさしい企業」が人間にも「やさしい」のかという問題提起があった。
 前述のプロジェクト・チームが調査・研究した結果がベースとなって、JCLU は、「企業活動と人権に関するガイド」と「CSR 報告書の人権関係評価項目」を定め、『提言:CSR における人権』(2007年 4 月)として発刊した。当日は、その資料を基に日本の主な自動車産業11社の CSR 報告書を分析した評価について報告があった。これについては2008年度の分の評価も行い、JCLU から報告書が出ている。
 ヒューライツ大阪は、2009年度の重点事業の一つとして継続的に「企業活動における人権の実現」を推進するために、当センターが貢献できることを議論し、具体化させることを計画している。今回の企画をスタートとして、今後、企業関係者はもちろんのこと労働組合や研究者、人権活動家など立場の違う人々に参加いただけるよう提案していきたい。

「アジアにおける公民・人権教育国際会議」に参加(台北、3月13-14日)


 台湾の台北市にある東呉大学張佛泉人権研究センターは、「アジアにおける公民・人権教育に関する国際会議」を開催し、台湾、香港、中国本土および日本から学校の教員や教育大学教員が参加した。台湾、香港、中国本土では人権教育を公民教育のなかで教えることが多いため、これらの地域の公民教育の現状について話し合った。日本や東南アジアでの経験もとりあげられた。ヒューライツ大阪からジェファーソン・プランティリア主任研究員が参加した。
 会議では理論、実践を含めた様々なセッションが行われた。あるセッションで行われた中国文化と人権という理論的な議論のなかでは、中国の歴史の一時期広がった儒教の思想を解釈することによって二つを結びつけることができるとする意見と、台湾の経験から見てそのような結びつきはないとする意見に別れた。
 また、他のセッションで、中国本土からの参加者は、中国の最近の人権に関わる状況を報告し、たとえば、人権が憲法に取り入れられたこと、胡錦濤国家主席の人権に関する言及などが進展と考えられると述べた。参加者たちは、中国が直面する課題を考慮すると、人権教育の発展はゆっくりにならざるを得ないと説明する一方、近代化過程のなかで公民教育が必要であると述べた。
 香港からの参加者は、例を挙げて、中等教育の人文学の授業を使った人権教育の可能性や課題について報告した。また、現在、香港の教育行政が人権教育を強く支援していないと述べた。また、東北アジアでは最も人権教育が発展していると思われる台湾からの参加者は、政府、非政府機関による学校内、あるいは学校外の取り組みについて報告した。